Virtual Private Network (VPN)は、ユーザのデバイスと組織ネットワークの間に暗号化された通信経路(トンネル)を構築することで、データ通信を保護し、プライバシーを確保して不正アクセスや脅威を防ぐ技術です。
目次
組織は、機密情報の保護、安全なリモートアクセスの実現、データ保護規制の遵守といった目的でVPNを広く活用しています。サイバー脅威にさらされることの多い今日のビジネス環境において、VPNは他のセキュリティ対策と組み合わせることで、特に重要な役割を果たします。英国の調査「Cyber Security Breaches Survey 2024」によると、組織の半数(50%)が過去1年間にサイバー攻撃またはセキュリティ侵害を経験しており、この数値は中規模企業で70%、大企業では74%にまで上昇すると報告されています。脅威の進化に伴い、組織はVPNだけで十分な保護が得られるのか、あるいはゼロトラストセキュリティやSASE(Secure Access Service Edge)といった追加の対策が現代のサイバー脅威から保護するために必要なのかを評価する必要があります。
VPN (Virtual Private Network)は、インターネット接続を暗号化し、プライベートかつ安全な状態を維持するための技術です。VPNは、IPアドレスをマスキングし、ユーザと組織のサーバ間の通信を暗号化することで、組織の機密データ保護を支援します。(参考:NCSC VPNセキュリティガイドライン)
組織にとってVPNは、リモートワーカーや機密データをサイバー攻撃から保護し、セキュリティ関連規制への準拠を維持する上で不可欠なツールです。
VPNは、データ保護、セキュアなアクセス、そして業界規制の遵守を目指す組織にとって、一般的なサイバーセキュリティツールです。リモートワークやクラウドベースのインフラ、グローバルチームといった環境で事業を行う組織にとって、VPNはサイバー脅威に対する重要な防御策となります。
法人向けVPNは、個々の接続を保護するだけでなく、ネットワークセキュリティにおいて重要な役割を果たし、データ傍受や不正アクセス、サイバー攻撃といったリスクの軽減に貢献します。安全なリモートワークソリューションへの需要が高まる中、組織は自社の包括的なサイバーセキュリティ戦略においてVPNがどのように貢献できるかを評価する必要があります。
セキュリティの強化:VPNはデータ通信を暗号化し、サイバー脅威や不正アクセスのリスクを軽減します。
セキュアなリモートアクセス:従業員はどこからでも社内ネットワークに安全に接続でき、セキュアなリモートワークを実現します。
データプライバシー:VPNはIPアドレスをマスキングしてオンラインでの匿名性を確保し、第三者によるユーザ活動の追跡を防ぎます。
費用対効果の高いソリューション:高価な専用線の代替としてVPNを利用することで、コストを削減できます。
規制コンプライアンスへの貢献:GDPR、HIPAA、PCI-DSSといった規制のコンプライアンス要件を満たす上で役立ちます。
法人向けVPNソリューションを活用することで、組織は自社のネットワークインフラと機密データを保護し、シームレスなリモートワークを実現できます。
VPNは、業界固有のサイバーセキュリティやコンプライアンスの要件を満たすために、様々な業界で広く利用されています。以下に、主要な業界でVPNソリューションがどのように活用されているかの例を挙げます。
金融サービス:暗号化によって取引データを保護し、GDPRやPCI-DSSといった規制への準拠を確実にします。
医療:HIPAAやGDPRといった規制に準拠して機密性の高い患者データを保護するとともに、医療従事者へ安全なリモートアクセスを提供します。
公共部門:政府および公共サービスのネットワークをサイバー脅威から保護し、国が定めるセキュリティ基準への準拠を確実にします。
法人向けVPNを利用することで、これらの業界の組織はリスクを軽減し、データ侵害を防止して、規制要件を満たすことができます。
個人向けVPNが個人のセキュリティ確保に広く利用される一方、法人向けVPNはビジネス上の要件を満たすよう特別に設計されています。両者の主な違いは以下の通りです。
項目
法人向けVPN
個人向けVPN
目的
法人ネットワークとリモートワーカーの保護
個人のセキュリティとプライバシーの確保
セキュリティレベル
高度な暗号化、多要素認証(MFA)、アクセス制御による包括的な保護
基本的な暗号化と匿名ブラウジング機能の提供
拡張性
大規模チーム、複数拠点、クラウド連携に対応
個人または小規模での利用に限定
コンプライアンス
GDPR、ISO 27001、NISTなどの各種規制・標準への準拠を支援
一般的にコンプライアンス要件には非対応
パフォーマンス
専用サーバを利用し、法人利用向けに最適化
共有サーバを利用するため、通信速度が低下する場合がある
従来のVPNは、今日の高度な脅威が蔓延する状況においては限界があります。主な課題は以下の通りです。
きめ細かいアクセス制御の欠如:VPNはネットワーク全体へのアクセスを許可するため、セキュリティリスクが増大します。
パフォーマンスのボトルネック:すべての通信が中央のVPNサーバを経由するため、ネットワークのパフォーマンスが低下する可能性があります。
最新の脅威に対する保護の不足:VPNは、フィッシング、マルウェア、内部不正といった脅威に対する保護を提供しません。(参考:NISTサイバーセキュリティフレームワーク)
その結果、多くの組織がゼロトラストセキュリティや、IDベースのアクセス制御、クラウドネイティブなセキュリティ、統合された脅威インテリジェンスを提供するSASE(Secure Access Service Edge)へと移行しています。
VPNは組織のセキュリティにおける基礎ですが、唯一の防御策とすべきではありません。進化し続ける脅威に直面する中で、組織にはVPN、ゼロトラストセキュリティ、クラウドネイティブな保護を含む、包括的なサイバーセキュリティ戦略が求められます。
トレンドマイクロは、セキュアなリモートアクセス、脅威インテリジェンス、コンプライアンス準拠を支援する高度な法人向けセキュリティソリューションを提供します(VPNのセキュリティを確保するには、強固な認証とアクセス制御が不可欠です)。
トレンドマイクロが提供するSASEおよびTrend Vision One™ が、VPNの課題をどのように解決しビジネスを保護するかをご紹介します。
VPNとはVirtual Private Networkの略で、インターネット上の通信を暗号化してセキュリティとプライバシーを強化する技術です。
強固な暗号化、アクセス制御、クラウド連携機能を備えた法人向けVPNが理想的です。トレンドマイクロは、包括的な保護戦略の一環としてSASEおよびTrend Vision Oneを通じてVPN利用時のセキュリティを強化します。
いいえ。無料VPNは多くの場合、暗号化が強固でなく、帯域幅が制限されており、データプライバシー上のリスクを伴います。
VPNはセキュリティの一層に過ぎず、ゼロトラストセキュリティを実現するには、IDベースのアクセス制御や脅威検知といった追加の対策が必要です。
SASEは、クラウドネイティブセキュリティ、ゼロトラストの原則、AIを活用した脅威対策を統合し、VPN利用時を含めたセキュリティ全体を強化します。