トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。
トレンドマイクロは、メール送信者が国際輸送物流会社「DHL」であるかのように偽装したスパム活動を介して拡散するマルウェアを確認しました。マルウェアは、なりすましメールに添付された「.iso」ファイルとしてコンピュータに到達します。マルウェアはスペアフィッシング活動のために利用されていると考えられます。
マルウェアは、他のマルウェアもしくはグレイウェア、または不正リモートユーザによるスパムメールに添付され、コンピュータに侵入します。 マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
マルウェアは、不正リモートユーザからのコマンドを実行し、感染コンピュータを改ざんします。
侵入方法
マルウェアは、他のマルウェアもしくはグレイウェア、または不正リモートユーザによるスパムメールに添付され、コンピュータに侵入します。
マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。
インストール
マルウェアは、感染したコンピュータ内に以下のように自身のコピーを作成します。
- %User Profile%\OEM\systeminfo.exe
(註:%User Profile%フォルダは、現在ログオンしているユーザのプロファイルフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>"です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>" です。)
マルウェアは、以下のファイルを作成します。
- %Application Data%\remcos\logs.dat -> record of user's activities/keylogs
(註:%Application Data%フォルダは、現在ログオンしているユーザのアプリケーションデータフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。)
マルウェアは、以下のプロセスを追加します。
- {malware path and file name}
- %Program Files%\Internet Explorer\iexplore.exe
(註:%Program Files%フォルダは、デフォルトのプログラムファイルフォルダです。C:\Program Files in Windows 2000(32-bit)、Server 2003(32-bit)、XP、Vista(64-bit)、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files"です。また、Windows XP(64-bit)、Vista(64-bit)、7(64-bit)、8(64-bit)、8.1(64-bit)、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Program Files(x86)" です。)
マルウェアは、以下のフォルダを作成します。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
(註:%Application Data%フォルダは、現在ログオンしているユーザのアプリケーションデータフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data" です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。. %User Profile%フォルダは、現在ログオンしているユーザのプロファイルフォルダです。Windows 2000(32-bit)、XP、Server 2003(32-bit)の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>"です。また、Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\Users\<ユーザ名>" です。)
マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。
- Remcos_Mutex_Inj
- Remcos-{random}
自動実行方法
マルウェアは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Windows
Load = "%User Profile%\OEM\systeminfo.exe"
他のシステム変更
マルウェアは、以下のレジストリ値を追加します。
HKEY_CURRENT_USER\Software\remcos_{Random}
exepath = {hex values}
HKEY_CURRENT_USER\Software\Remcos-{random}
licence = {random}
HKEY_CURRENT_USER\Software\Remcos-{random}
Inj = 1
バックドア活動
マルウェアは、不正リモートユーザからの以下のコマンドを実行します。
- Activate keylogger
- Capture audio, or stop capture
- Capture screen
- Change desktop wallpaper
- Change, pause, stop, or start a service
- Clear browser hisotry
- Close a window
- Close affected system's camera
- Close connection
- Connect to a specified server
- Control affected system's camera
- Deactive keylogger
- Delete registry key/entry
- Enumerate registry key/entry
- Modify/add registry entry
- Delete file or directory
- Download a file
- Read a file
- Save a file
- Upload a file
- Empty clipboard data
- Execute a command
- Get active program's window title
- Get clipboard data
- Get process ID of a window
- Get system information
- Hide or show a window
- List files in specified directory
- List installed applications
- List keyboard information
- List running processes
- List windows
- Log off, restart, or shut down the affected system
- Modify a window
- Play an audio in the affected system
- Restart itself
- Show message box
- Terminate a process
- Terminate itself
- Uninstall itself
- Update itself
マルウェアは、以下のWebサイトにアクセスし、不正リモートユーザからのコマンドを送受信します。
- rennelautos.{BLOCKED}w.com:2404
- rennelautos.{BLOCKED}o.org:2404
- kellyben.{BLOCKED}o.org:2404
- jkharding2014.{BLOCKED}s.net:2404
- sunwap878.{BLOCKED}s.net:2404
- sunwap878.{BLOCKED}u.net:2404
- jessen.{BLOCKED}o.org:2404
- jessen.{BLOCKED}s.rocks:2404
その他
マルウェアは、以下のレジストリキーを追加します。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Remcos-{random}
マルウェアは、以下を実行します。
- This Backdoor gathers the following information and reports it to its servers:
- Computer Name
- Operating System Version
- Product Name
- Primary Adapter
- User Access (Admin or Non-admin)
- User Profile
- User Name
- User Domain
- Processor Revision No.
- Processor Level
- Processor Identifier
- Processor Architecture
- System Type (32-bit or 64-bit)
<補足>
インストール
マルウェアは、以下のファイルを作成します。
- %Application Data%\remcos\logs.dat → ユーザの行動/キー入力操作情報の記録
マルウェアは、以下のプロセスを追加します。
マルウェアは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。
バックドア活動
マルウェアは、不正リモートユーザからの以下のコマンドを実行します。
- キーロガーの有効化
- 音声のキャプチャ、またはキャプチャの停止
- 画面のキャプチャ
- デスクトップの壁紙の変更
- サービスの変更、ポーズ、または開始
- 閲覧履歴の削除
- ウインドウを閉じる
- 感染コンピュータのカメラを閉じる
- 接続の停止
- 特定のサーバへの接続
- 感染コンピュータのカメラの操作
- キーロガーの無効化
- レジストリキー/エントリの削除
- レジストリキー/エントリの列挙
- レジストリエントリの変更/追加
- ファイルまたはディレクトリの削除
- ファイルのダウンロード
- ファイルの読み込み
- ファイルの保存
- ファイルのアップデート
- クリップボードのデータの削除
- コマンドの実行
- アクティブなプログラムのウィンドウタイトルの取得
- クリップボードのデータの取得
- ウィンドウのプロセスIDの取得
- コンピュータ情報の取得
- ウインドウの非表示または表示
- 特定のディレクトリ内のファイル一覧
- インストールされているアプリケーション一覧
- キーボード情報の一覧
- 実行中のプロセスの一覧
- ウインドウの一覧
- 感染コンピュータのログオフ、再起動、またはシャットダウン
- ウインドウの変更
- 感染コンピュータ内でオーディオの再生
- 自身で再起動
- メッセージボックスの表示
- プロセスの終了
- 自身の終了
- 自身のアンイストール
- 自身のアップデート
その他
マルウェアは、以下を実行します。
- マルウェアは、以下の情報を収集し自身のサーバに報告します。
- コンピュータ名
- オペレーティングシステム(OS)のバージョン
- 製品名
- プライマリアダプタ
- ユーザのアクセス権 (管理者または管理者以外)
- ユーザプロファイル
- ユーザ名
- ユーザドメイン
- プロセッサリビジョン番号
- プロセッサレベル
- プロセッサ識別子
- プロセッサアーキテクチャ
- システムタイプ(32ビットまたは64ビット)
手順 1
トレンドマイクロの機械学習型検索は、マルウェアの存在を示す兆候が確認された時点で検出し、マルウェアが実行される前にブロックします。機械学習型検索が有効になっている場合、弊社のウイルス対策製品はこのマルウェアを以下の機械学習型検出名として検出します。
Troj.Win32.TRX.XXPE50FFF033
手順 2
Windows XP、Windows Vista 、Windows 7、および Windows 10 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。
手順 3
このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。
手順 4
Windowsをセーフモードで再起動します。
[ 詳細 ]
[ 戻る ]
セーフモードでの起動:
• Windows 2000 の場合:
- コンピュータを起動させます。
- 「Windows **** を起動しています・・・」のメッセージが表示されている間に[F8]を押します。
- 「Windows 拡張オプション メニュー」が表示されるので、[↓][↑]キーを使って[セーフモード]を選択し、[Enter]を押します。
• Windows XP の場合:
- コンピュータを起動させます。
- 「Windows **** を起動しています・・・」のメッセージが表示されている間に[F8]を押します。
- 「Windows 拡張オプション メニュー」が表示されるので、[↓][↑]キーを使って[セーフモード]を選択し、[Enter]を押します。
• Windows Server 2003 の場合:
- コンピュータを起動させます。
- 「Windows **** を起動しています・・・」のメッセージが表示されている間に[F8]を押します。
- 「Windows 拡張オプション メニュー」が表示されるので、[↓][↑]キーを使って[セーフモード]を選択し、[Enter]を押します。
• Windows Vista、Windows 7 および Windows Server 2008 の場合:
- コンピュータを起動させます。
- 「Windows **** を起動しています・・・」のメッセージが表示されている間に[F8]を押します。
- 「詳細ブート オプション」が表示されるので、[↓][↑]キーを使って[セーフモード]を選択し、[Enter]を押します。
• Windows 8、8.1 および Server 2012の場合:
- 画面の右上隅へマウスポインタを移動し、[チャーム]バーを表示します。
- マウスで、[設定]-[PC設定の変更]を選択します。
- 左側のパネルで、[全般]を選択します。
- 右側のパネルで、[PCの起動をカスタマイズする]が表示されるまで下にスクロールし、[今すぐ再起動]をクリック。コンピュータが再起動するまで待ちます。
- [オプションの選択]メニューで、[トラブルシューティング]-[詳細オプション]-[スタートアップ設定]-[再起動]をクリックします。
- [スタートアップ設定]メニューで、[4]キーを押し、「4)セーフモードを有効にする」を選択します。
手順 5
このレジストリ値を削除します。
[ 詳細 ]
[ 戻る ]
警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。
- In HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows
- Load = "%User Profile%\OEM\systeminfo.exe"
このマルウェアが追加したレジストリ値の削除:
- 「レジストリエディタ」を起動します。
[スタート]-[ファイル名を指定して実行]を選択し、regedit と入力し、[OK]をクリックします。
※regedit は半角英数字で入力する必要があります(大文字/小文字は区別されません)。 - 「レジストリエディタ」の左側のパネルにある以下のフォルダをダブルクリックします。
HKEY_CURRENT_USER>Software>Microsoft>Windows NT>CurrentVersion>Windows - 右側のパネルで以下のレジストリ値を検索し、削除します。
Load = "%User Profile%\OEM\systeminfo.exe" - 「レジストリエディタ」を閉じます。
手順 6
このレジストリキーを削除します。
[ 詳細 ]
[ 戻る ]
警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。
- HKEY_CURRENT_USER\Software\Remcos-{random}
このマルウェアが追加したレジストリキーの削除:
- 「レジストリエディタ」を起動します。
- Windows 2000、XP および Server 2003 の場合:
[スタート]-[ファイル名を指定して実行]を選択し、regedit と入力し、Enter を押します。 - Windows Vista、7 および Server 2008 の場合:
[スタート]をクリックし、検索入力欄に regedit と入力し、Enter を押します。 - Windows 8、8.1 および Server 2012 の場合:
画面の左下隅を右クリックし、[ファイル名を指定して実行]を選択します。入力ボックスに regedit と入力し、Enter を押します。
※regedit は半角英数字で入力する必要があります(大文字/小文字は区別されません)。 - HKEY_CURRENT_USER\\Software\\Remcos-{random}
- 「レジストリエディタ」を閉じます。
手順 7
以下のフォルダを検索し削除します。
[ 詳細 ]
[ 戻る ]
フォルダが隠しフォルダ属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
このマルウェアまたはアドウェア等が作成したフォルダの削除:
Windows 2000、XP および Server 2003 の場合: - [スタート]-[検索]-[ファイルとフォルダすべて]を選択します。
- [ファイル名のすべてまたは一部]に、以下のフォルダ名を入力してください。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
- [探す場所]の一覧から[マイコンピュータ]を選択し、[検索]を押します。
- 検索が終了したら、フォルダを選択し、SHIFT+DELETE を押します。これにより、フォルダが完全に削除されます。
- 残りのフォルダに対して、このマルウェアまたはアドウェア等が作成したフォルダの削除の手順 2.)から 4.)を繰り返してください。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
註:ファイル名の入力欄のタイトルは、Windowsのバージョンによって異なります。(例:ファイルやフォルダ名の検索の場合やファイル名のすべてまたは一部での検索)
Windows Vista、7、Server 2008、8、8.1 および Server 2012 の場合: - Windowsエクスプローラ画面を開きます。
- Windows Vista、7 および Server 2008 の場合:
- Windows 8、8.1 および Server 2012 の場合:
- 画面の左隅を右クリックし、[エクスプローラー]を選択します。
- [コンピューターの検索]に、以下を入力します。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
- 検索が終了したら、そのファイルを選択し、SHIFT+DELETE を押します。これにより、フォルダが完全に削除されます。
- 残りのフォルダに対して、このマルウェアまたはアドウェア等が作成したフォルダの削除の手順 2.)から 3.)を繰り返してください。
- %Application Data%\remcos
- %User Profile%\OEM
註:Windows 7 において上記の手順が正しく行われない場合、マイクロソフトのWebサイトをご確認ください。
手順 8
コンピュータを通常モードで再起動し、最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、「Backdoor.MSIL.REMCOS.AOJ」と検出したファイルの検索を実行してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。
ご利用はいかがでしたか? アンケートにご協力ください