~サイバー攻撃に特化した「AIエージェント」の登場~
2025年12月10日
トレンドマイクロ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 兼 CEO:エバ・チェン 東証プライム:4704、以下、トレンドマイクロ)は、2026年の国内外における脅威動向を予測したレポート「法人セキュリティ脅威予測2026 ~AI化されるサイバー脅威~」を本日公開したことをお知らせします。
「法人セキュリティ脅威予測2026 ~AI化されるサイバー脅威~」全文
https://www.go-tm.jp/pred2026
あわせて、12月19日11:00~ウェビナー
(https://resources.trendmicro.com/jp-webinar-form-0775-threat.html)も開催します。
「法人セキュリティ脅威予測2026 ~AI化されるサイバー脅威~」主なトピック
2025年は、多くの法人組織がAIの活用を推進した一方で、バイブコーディングの手法を用いるAI駆動型マルウェア「LAMEHUG(レイムハグ)」の登場、アンソロピックが提供するAIを悪用したバイブハッキング(Claude Codeを悪用し、偵察活動、認証情報の収集、水平移動、データ流出の自動化などを伴い、少なくとも政府機関、医療機関、緊急サービス、宗教施設など17の組織を狙った攻撃を実行)など、サイバー攻撃でAI悪用の証跡が垣間見える年でした。
現在サイバー攻撃では、一部の活動にAIが用いられていると考えられますが、2026年にはサイバー攻撃に特化した「AIエージェント」を用いて、偵察から初期侵入、実行(ランサムウェアの実行や脅迫など)一連の攻撃を自律的に実行できるようになり、法人組織に対して前例のない速度、規模、複雑さで攻撃を行うことが予想されます。
※バイブコーディング:AIにプロンプトを送信してプログラムを得る手法
AIシステムは、クラウドやコンテナ上に構築される傾向があり、従来から存在するアクセス権限の設定不備などにより、AIのモデルやRAGが改ざんされるリスクがあります。
2026年は、プロンプトインジェクション、ハルシネーションが起因となるサイバーリスクに加えて、AIにおける推論サーバ、MCPサーバ、AIフレームワークなど、拡大を続けるAIエコシステムに存在する脆弱性が新たなアタックサーフェスになります。
※ RAG:Retrieval-Augmented Generation。LLMに外部データベースへの参照機能を追加することで回答の信頼性を高める手法
※ プロンプトインジェクション:不正な入力(プロンプト)を行うことで、開発者が意図しない情報を引き出す攻撃
※ ハルシネーション:AIが一見もっともらしいが誤った回答をすること
※ MCPサーバ:Model Context Protocol。AIが外部のシステムと連携するための仕組み
また、法人組織においては、AIを用いたバイブコーディングでソフトウェアを開発することで、意図せずコードに脆弱性が紛れ込む可能性が高い他、自組織が利用するAIエージェントが侵害されることで、データ操作、業務妨害、さらには物理デバイスの制御にまで悪用される可能性があります。AIエージェントが物理システムと直接やり取りする場合、より厳格なセキュリティ管理体制が求められます。このようにAIに関連する様々な領域に脆弱性が存在することで、AIエコシステム全体が新たなアタックサーフェスになる懸念を抱えています。
「State-Sponsored(国家背景)」などと呼ばれる攻撃者が主な攻撃主体であるAPTは、法人組織において継続した脅威です。
標的組織の探索時~侵入時においては、法人組織が提供するAIサービスを用いて、標的に関する内部情報を取得する事例が出てくる可能性があります。法人組織への侵入後は、マルウェアがLLMにつながり、標的組織の環境に応じたコマンドを生成しながら、標的組織に元から存在するツールやバイナリだけを使って不正な活動を行う形が典型例になると予想しています。このような活動は、正規ツールに紛れて検知を難しくさせようとする意図があると考えています。
あわせて、国家支援の攻撃者が、正規の従業員を装った工作員を組織内部に送り込み、内部脅威を生み出す取り組みを強めると見込んでいます。想定されるシナリオとして、偽造された身分証やディープフェイクを用いた面接、AI生成の人物によって本人確認プロセスをすり抜け海外に配置されるIT要員などに採用されます。内部に入り込んだ後、特権アクセスを悪用してスパイ活動、データ窃取、恐喝などの行為に及ぶ恐れがあります。
※ 2025年12月10日現在の情報をもとに作成したものです。今後、内容の全部もしくは一部に変更が生じる可能性があります。
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