TSPY_TOXIFBNKR.A
Windows

マルウェアタイプ:
スパイウェア
破壊活動の有無:
なし
暗号化:
なし
感染報告の有無 :
はい
概要
トレンドマイクロは、このスパイウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。
このスパイウェアは、2016年4月から5月にかけて発生した世界最大の銀行間通信ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」がハッキングされた事例に関連しています。このスパイウェアは、SWIFTの金融通信メッセージを悪用して金銭を窃取するための特定のプログラムを備えています。
スパイウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
詳細
侵入方法
スパイウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
その他
スパイウェアが自身の不正活動を実行するためには、以下のコンポーネントが必要になります。
- %Temp%\WRTU\ldksetup.tmp <- log file of malware's activity
- %Temp%\WRTU\LMutilps32.dat <- configuration file
- fpdfsdk.dll <- DLL required to convert PDF to XML and vice versa
(註:%Temp%フォルダは、一時的にファイルが保存されるフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、 "C:\Windows\Temp" です。.)
マルウェアが作成する以下のファイルは、このマルウェアのインストールされた日を含まれており、その後削除されます。
- ProgramData\Z
マルウェアが作成する以下のファイルは、壁紙として利用される画像です。
- {folders containing encrypted files}\{unique ID}.bmp
マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。
- {folders containing encrypted files}\{unique ID}.html
- {folders containing encrypted files}\{unique ID}.txt
"{unique ID}"には12つの16進数文字が含まれます。
マルウェアが追加するプロセスは以下のとおりです。
- "%User Temp%\svchost.exe"と名付けられた正規ファイル"rundll32.exe"のコピー。
- ”svchost.exe {malware}.dll,MS11{number}”を実行
スパイウェアが自身の不正活動を実行するために利用する以下のコンポーネントは、マルウェアの活動を記録したファイルです。
- %Temp%\WRTU\ldksetup.tmp
スパイウェアが自身の不正活動を実行するために利用する以下のコンポーネントは、環境設定ファイルです。
- %Temp%\WRTU\LMutilps32.dat
スパイウェアが自身の不正活動を実行するために利用する以下のコンポーネントは、"PDF"から"XML"、また"PDF"から"XML"に変換するために利用されます。
- fpdfsdk.dll
スパイウェアは、PDFファイル形式のSWIFTメッセージを使用した銀行取引を改ざんします。これは、PDFファイルが開封された際に行われます。
- ": Statement Line"
- "Closing Balance (期末残高)"
- "POS_TEMP"
- "Opening Balance"
- "Sender"
- ": Debit"
- ": Credit"
- " Debit"
- " Credit"
- "POS_PAGE_START"
- ": Closing Avail Bal (利用可能残高)"
- "Message Trailer"
- "Message Text"
- "Message Header"
- "Instance Type and Transmission"
- "pagecount"
- ": FIN 950" <- SWIFTステートメントメッセージのインジケータ
PDFファイルを読み込み、XMLに変換し一時ファイルに保存します。
XMLファイルを読み込み、構文解析を行ない以下の文字列を検索します。
XMLファイルを環境設定ファイルに基いて変更します。
変更したXMLファイルをPDFファイルに変換し、元のPDFファイルと差し替えます。
ユーザが確認するために正規のFoxit Readerで変更されたXMLファイルを開封します。
スパイウェアは、変更が失敗した場合、自身の活動の痕跡を削します。
- {LOG_PATH}\{SWIFT Code of Bank}{PrtIn/PrtOut}\{SWIFT Message File name}
- {LOG_PATH}\{SWIFT Code of Bank}{PrtIn/PrtOut}\{Year}\{Month}\{Day}\{SWIFT Message File name}
- LOG_PATH-ログファイルのパスで、環境設定ファイル
- SWIFT Message File Name-変更、読み込みが失敗したPDFファイル
- SQLコマンドは以下のフォーマットを利用して実行されます。
sqlcmd.exe -S "{SQL_SERVER_PORT}" -E -Q "set nocount on;SQL_QUERY" -h -1 -W -o "OUTPUT_FILE" - SQL_SERVER_PORT - 環境設定ファイルから取得されたSQLサーバのプロトコル
- OUTPUT_FILE - 実行されたSQLコマンドからアウトプットを受信するためのファイル
- SQL_QUERY - ハードコードされたSQLクエリ
"mspdclr.exe"をパラメータとしてPDFファイルと共に実行します。
PDFフォーマット内の元のSWIFTメッセージを以下のパス内のログから削除します。
SQLコマンドを実行してデータベースのログを削除します。
スパイウェアは、自身の活動を"%Temp%\WRTU\ldksetup.tmp"に記録します。
不正活動を実行するために、スパイウェアは、PDFファイルを操作するデフォルトのアプリケーションになるよう設定されるか、またはPDFファイルを開封するユーザにより手動で選択される必要があります。スパイウェアを正規の"Foxit Reader"と思ったユーザにより手動で登録されるか、スパイウェアが活動の一部として自身を登録するドロッパーを備えているかのどちらかです。
対応方法
手順 1
Windows XP、Windows Vista および Windows 7 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。
手順 2
このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。
手順 3
以下のフォルダを検索し削除します。
- %Temp%\WRTU
手順 4
最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、ウイルス検索を実行してください。「TSPY_TOXIFBNKR.A」と検出したファイルはすべて削除してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。
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