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2018/03/23

自動運転による死亡事故が発生、問われるコネクテッドカーのセキュリティ

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2018年3月18日午後10時、米国アリゾナ州テンピで自動車配車サービス「Uber」の自動運転走行の実証試験中に、歩行者が跳ねられ死亡する事故が初めて発生しました。

報道によると、事故が発生した際、ドライバーは運転席にいたものの同乗者はおらず、車両は自動運転モードで制限時速約72㎞の区間を時速約60㎞で走行中でした。運転席側に設置されたカメラから、自転車を引いて歩く女性が問題の車両の前に突然現れたことを映し出しています。同州テンピ警察署長は「明らかにどのような走行モードであってもこの事故を回避するのは難しかった」と発言しています。

自動運転による死亡事故は、これが初めてではありません。2016年5月、自動操縦中の米国自動車会社「Tesla(テスラ)」製電気自動車(EV)「Model S」が、18輪トレーラトラックと追突してドライバーが死亡する事故が発生しています。なお、「米国家運輸安全委員会(NTSB)」が公開した事故詳細報告書によると、この事故において、同モデル車のドライバーを補助する車載システムはドライバーに対して何度も警告を発しており、正しく機能していたとされています。

自動運転車に関連する事故すべてが、人命にかかわるものとは言えません。しかし、こうした車両が引き起こす事故は何度も発生している中、多くの公道で走行実験が実施されています。事実、米国カリフォルニア州の「運輸局(Department of Motor Vehicles、DMV)」は、2014年以来、自動運転車による50件以上の事故報告を同局のWebサイトで公開しています。

人為的な過失や予想外の人の行動以外に、自動運転車はどのような課題を抱えているのでしょうか。

Googleが2016年にカリフォルニア州DMVと共同で作成した報告書によると、通信の停止、センサによる誤った読み取り、および安全上重視されるべきセーフティクリティカル・システムなどの技術的不具合が挙げられます。また、不慮の技術的な誤作動・異常以外にも、悪意を持った人物が行う攻撃によるリスクも考えられます。

自動運転車を狙う攻撃の可能性

慶應義塾大学藤沢キャンパス環境情報学部の武藤佳恭教授は、2018年3月に公開した「Connected Vehicle Security Vulnerabilities」で、自動運転車を乗っ取る攻撃として「vehicle sensor attack」および「vehicle access attacks」を紹介しています。

「vehicle sensor attack」とは、自動運転車に搭載された重要なセンサを狙う攻撃を指します。標的となるセンサには、「全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)」、衝突予防システムに使用される「ミリ波レーダ」、レーザ光の反射時間を測定して走行空間を測る「LiDARセンサ」、車両検知に使用される「超音波センサ」が挙げられ、こうしたセンサはなりすましや妨害に対して脆弱です。

また、カメラセンサもレーザーポインタのような単純なツールによって妨害される恐れがあります。このような各重要センサが狙われた場合、自動運転車を含むコネクテッドカーは攻撃者に制御され、衝突など安全に関わる事故が発生する恐れがあります。

一方、「vehicle access attack」については、従来の車両および自動運転車が狙われる可能性を言及しています。この攻撃の具体的な手口では、キーレスエントリーシステムの脆弱性を悪用して、攻撃者が遠隔制御によって送信された信号を盗聴し、車両に不正アクセスするキーフォブシステムのクローン技術などが考えられます。

また、自動車向け次世代情報提供サービス「テレマティクスサービス」を偽装する攻撃も考えられます。車両のネットワークに不正に接続することができれば、セーフティクリティカル・システムを侵害する恐れもあります。

コネクテッドカーにおいて、各モジュールやシステムの連動はどんどん高まっています。モジュールやシステムの連動が強まるということは、サイバー犯罪者の視点からみれば、攻撃のきっかけとなるポイントが、いっそう増えるということでもあります。

ゆえにコネクテッドカーに対するセキュリティ対策は、設計段階の時点で考慮、実装されるべきです。特に、最新のスレットインテリジェンスを活用したセキュリティ対策、重要なモジュールのリスクアセスメントとシステムの保護、および脅威を防いだり、軽減したりするためのリアルタイムでの状態監視は、コネクテッドカーの安全性確保に大きな役割を果たします。

そして、こうしたセキュリティの実装は、自動運転車の開発、実装に携わるすべての関係者、自動運転車の所有者だけでなく、最終的に歩行者も含めた安全な道路交通環境の実現に役立つこととなるでしょう。

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