学校法人 札幌大学

既存端末を活用し情報教育用PCをVDI化
講義ごとに発生する一斉アクセスによるサーバ過負荷を
エージェントレスのセキュリティ対策で抑止

概要

お客さまの課題

IT投資最適化のために情報教育用PCのVDI化に着手。しかし、各仮想PCにセキュリティ対策ソフトをインストールすると、一斉ログインの度に性能が低下する恐れがあった 

解決策と効果

Trend Micro Deep Security Virtual Appliance™によって安全・安心な情報教育環境を実現。重点分野であるBYOD環境の整備に専念できた上、今後は学生の持ち込み端末からのVDIへのアクセスも検討している

導入の経緯

いつでも情報にアクセスできる環境へ IT投資の方向を大きく転換

北の国際都市である札幌市にキャンパスを構える札幌大学。「生気あふれる開拓者精神」を建学の精神として掲げる文科系総合私立大学である。

開学以来、同大学は次世代を担う優秀な人材の育成に力を注いできた。2013年には、従来の学部・学科制から1学群・13専攻制へ移行。「学部という垣根をなくして、学修の分野ごとに『専攻』を設置。1年次には、自分の興味・関心のある専攻の入門科目をいくつか履修し、2年次に、それを踏まえて『主専攻』を決めるというように、学びながら将来のキャリアを考えることができるようにしたのです」と同大学の岡山武史氏は説明する。

こうした改革は、IT投資の領域にも及ぶ。具体的には、学内の端末利用に関して大きな方向転換を図ったのである。

現在、同大学は「アクティブ・ラーニング」に力を入れている。これは一般的な講義形式の学修とはことなり、学内外における自主的な活動や研修などを通じて、問題発見力、解決能力など社会人として求められる実践的な力を養う手法。「そのために欠かせないのが、学生たちが知りたい時に、知りたい情報にアクセスできる環境です。講師が発した一言に反応して、その場で関連する情報を自分の意思で調べることができれば、知識をさらに『身につける』ことができます」と岡山氏は言う。

そこで同大学では、ノートPCやタブレットなど、学生が最も使い慣れた自身の端末を持ち込み、自在に利用できる環境、いわゆるBYOD(Bring Your Own Device)環境の整備に着手。学内のどこからでも、インターネットに接続できるWi-Fi環境の構築などを推進することを決めた。

一方、これまで情報処理教室に設置し、据え置きで利用してきた情報教育用PCについては投資を最適化することを決定。「アクティブ・ラーニングという観点で見ると、据え置きの情報教育用PCは用途が限られます。とはいえ、一般教養としての情報教育の必要もあり、全てをなくすわけにもいきません。そこで、現在使っているPCを仮想PCへのアクセス用端末に流用し、既存資産を有効活用するなど、様々なコスト最適化策を実施できるVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の導入を決めました」と岡山氏は続ける。

導入プロセス

サーバへの負荷の最小化などVDIセキュリティのあるべき姿を追求

情報教育用PCの導入に当たり、同大学は複数のベンダーに提案を依頼。最終的に富士通をパートナーに選定した。

VDIの構築に当たり、富士通が特に重視したのが、いかに集約率を上げ、サーバリソースを有効活用するかという点だ。「1台のサーバ上で複数の仮想PCを稼働させるVDIの場合、最適なリソース設計を行わなければ、パフォーマンス低下などの問題が発生します。一方、コストの観点からはサーバ当たりの仮想PCの集約率はできるだけ上げたい。この2つの問題を同時に解決しなければならないのです」と今回のプロジェクトを担当した富士通の川口 孝司氏は話す。

さらに大学ならではの問題もあった。サーバ過負荷の原因になりやすい一斉ログインが講義の度に発生することだ。開講時に常にパフォーマンスが低下していては、限られた講義の時間をムダにすることになる。

こうした問題を解決するために目を付けたのが、ウイルス対策ソフトである。ウイルス対策ソフトは、PCログイン時に一律で起動するソフトの代表である。VDIに最適な製品を選択することでサーバの過負荷を抑止できると考えたのだ。複数の製品を比較し、最終的に選択したのがトレンドマイクロの「Trend Micro Deep Security Virtual Appliance™」(以下、DSVA)だった。VDI基盤には、サーバ上あたりの仮想PCの集約率を最大化することが可能な「VMware Horizon View」を選択した。

「個々の仮想PCにエージェントをインストールするソリューションとは異なり、エージェントレス型のDSVAはVMware Horizon Viewと連携して、ウイルス検索などの処理を専用の仮想マシンへオフロードすることができる。これなら、一斉ログイン時もウイルス検索、パターンファイルの更新時にもサーバへの過負荷を抑止できます」と川口氏は採用の理由を説明する。

また、DSVAがVMware Horizon Viewのオフロード機能にいちはやく対応し、すでに豊富な導入実績があったことに加え、同大学が長年にわたりトレンドマイクロ製品を活用しており、その安全性を高く評価していたことも採用を後押しした。

導入効果

安心・安全な情報インフラを活かし学生たちの新しい「学び」を支える

新たに構築したVDIは、想定通りの安定稼働を実現している。DSVAによって、安定性と安全性を両立したのである。

「安定性のために安全性を犠牲にすることはできません。大学は学生に対して情報リテラシー教育を行っているわけですから、自らもしっかりとした環境を提供する責任があります。また、研究者の中には、情報を探すためにインターネット上の危険なエリアにアクセスせざるを得ない人も多い。高度な安全性は大学にとって必要不可欠なのです」と岡山氏は大学におけるセキュリティ対策の意義を語る。

さらにVDI化によって、以前はPC1台ずつに手作業で行わなければならなかった、ソフトウェアのアップデート、OSのパッチ適用も効率的に行えるようになる。加えて、今回のプロジェクトを機に、以前は管理が別になっていた各教室の教員用PCも統合するなど、運用管理負荷を大きく低減している。

構築に当たってのサポート、サービスに関する評価も高い。「当初は計画していたパフォーマンスが出ない事象も発生しましたが、早期の対応で解決。やはり技術力と実績のあるパートナー、メーカーを選ぶべきですね」(岡山氏)。

こうしたサポート体制が実現できた背景には、トレンドマイクロと富士通の緊密な協力体制があった。「技術者への講習会などを通じ、システム構築ノウハウ/技術情報の提供、検証作業支援などのサポートを行ってくれました。自分たちだけで試行錯誤を繰り返していたら、これほどスムーズにプロジェクトを進めることはできなかったでしょう」と川口氏は言う。

安全・安心な情報インフラを実現したことで、同大学は、今後の教育・研究活動に大きな弾みがつくことを期待している。「BYOD環境やVDIを講義にどのように活用するかは、教授たちの判断もありますが、可能性は大きく広がりました。将来的には、スマホやタブレットなどの持ち込みデバイスからVDI環境に自由にアクセスし、学外でのワークショップなどでも利用できる仕組みも実現したいと考えています。学生たちの新しい『学び』を支えるためのツールとして、今回の環境を積極的に活用していきたいと思います」と岡山氏は最後に抱負を語った。

札幌大学の仮想化環境におけるセキュリティ対策イメージ

※ 記載内容は2013年9月現在のものです。内容は予告なく変更される場合があります。