特許機器株式会社

Office 365 への移行を機に
IT活用とセキュリティを共に前進
社内外で安全に業務ができる環境を構築

概要

お客さまの課題

経営方針としてIT活用による生産性向上が掲げられたが、アプリケーションの基盤が老朽化しており、十分なセキュリティを施すこともできない

解決策と効果

メールだけでなく Office 365 内のファイルも保護して、場所を選ばず、いつでもどこでも安心して利用できる業務環境を構築。社員の意識と働き方が変わった

"メールとファイルセキュリティを備え、容易に導入できるだけでなく、Office 365 以外のクラウドサービスにも対応できる。将来のIT環境を見据えてCASを採用しました"

特許機器株式会社
管理部 情報システム課 課長
井上 秀雄 氏

"コンテンツセキュリティに関する機能を同じインタフェースから統合的に管理できる点もCASの大きなアドバンテージです"

特許機器株式会社
管理部 情報システム課
松長 佑樹 氏

導入の背景

「振動を科学する」をコンセプトに据えて、社会の振動にまつわる課題を解決する特許機器。商業施設やビルなどで空調設備の室外機の振動が建物に与える影響を軽減する「防振」、地震などによるビルの揺れを防ぐ「制震・免震」、そして半導体といった精密機器を生産する工場や作業環境で求められる「除震」という、大きく3つの領域で、同社はコンサルティング、製品供給と施工、さらには維持管理に至るトータルなソリューションを提供している。

お客さまの課題

中国に大規模工場を開設し、欧州でのビジネスも推し進めるなど、同社はさらなる成長に向けて積極的な取り組みを展開している。将来のデジタル経営を見据えた、IT活用による生産性の向上もその1つだ。

「当社の従業員は約250名ですが、情報システム課の職員は3名。限られた人員で全社の情報インフラと業務アプリケーションを担当していることもあり、それまでのIT活用は十分とはいえませんでした。グループウェアは導入していましたが、ファイル共有が中心の利用で、スケジュール管理は各人が手帳を使っていたり、部門間の伝達も朝礼が主でした」と特許機器の井上 秀雄氏は実情を明かす。

そうした状況に危機感を覚えていた同社は、業務の効率化からソリューションの強化まで、幅広くITを積極的に活用することを決めたのである。

その際、同時に取り組んだのがセキュリティの強化だ。

メールやグループウェアは、サーバをホスティングして運用していたが、メーカーのサポート期間が終了したハードウェアやソフトウェアもあった。「老朽化したアプリケーション基盤はリソースの制限もあり、十分なセキュリティ対策を行うのが困難でした。メールサーバ側でも対策を行ってはいたものの、ウイルスメールが従業員のパソコンに届いてから対処している状態でした」と同社の松長 佑樹氏は話す。

IT活用と、それを支えるセキュリティ、2つのテーマと向き合い、同社はメールシステムおよびグループウェアを刷新するプロジェクトを開始した。

解決策の検討

同社が目指したのは、場所を選ばず、いつでも、どこからでも利用できるメール、グループウェアだ。検討にあたっては、独自に作りこむのではなく、業界標準のクラウドサービスを組み合わせて構成することを原則とした。

「外出の多い営業担当者などには、タブレットやスマートフォンを貸与しています。社外でも社内と同様に業務を行える環境を整えたい一方で、アクセスは会社貸与のデバイスからだけに限定したい。また、海外でのビジネスが加速していることもあり、グローバルで標準的に利用できるサービスであることと、さらに将来的なサービスの追加を想定した拡張性も重視しました」と井上氏は語る。

複数の提案を検討した上で、同社が最終的に導入したのがMicrosoft® Office 365® (以下、Office 365)と認証サービス、そして「Trend Micro Cloud App Security™(以下、CAS)」だ。プロジェクト全体の提案から構築を任せたのは、井上氏が「当社の業務をよく理解してくれている」と信頼するリコージャパンである。

選定理由

メール、グループウェア、ファイル共有を1つのサービスで網羅できる点、海外でもそのまま利用できる点、そして、セキュリティベンダーとしての実績やAPI連携による拡張性がCASの選定のポイントとなった。

「Office 365 も標準的なセキュリティを備えていますが、昨今のなりすましメールなどから社員を守るには、専門家であるトレンドマイクロの力が必要と考えました。また、今後、IT活用を加速する中では Office 365 以外にもDropboxやBoxといったクラウドサービスを導入することも考えられます。それを見越して、今回、複数サービスへのシングルサインオンを可能にする統合認証基盤も導入していますが、CASも Office 365 だけでなく、ほかのサービスに対応しており、そのことも評価しました。リコージャパンとトレンドマイクロの問い合わせへの迅速な対応にも安心感がありました」と井上氏は強調する。

特許機器のシステム構成イメージ

導入

CASは Office 365 などのクラウドサービスとAPI連携し、メールやファイルに対するマルウェア検知やWebレピュテーションなどのセキュリティ機能を提供する。企業とクラウドサービスとの間で処理を行うゲートウェイ型製品・サービスの場合、メールサーバの設定変更などが必要となるが、CASはそうした作業を行わずとも、アカウント情報を入力するなどのシンプルな作業で利用を開始できる特長がある。実際、今回のプロジェクトでも数日で効率的に導入できたという。

「運用時も1つのコンソールからメール保護、ファイル保護など、Office 365 の各サービスに対する設定を一括で行える上、セキュリティの状況も統合的に把握可能。詳細なカスタマイズ設定も可能ですが、まずは推奨設定で運用し、攻撃や運用の状況を見ながら改善していこうと考えています」(松長氏)

効果

こうして特許機器は、積極的なIT活用に向けた第一歩を確実に踏み出した。「身近なところでは、日々のコミュニケーションが変わってきています。Office 365 上でメンバーの予定を確認してすぐに会議を設定するなど、効率性とスピードが格段に向上しています」と井上氏は語る。

ほかにもSharePoint® Onlineを利用して構築した全社ポータルを通じて、社長メッセージ、重要連絡事項などをタイムリーに配信。スムーズな情報の周知、徹底に役立てている。

「このような成果につなげることができたのは、CASによって、社内、社外を問わず安心して Office 365 を利用できることが大きい。セキュリティの観点で利用に制限をかけてしまうと、途端に不便さが勝ってしまい、せっかくのサービスの浸透を妨げる場合もありますから」と松長氏は言う。

現在は、毎日50~60件の不正なメールがCASによって検知・排除されているということをCASのレポートを通じて確認しているという。「これまでは、どんな攻撃を、どれくらい受けているかがわからず、漠然と不安を抱えている状況でしたから、攻撃を可視化できることにも非常に大きなメリットを感じています」と松長氏は続ける。

苦労と展望

このような成果の背景には、システムだけでなく「ヒト」の面での取り組みもあった。

「働く人の意識を変えることが最も重要。移行にあたっては、全社員向けに説明会を開き、地道に使い方を伝えていきました。社員も自身の業務効率が上がることを実感すれば、進んで使ってくれます」と井上氏は言う。

一方、情報システム部門も Office 365 のさらなる使いこなし、さらにセキュリティレベルの向上のためのスキルアップに日夜励んでいる。デジタル経営の実現に向けて情報システム課が果たさなければならない役割はまだまだ大きいからだ。

「営業支援やワークフローシステムによる業務改善、Webサイトの刷新、生産システムの再構築、海外工場立ち上げの支援など、いずれもITが不可欠です。現場の従業員と一丸となってチームで取り組んでいきたいですね」と井上氏は最後に展望を語った。

  • 製品・サービスの導入効果は、ご利用企業・組織の方の声に基づくものであり、お客さまご利用状況により効果は異なります。
  • 記載内容は2019年4月現在のものです。内容は予告なく変更される場合があります。