解析者: Nathaniel Gregory Ragasa   

 別名:

Trojan-Ransom.BlackMatter(IKARUS), Ransom:Win32/Lockbit.STB(MICROSOFT)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:

  • マルウェアタイプ:
    身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)

  • 破壊活動の有無:
    なし

  • 暗号化:
     

  • 感染報告の有無 :
    はい

  概要

感染経路 インターネットからのダウンロード, 他のマルウェアからの作成

トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。

トレンドマイクロは検体のデバッグにより、別のランサムウェア「BlackMatter」との類似性を確認しました。さらにLockBit 3.0はメインの動作を復号する際、パスパラメータを要求することも分かりました。これは、パラメータが利用できないことで解析時のリバースエンジニアリングを困難にするための処置といえます。

LockBitグループが開始した報酬付きのバグバウンティプログラムは、ランサムウェアをより強力なものにし、攻撃グループを支援する結果ともなる可能性があり、企業や組織は、この新しい亜種への警戒が求められています。

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

身代金要求文書のファイルを作成します。 以下のファイル拡張子を持つファイルは暗号化しません。

  詳細

ファイルサイズ 165,888 bytes
タイプ EXE
メモリ常駐 はい
ペイロード 画像の表示, メッセージボックスの表示, ファイルの暗号化, システムのレジストリの変更, プロセスの強制終了

侵入方法

マルウェアは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

マルウェアは、以下のファイルを作成します。

  • %ProgramData%\HLJkNskOq.ico
  • %ProgramData%\HLJkNskOq.bmp

(註:%ProgramData%フォルダは、マルチユーザーシステムにおいて任意のユーザがプログラムに変更を加えることができるプログラムファイルフォルダのバージョンです。これには、すべてのユーザのアプリケーションデータが含まれます。Windows Vista、7、8、8.1、2008(64-bit)、2012(64-bit)、10(64-bit)の場合、通常 "C:\ProgramData" です。Windows Server 2003(32-bit)、2000(32-bit)、XPの場合、通常 "C:\Documents and Settings\All Users" です。 )

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • if -safe is used:
    • bcdedit /set {current} safeboot network

マルウェアは、以下のプロセスにコードを組み込みます。

  • svchost.exe

自動実行方法

マルウェアは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\RunOnce
*{random} = {malware path}\{malware name}

他のシステム変更

マルウェアは、以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\{appended ransomware extension}
hScreen = {screen height}

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\{appended ransomware extension}
wScreen = {screen width}

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
AutoAdminLogon = 1

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
DefaultUserName = Administrator

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\
Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
DefaultDomainName = {Computer name}

マルウェアは、以下のレジストリ値を変更し、デスクトップの壁紙を変更します。

HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop
WallPaper = %ProgramData%\HLJkNskOq.bmp

HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop
WallpaperStyle = 10

マルウェアは、コンピュータのデスクトップの壁紙に以下の画像を設定します。

プロセスの終了

マルウェアは、感染コンピュータ上で確認した以下のサービスを終了します。

  • backup
  • GxBlr
  • GxCIMgr
  • GxCVD
  • GxFWD
  • GxVss
  • memtas
  • mepocs
  • msexchange
  • sophos
  • sql
  • svc$
  • veeam
  • vss

マルウェアは、感染コンピュータ上で以下のプロセスが常駐されていることを確認した場合、そのプロセスを終了します。

  • agntsvc
  • dbeng50
  • dbsnmp
  • encsvc
  • excel
  • firefox
  • infopath
  • isqlplussvc
  • msaccess
  • mspub
  • mydesktopqos
  • mydesktopservice
  • notepad
  • ocautoupds
  • ocomm
  • ocssd
  • onenote
  • oracle
  • outlook
  • powerpnt
  • sqbcoreservice
  • sql
  • steam
  • synctime
  • tbirdconfig
  • thebat
  • thunderbird
  • visio
  • winword
  • wordpad
  • xfssvccon

その他

マルウェアは、以下のレジストリキーを追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\
HLJkNskOq\DefaultIcon

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\
HLJkNskOq

マルウェアは、以下を実行します。

  • If not executed with admin rights, it will attempt relaunch itself as admin by elevating its privileges via bypassing UAC
  • It encrypts fixed, removable and network drives
  • It deletes files in recycle bin folder for removable and fixed drives
  • It uses WQL to delete shadow copies
  • It terminates if the machine has the following system language:
    • Arabic (Syria)
    • Armenian (Armenia)
    • Azerbaijani (Cyrillic Azerbaijan)
    • Azerbaijani (Latin Azerbaijan)
    • Belarusian (Belarus)
    • Georgian (Georgia)
    • Kazakh (Kazakhstan)
    • Kyrgyz (Kyrgyzstan)
    • Russian (Moldova)
    • Russian (Russia)
    • Tajik (Cyrillic Tajikistan)
    • Tatar (Russia) Romanian (Moldova)
    • Turkmen (Turkmenistan)
    • Ukranian (Ukraine)
    • Uzbek (Cyrillic Uzbekistan)
    • Uzbek (Latin Uzbekistan)
  • It deletes the following services:
    • wdnissvc
    • WinDefend
    • wscsvc
    • sppsvc
    • Sense
    • SecurityHealthService
  • It has the capability to print the ransom note in infected machines

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • -pass {value} Uses the first 32 characters of the value as key to decrypt the main routine. Required to execute properly.
  • And performs only one from the following parameters:
    • -safe → Reboots in safeboot
    • -wall → Only set Ransomware Wallpaper and Print ransom note on printers
    • -path {target} → Specifically encrypt the target, can be file or folder
    • -gspd → Perform Group Policy Modification for Lateral Movement
    • -psex → Lateral Movement via Admin Shares
    • -gdel → Delete group policy updates
    • -del → Delete itself

ランサムウェアの不正活動

マルウェアは、ファイル名に以下の文字列を含むファイルの暗号化はしません。

  • autorun.inf
  • boot.ini
  • bootfont.bin
  • bootsect.bak
  • desktop.ini
  • iconcache.db
  • ntldr
  • ntuser.dat
  • ntuser.dat.log
  • ntuser.ini
  • thumbs.db

マルウェアは、以下のフォルダ内で確認されたファイルの暗号化はしません。

  • $recycle.bin
  • $windows.~bt
  • $windows.~ws
  • all users
  • appdata
  • application data
  • boot
  • config.msi
  • default
  • google
  • intel
  • mozilla
  • msocache
  • perflogs
  • program files
  • program files (x86)
  • programdata
  • public
  • system volume information
  • tor browser
  • windows
  • windows.old
  • x64dbg

マルウェアが作成する以下のファイルは、脅迫状です。

  • {Infected Directory}\HLJkNskOq.README.txt

以下のファイル拡張子を持つファイルについては暗号化しません:

  • 386
  • adv
  • ani
  • bat
  • bin
  • cab
  • cmd
  • com
  • cpl
  • cur
  • deskthemepack
  • diagcab
  • diagcfg
  • diagpkg
  • dll
  • drv
  • exe
  • hlp
  • hta
  • icl
  • icns
  • ico
  • ics
  • idx
  • key
  • ldf
  • lnk
  • lock
  • mod
  • mpa
  • msc
  • msi
  • msp
  • msstyles
  • msu
  • nls
  • nomedia
  • ocx
  • pdb
  • prf
  • ps1
  • rom
  • rtp
  • scr
  • shs
  • spl
  • sys
  • theme
  • themepack
  • wpx

<補足>
インストール

マルウェアは、以下のプロセスを追加します。

  • パラメータ「-safe」が使用された場合:
    • bcdedit /set {カレント} safeboot network

その他

マルウェアは、以下を実行します。

  • 管理者権限で実行されない場合、ユーザアカウント制御(UAC)をバイパスして権限を昇格させ、管理者として自身を再起動しようと試みます。
  • 固定ドライブ、リムーバブルドライブ、ネットワークドライブを暗号化します。
  • リムーバブルおよび固定ドライブに存在するごみ箱フォルダ内のファイルを削除します。
  • WMI クエリ言語(WQL))を用いてシャドウコピーを削除します。
  • 感染コンピュータ内に以下のシステム言語が存在する場合、強制終了します。
    • アラビア語(シリア)
    • アルメニア語(アルメニア)
    • アゼルバイジャン語(キリル文字表記、ウズベキスタン)
    • アゼルバイジャン語(ラテン文字表記、ウズベキスタン)
    • ベラルーシ語(ベラルーシ)
    • グルジア語(ジョージア)
    • カザフ語(カザフスタン)
    • キルギス語(キルギス)
    • ロシア語(モルドバ)
    • ロシア語(ロシア)
    • タジク語(キリル文字表記、タジキスタン)
    • タタール語(ロシア)
    • ルーマニア語(モルドバ)
    • トルクメン語 (トルクメニスタン)
    • ウクライナ語 (ウクライナ)
    • ウズベク語(キリル文字表記、ウズベキスタン)
    • ウズベク語(ラテン文字表記、ウズベキスタン)
  • 以下のサービスを削除します。
    • wdnissvc
    • WinDefend
    • wscsvc
    • sppsvc
    • Sense
    • SecurityHealthService
  • 感染コンピュータ内に身代金要求文書(脅迫状)を表示する機能を備えています。

マルウェアは、以下のパラメータを受け取ります。

  • -pass {値}は、目的の不正活動を復号する鍵として、-pass {値}の最初の32文字を使用します。正しく実行するために必要です。
  • さらに、以下のパラメータから 1 つだけを実行します。
    • -safe → セーフブートで再起動する
    • -wall → ランサムウェアの壁紙のみを設定し、プリンタでランサムノートを印刷する
    • -path {対象とするファイル/フォルダ} → 対象とするファイル/フォルダを暗号化する
    • -gspd → 横展開のためにグループポリシーを編集する
    • -psex → 管理共有を介して横展開する
    • -gdel → グループポリシーの更新を削除する
    • -del → 自身の削除

  対応方法

対応検索エンジン: 9.800
初回 VSAPI パターンバージョン 17.666.02
初回 VSAPI パターンリリース日 2022年7月4日
VSAPI OPR パターンバージョン 17.667.00
VSAPI OPR パターンリリース日 2022年7月5日

手順 1

トレンドマイクロの機械学習型検索は、マルウェアの存在を示す兆候が確認された時点で検出し、マルウェアが実行される前にブロックします。機械学習型検索が有効になっている場合、弊社のウイルス対策製品はこのマルウェアを以下の機械学習型検出名として検出します。

     
    • TROJ.Win32.TRX.XXPE50FLM011

手順 2

Windows 7、Windows 8、Windows 8.1、および Windows 10 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 3

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 4

Windowsをセーフモードで再起動します。

[ 詳細 ]

手順 5

このレジストリ値を削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\RunOnce
    • *{random} = {malware path}\{malware name}
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\HLJkNskOq\DefaultIcon
    • {Default} = %ProgramData%\HLJkNskOq.ico
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • AutoAdminLogon = 1
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • DefaultUserName = Administrator
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon
    • DefaultDomainName = {Computer name}

手順 6

このレジストリキーを削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\HLJkNskOq\
    • DefaultIcon
  • In HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\
    • HLJkNskOq

手順 7

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性に設定されている場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %ProgramData%\HLJkNskOq.ico
  • %ProgramData%\HLJkNskOq.bmp
  • {Infected Directory}\HLJkNskOq.README.txt

手順 8

コンピュータを通常モードで再起動し、最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、「Ransom.Win32.LOCKBIT.YXCGD」と検出したファイルの検索を実行してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。

手順 9

暗号化されたファイルをバックアップから復元します。

手順 10

デスクトッププロパティを修正します。

[ 詳細 ]


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