APT&標的型攻撃
APT分析レポート2026年版:最前線の脅威情勢を把握するために
AIを活用したAPTは攻撃を加速させ、対応可能な時間を短縮し、リスクをさらに高めています。本レポートでは、何が変わったのか、そしてそれにどう対抗すべきかを明らかにします。
- 執筆者
- Ted Lee (Senior Engineer-Threat Research, APT Ops)
- 加唐 寛征 (Senior Threat Researcher, Forward-Looking Threat Research Team)
- Feike Hacquebord (Principal Threat Researcher, Forward-Looking Threat Research Team)
APT(Advanced Persistent Threat)は、より高度で効率的なものになっており、この領域に関与するグループは高い精度で活動し、標的のシステム内にできる限り長く潜伏するために連携を強めています。当社の「APT 分析レポート・2026 年版」は、1年分の調査と実環境での観測結果を取りまとめ、こうした攻撃者がどのように活動し、どのように対抗すべきかをセキュリティリーダーに明確に示します。本レポートの目的は、現在のAPTで用いられている動機と戦術を明確に把握できるようにすることです。
現代のAPTは、地政学的および経済的な目的を追求する、持続的かつ半自律的な存在へと進化しています。過去1年で脅威情勢は変化し、攻撃者はAIを支援ツールとして試験的に使う段階から、侵入ライフサイクル全体に組み込む段階へと移行しました。攻撃キャンペーンはますます発見されにくく長期化しており、通常のネットワーク活動に紛れ込みながら、AI支援コンポーネントによってラテラルムーブメント(水平移動・内部探索)、標的選定、権限昇格が加速しています。同時に、多くのAPTアクターは、正規ツール、クラウドサービス、信頼されたプラットフォームの悪用をますます好むようになっており、このアプローチはAI主導の回避手法と自然に組み合わさります。その結果、重要産業や地域ハブに対する攻撃が急増し、初期アクセスから現実世界での影響発生までの猶予は急速に短くなっています。
TrendAI Researchのレポート「APT分析レポート・2026年版」では、APTアクターのツール、戦術、能力において何が変化したのか、そしてAIが現代のAPT脅威の中核的要素となる中で、組織がどのように適応しなければならないかに焦点を当てています。
国家関連が疑われる主要なAPTアクターのAI悪用動向
- セキュリティリーダー向けの主要なポイント。AI、APTグループ間の連携、地政学的な連携が、現在の脅威状況をどのように変化させているかを要約します。
- 2025年のAPT動向に関する戦略レベルの概要。AI統合型キルチェーンの台頭と、オペレーションの高速化に焦点を当てます。
- 中国、ロシア、北朝鮮を対象とした地政学的脅威分析。国家的優先事項やAI投資がサイバー活動にどのような影響を与えているかを含みます。
- 2025年に観測された主要なAPTキャンペーン、ツール、戦術の詳細なプロファイル。連携する脅威アクターおよび実際のインシデントとの対応関係を示します。
- 2026年から2027年を見据えた戦略的展望。自律型攻撃、AIエージェント、進化する連携モデルを検証します。
- 侵害を前提としたアプローチのもとで対策を運用する組織に向けた、実践的なリスク低減ガイダンス。このガイダンスは、レジリエンス、可視性、集団防御に重点を置いています。
これらのセクションを通じて、意思決定者と防御担当者は、AIに支えられ、地政学的情勢に起因するサイバー脅威の時代を乗り切るために必要な戦略的指針を得ることができます。
本レポートは、年間を通じたモニタリングとインシデント分析に基づいています。個別の事象を個々に見るのではなく、複数の業界や環境にまたがる情報を相関分析し、セキュリティ態勢に影響を与える重要な傾向を導き出しています。
AIと戦略的変化が現代のAPTキャンペーンを再定義する方法
APTアクターは、攻撃ワークフローを自動化し、回避能力を強化するために、AIプラットフォームの悪用をますます進めています。近い将来、攻撃者はAI主導の偵察を用いて企業や政府のネットワークインフラをマッピングし、脆弱性を迅速に特定するようになります。
2025年の脅威情勢は、AIがもはやAPTグループにとって実験的な機能ではなく、キャンペーンに直接組み込まれた運用上の構成要素となっていることを示しています。国家に連なるAPTアクターは、偵察、フィッシング用の誘導文面の生成、そして攻撃ライフサイクル全体にわたる初期段階の自動化において、AI支援ツールの利用をますます拡大しています。完全に自律的な攻撃は依然として発展途上にありますが、部分的な自動化では、攻撃速度は大幅に向上しており、防御側が侵入を検知して封じ込めるまでの猶予の時間は短くなっています。
もう1つの大きな変化は、APTグループ間における連携と専門分野の細分化です。複数のAPTアクターは、孤立した単位として活動するのではなく、現在ではアクセス権、インフラ、インテリジェンスを共有しています。「Premier Pass-as-a-Service」のようなモデルでは、1つのグループがアクセスの確立と維持を担い、別のグループが攻撃の実行を担当するため、攻撃はより迅速に実行され、アトリビューションもより困難になります。この傾向は、正規ツールやクラウドサービスの悪用拡大と相まって、潜伏期間の長期化を招き、インシデントの分析と対応をより複雑にしています。
最後に、標的の選定はご都合主義の偶然性に富んだものではなく、戦略的な優先事項によって左右されています。政府機関、テクノロジー企業、製造業、エネルギー関連組織は、国家安全保障、サプライチェーン、地政学的な観点における重要性から、引き続き最も頻繁に標的となる分野です。同時に、エッジデバイスとソフトウェアサプライチェーンは、従来のセキュリティ対策を回避して目立たずにアクセスできることから、APTアクターに好まれる侵入経路となっています。これらの変化は総じて、防御側の対応可能時間が縮小していることを浮き彫りにしており、継続的な可視化、迅速な封じ込め、そしてマシンスピードでのレジリエンスの必要性を改めて示しています。
本レポートの対象読者
組織の安全確保に責任を持つあらゆる方にとって、本内容は価値があります。CISO やセキュリティ部門の責任者は、AI 導入、APT の協業モデル、地政学的な連携が長期的なサイバーリスクをどのように再形成しているかについて、戦略的な視点を得ることができます。本レポートは、リーダーが投資の優先順位を決め、事業上重要な分野全体にわたるエクスポージャー(exposure)を評価し、経営層との議論に向けて明確で根拠ある説明内容を構築する上で役立ちます。
一方で、SOC チームや脅威インテリジェンスアナリストは、現代の APT アクターが実際にどのように活動しているか、どのようにアクセスを確立・共有・拡大しているか、AI が攻撃者の意思決定をいかに加速させているか、そして検知と対応の猶予時間がどこで短くなっているかについて、詳細な知見を得られます。エンジニアは、本レポートの分析を活用して、検知ロジックを改善し、侵害を前提としたワークフローに関する想定を検証し、新たに見られる攻撃者の行動に合わせてコントロールを調整できます。
最後に、リスク、ポリシー、ガバナンスの各チームは、特定の業界や地域がなぜ標的にされるのかを理解するために必要な地政学的および戦略的な背景を得ることができ、十分な情報に基づくリスク評価、規制対応の整合、部門横断的な計画立案を支援します。
予算をどこに配分するかを判断する場合でも、防御ロードマップの意思決定に役立てる場合でも、あるいは進化する脅威環境について経営層に説明する場合でも、本レポートは、組織が確信を持って十分な情報に基づく判断を下すために必要な明確さを提供します。
「APT分析レポート2026年版」では、これらの調査結果をさらに深く掘り下げ、詳細なデータと専門家の解説を掲載しています。脅威動向の全体像と、それが今後 1 年において貴社のチームにとって何を意味するのかを確認するために、ぜひ完全版をダウンロードしてください。
参考記事
2025 APT Report: Staying Ahead of the Modern Threat Landscape
By Ted Lee (Senior Engineer-Threat Research, APT Ops), Kakara Hiroyuki (Senior Threat Researcher, Forward-Looking Threat Research Team), and Feike Hacquebord (Principal Threat Researcher, Forward-Looking Threat Research Team)
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, TrendAI™ Research)