解析者: David John Agni   

 別名:

Win32/Kasidet.AD (ESET-NOD32)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:

  • マルウェアタイプ:
    バックドア型

  • 破壊活動の有無:
    なし

  • 暗号化:
    はい

  • 感染報告の有無 :
    はい

  概要

感染経路 インターネットからのダウンロード, 他のマルウェアからの作成

トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。

このマルウェアは、標的型サイバー攻撃キャンペーン「Pawn Storm 作戦」で利用されるAdobe Flash Player のゼロデイ脆弱性「CVE-2015-7645」のペイロードです。またエクスプロイトキット「Angler Exploit Kit」も、脆弱性「CVE-2015-7645」を取り込んだと報告されています。

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

マルウェアは、不正リモートユーザからのコマンドを実行し、感染コンピュータを改ざんします。

  詳細

ファイルサイズ 129,024 bytes
タイプ EXE
メモリ常駐 はい
発見日 2015年10月29日
ペイロード 情報収集, メッセージボックスの表示, システムセキュリティへの感染活動

侵入方法

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

マルウェアは、以下のファイルを作成します。

  • %Windows%\Tasks\WlVjY2kx.job
  • %Windows%\kernel32.dll
  • %Systems%\Tasks\WlVjY2kx

(註:%Windows%フォルダは、Windowsが利用するフォルダで、いずれのオペレーティングシステム(OS)でも通常、"C:\Windows" です。.)

マルウェアは、感染したコンピュータ内に以下のように自身のコピーを作成します。

  • %Application Data%\WlVjY2kx\{random filename}.exe

(註:%Application Data%フォルダは、Windows 2000、XP および Server 2003 の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data"、Windows Vista 、 7 、8、8.1 、Server 2008 および Server 2012の場合、"C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。.)

マルウェアは、以下のフォルダを作成します。

  • %Application Data%\WlVjY2kx\

(註:%Application Data%フォルダは、Windows 2000、XP および Server 2003 の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data"、Windows Vista 、 7 、8、8.1 、Server 2008 および Server 2012の場合、"C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。.)

マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。

  • WlVjY2kx

自動実行方法

マルウェアは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Run
{random filename}.exe = "%Application Data%\WlVjY2kx\{random filename}.exe" ← (if user is Admin)

HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Run
{random filename}.exe = "%Application Data%\WlVjY2kx\{random filename}.exe"

バックドア活動

マルウェアは、不正リモートユーザからの以下のコマンドを実行します。

  • Download and Install Plugin
  • Delete the registry key HKEY_CURRENT_USER\Software\WlVjY2kx\Addr
  • Download and Execute Files (.vbs, .dll)
  • Find Files and Process
  • Update itself
  • Uninstall itself
  • Modify the registry entries of HKEY_CURRENT_USER\Software\WlVjY2kx\rate
  • Performs DDOS attack
  • Log Keystrokes
  • Copy Clipboard

マルウェアは、以下のWebサイトにアクセスし、不正リモートユーザからのコマンドを送受信します。

  • http://{BLOCKED}sco.biz/tasks.php
  • http://{BLOCKED}dspro.in/asks.php
  • http://{BLOCKED}pwr.pw/ks.php
  • http://{BLOCKED}azad.net/aks.php

ただし、情報公開日現在、このWebサイトにはアクセスできません。

情報漏えい

マルウェアは、以下の情報を収集します。

  • OS Version
  • Machine GUID
  • Installed AV Software

マルウェアが実行する不正リモートユーザからのコマンドは以下のとおりです。

  • プラグインのダウンロードおよびインストール
  • レジストリキー”HKEY_CURRENT_USER\Software\WlVjY2kx\Addr”の削除
  • ファイル(拡張子"vbs"、"dll")のダウンロードおよび実行
  • ファイルとプロセスの検索
  • 自身の更新
  • 自身のアンインストール
  • レジストリ値”HKEY_CURRENT_USER\Software\WlVjY2kx\rate”の変更
  • 「分散型サービス拒否(DDoS)攻撃」の実行
  • キー入力操作情報の記録
  • クリップボードのコピー

マルウェアが収集する情報は以下のとおりです。

  • オペレーティングシステム(OS)のバージョン
  • コンピュータのGUID
  • インストールされたセキュリティ対策製品

変数"{random file name}"には、"svchost.exe"またはWindowsフォルダ内で確認される以下の文字列を含まないEXEファイルのいずれかが当てはまります。

  • install
  • setup
  • update
  • patch

マルウェアは、以下のプロセスを除く実行中のすべてのプロセスをスキャンし、トラック1およびトラック2のクレジットカード情報を取得します。

  • [System]
  • smss.exe
  • csrss.exe
  • winlogon.exe
  • lsass.exe
  • spoolsv.exe
  • devenv.exe

マルウェアは、以下のブラウザおよびクライアントのWindows APIをフックします。

  • Firefox
  • Chrome
  • Internet Explorer
  • デバッガ
  • リモートデバッガまたはローカルデバッガ

いずれかの条件が一致した場合、マルウェアは自身を終了し、エラーメッセージを表示します。

  • コンピュータ名が以下の文字列を含んでいるかどうか。
    • MALTEST
    • TEQUILABOOMBOOM
    • SANDBOX
    • VIRUS
    • MALWARE
  • ファイルのパスが以下の文字列を含んでいるかどうか。
    • SAMPLE
    • VIRUS
    • SANDBOX
  • "kernel32.dll"が以下の関数をエクスポートするかどうか。
    • wine_get_unix_file_name
  • 以下のいずれかのレジストリキーが存在するかどうか。
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\VMware, Inc.\VMware Tools
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Oracle\VirtualBox Guest Additions
  • 以下のレジストリ値が、"VMWARE"、"VBOX"、"QEMU"を含んでいるかどうか。
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\HARDWARE\DEVICEMAP\Scsi\Scsi Port 0\Scsi Bus 0\Target Id 0\Logical Unit Id 0
      Identifier= {registry value}
  • 以下のレジストリ値が、"VBOX"、"QEMU"、"BOCHS"を含んでいるかどうか。
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\HARDWARE\Description\System
      SystemBiosVersion= {registry value}
  • 以下のレジストリ値が、"VIRTUALBOX"を含んでいるかどうか。
    • HKEY_LOCAL_MACHINE\HARDWARE\Description\System
      VideoBiosVersion= {registry value}

  対応方法

対応検索エンジン: 9.750

手順 1

Windows XP、Windows Vista および Windows 7 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 2

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 3

Windowsをセーフモードで再起動します。

[ 詳細 ]

手順 4

このレジストリ値を削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
    • {random filename}.exe = "%Application Data%\WlVjY2kx\{random filename}.exe"← (if user is Admin)
  • In HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
    • {random filename}.exe = "%Application Data%\WlVjY2kx\{random filename}.exe"

手順 5

このレジストリキーを削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

 
  • In HKEY_CURRENT_USER\Software
    • WlVjY2kx

手順 6

以下のフォルダを検索し削除します。

[ 詳細 ]
フォルダが隠しフォルダ属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %Application Data%\WlVjY2kx

手順 7

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %Windows%\Tasks\WlVjY2kx.job
  • %Windows%\kernel32.dll
  • %Systems%\Tasks\WlVjY2kx

手順 8

コンピュータを通常モードで再起動し、最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、「BKDR_KASIDET.XXRO」と検出したファイルの検索を実行してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。


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