エレコム株式会社

家庭内のデジタル機器を統合的に保護し
ユーザの快適な暮らしを支える
セキュリティを無線LANルーターの差別化に

概要

PCサプライ製品メーカーとして知られるエレコムは、デジタルホーム事業の一環として無線LANルーターを開発、提供している。その中でも、特に好評なのが「Trend Micro Smart Home Network™」を搭載した機種だ。この製品を活用すれば、無線LANルーターを通じてインターネットにアクセスする様々な家庭内のデジタル機器を統合的に保護することができる。ネットワーク家電などに迫る脅威などのリスクを抑止し、最新デジタル機器がもたらす快適な暮らしをユーザに提供する。

"Wi-Fiは、今や社会インフラのようなもの。お客さまがセキュリティを意識せずともデジタル家電のある暮らしを楽しめる環境を実現したいと考えています"

エレコム株式会社
商品開発部 ネットワーク課
コンシューマNW開発チーム
チームリーダー
狩谷 祐一 氏

"トレンドマイクロのブランド力はお客さまの安心につながります。他社製品との差別化が図れたことで、売上、シェアを拡大できています"

エレコム株式会社
商品開発部 ネットワーク課
コンシューマNW開発チーム
スーパーバイザー
長野 真悟 氏

"様々な機器を保護できる製品を適正なコストで提供できたのはトレンドマイクロだけ。さらに開発側の視点に立った適切なサポートで、開発はスムーズに進みました"

エレコム株式会社
商品開発部 ネットワーク課
コンシューマNW開発チーム
上原 純 氏

開発の背景

マウス、キーボード、マウスパッドなどのPCサプライ製品メーカーとして広く知られるエレコム。近年はIoT時代およびデジタル社会の到来を見据え、VR関連のソリューションやデジタルサイネージ、Wi-Fi環境の構築など、法人向けビジネスにも事業を拡大している。

もう1つ力を入れているのがデジタルホーム分野である。

PCやスマートフォンだけでなく、ゲーム機やネット対応テレビなど、近年、家庭内でインターネットに接続される機器が増えている。多くの人が、それらの機器がもたらす快適な生活を楽しめるよう、同社は「HAPPY Wi-Fi LIFE」を提唱して、無線LANルーターを開発。「コンシューマ向けに量販店などで販売するほか、通信キャリアやISPとの提携も視野に入れて新市場の開拓を目指しています」と同社の狩谷 祐一氏は語る。

課題

快適なデジタルホームを実現する上で同社が欠かせないと考えているのがセキュリティだ。「これだけインターネットにつながる機器が増えた今、Wi-Fiは、水道やガス、電気のように生活に欠かせないインフラ。普段、安全性を疑うことなく水道の蛇口をひねっているように、誰でも、いつでも、安心して使えるのが理想です。しかし、PCやスマートフォンはウイルス対策ソフトが普及していますが、テレビやエアコン、ネットワークカメラなどのネットワーク家電は無防備の状態のものが多い。セキュリティを意識せずとも、それらの機器を安全に利用できる環境を実現したいと考えました」と同社の長野 真悟氏は言う。

そこで同社は、自社が提供する無線LANルーターにセキュリティ機能を搭載することを検討。無線LANルーターを経由してインターネットに接続する家庭内のデジタル機器を統合的に保護できるからだ。

「無線LANルーターは性能だけでは差別化が難しくなっていることもあり、セキュリティという付加価値は、競合製品との差別化にもつながると考えました」(狩谷氏)

選定理由

無線LANルーターに搭載するセキュリティ製品として、同社が選定したのがトレンドマイクロの組み込み型セキュリティソリューション「Trend Micro Smart Home Network™(以下、Smart Home Network)」である。

Smart Home Networkなら、インターネットに接続される家庭内のデジタル機器を統合的に保護できると判断した上、トレンドマイクロがセキュリティベンダとして広く知られている点を評価した。「一般のお客さまの認知度は抜群ですから、トレンドマイクロ製品を搭載しているということがお客さまの安心と信頼につながります」と狩谷氏は語る。

また、コスト面にも優位性があった。「組み込み型セキュリティ製品は高額なものが多い。その点、Smart Home Networkは非常に低コストで、家庭向けの無線LANルーターに組み込んでも、十分に価格競争力の高い製品を開発できます」と長野氏は続ける。

ソリューション

Smart Home Networkは、家庭用ネットワークに接続された機器をサイバー攻撃から守るSDK(Software Development Kit/ソフトウェア開発キット)製品である。脆弱性を狙った攻撃やマルウェア感染デバイスによる外部への不正通信をブロックするなど、強固な入口・出口対策を実現する。

また、インターネットに接続している機器やアプリケーションを認識し、IPアドレスやOSなどまでを一覧表示することも可能。この機能を応用してペアレンタルコントロールも行える。

「エレコムは、誰でも簡単に使えて、セキュリティを意識せずとも、様々な機器を守れるというコンセプトのもと、あえて無線LANルーターに搭載するセキュリティ機能を、悪質サイトのブロック、脆弱性のブロック(仮想パッチ)、情報漏えい対策に絞り込んで提供しています。さらに最新の機種では、電源を入れ、LANケーブルをつなげば、初期設定などを行わずとも自動でセキュリティ機能がオンになるように設計しています。もちろん、管理画面にアクセスすれば、お客さま自身のポリシーに沿った設定を行うことも可能です」と狩谷氏は説明する。

トレンドマイクロの適切なサポートにより開発はスムーズに進んだという。「ルーターに搭載するWi-Fiチップの特性に応じてSmart Home Networkを最適化してくれたほか、開発段階で直面した問題に対しても、切り分けや原因の特定をサポートしてくれるなど、手厚くサポートしてくれました」とエレコムの上原 純氏は話す。

セキュリティ機能を搭載したエレコム製無線LANルーター「WRCシリーズ」

成果

Smart Home Networkを搭載した同社の無線LANルーター「WRCシリーズ」は販売開始から着実に認知を拡大。量販店や顧客からの評価は高く、売上アップとシェア拡大につながっている。

「セキュリティ機能搭載というわかりやすい特長があるため、量販店の販売員の方も製品の説明がしやすく、おすすめしやすいそうです。テレビなどと併せて購入いただくケースも多く、お客さま単価のアップにもつながっているという評価をいただいています」(長野氏)

このような評価を受け、同社はSmart Home Network搭載機種のラインアップを拡大。また、当初、思い描いたとおり、通信キャリアやISPとコラボレーションし、WRCシリーズを採用したセットプランの開発も進めている。加えて、コンシューマ製品だけでなく法人向け製品へのSmart Home Networkの活用も検討。「IoTの活用が進み、オフィス、工場・プラントなどでも、IoT機器のセキュリティ対策が大きな課題となってきています。Smart Home Networkを活用して、これらの領域にも最適な製品を提案していきたいですね」と狩谷氏は述べる。

今後の展望

今後はSmart Home Networkのブロック実績を定量化してアピールしながら、多くの人にセキュリティの重要性を理解してもらう活動に、より注力していくという。

セキュリティ機能を搭載したWRCシリーズの提供により、無線LANルーター市場での存在感向上を実現したエレコム。徹底した顧客視点を武器に、今後も革新的な製品の開発・提供を進め、さらなる成長を目指す構えだ。

  • 記載内容は2018年8月現在のものです。内容は予告なく変更される場合があります。