クラウド環境
IBMインフラストラクチャー: 継続的なリスクとコンプライアンス
IBMとトレンドマイクロとの共創を介して、メインフレーム、クラウド、コンテナ、エンタープライズ全体のワークロードに対して、AIを活用した可視化、テレメトリー、プロアクティブセキュリティについてご紹介します。
次に企業を狙うサイバー脅威が、どこで、いつ、どのように発生しうるかを、その瞬間に把握でき、さらに防止のための高度なガイダンスまで得られる状況を思い描いてみてください。メインフレーム、ミッドレンジ、エンドポイント、クラウド、コンテナ、ネットワーク、AI、API、ユーザー行動、管理されていない資産や未知の資産まで、企業インフラ全体を対象としたリアルタイムのインサイトと、あらゆる領域をすき間なく把握する完全な可視化が統合され、知的な脅威予防とレスポンスの枠組みの下で一体的に管理されます。
どの領域がリスクにさらされ、どのクリティカルアセットやデータと結びついているのかを示す、豊富で実用的なデータが揃い、意思決定と対応が加速されます。エンタープライズ全体のセキュリティとコンプライアンスを継続的に維持するための、単一の信頼できる情報源が確立されます。
IBM xトレンドマイクロ: AI主導時代のインフラセキュリティを共創する
IBMとトレンドマイクロ™ は、IBM Z および IBM LinuxONEのお客様に向けて、インフラセキュリティを刷新する共創を進めています。分断されたセキュリティの時代に区切りがつき、新たなアプローチが求められています。
この共創では、セキュリティ領域でのAI活用の拡大が進み、AIが攻撃対象にも防御手段にもなる現在、AIによる変革を前進させながら、企業としての責任あるガバナンスを維持できるよう、より高いレベルの 信頼に基づくコントロール を組織に提供することが目的となります。
基盤となる要素
1. IBM Z 17 と LinuxONE 5
IBM Z 17とLinuxONE 5 の登場により、予測型サイバーセキュリティが現実のものになりました。これらのプラットフォームには次の機能が備わっています。
- Telum II プロセッサに実装された AI ベースの脅威検出
- トランザクションデータをリアルタイムで分析し、異常が深刻化する前に察知
- ハイブリッド環境に対応した AI ガバナンスと量子安全なインフラ
2. Trend Deep Security
トレンドマイクロの信頼された実績あるDeep Securityが、アンチマルウェアを皮切りにメインフレーム保護として利用可能になりました。
IBMとトレンドマイクロの取り組みにより、企業や組織はAI 主導の変革を確かな信頼とコントロールをもって進められるようになります。
エンドポイントからエンタープライズへ進む道のり
この道のりは、エンドポイント保護から始まり、AIを核とする包括的なセキュリティエコシステムへと発展していきます。
プライベートプレビュー 9月30日(一般提供開始 2025年11月30日):
- エンドポイントセキュリティ アンチマルウェア保護
エンドポイントセキュリティの追加機能は順次対応予定:
- Webレピュテーション
- ファイアウォール
- アプリケーションコントロール
- 侵入防止
- 変更監視
- ログ検査
- OpenShift Container Platform
今後のステップ: Trend Vision One Cyber Risk Exposure Management (CREM)
Deep SecurityとOCP の完全対応が整った後の最終ステップとして、IBM Z 17 と IBM LinuxONEにCREM を提供する計画があります。リスクとエクスポージャのデータを業界標準のフレームワークと組み合わせ、予測的なインサイトとアラートによってプロアクティブな対策を可能にする 機能を実現する段階です。このモジュールの提供時期は市場動向に基づいて判断されます。
IBM Z 17 と IBM LinuxONE 5 は次の要素によってこの可能性を強化します。
- リアルタイムテレメトリー
- AI アクセラレーション
- 量子安全なインフラ
これにより、Trend Vision Oneがミッションクリティカルな高トランザクションワークロード上で、高精度かつ低レイテンシで動作できるようになります。
CREMの連携とインテリジェンス
オープンなハイブリッドアーキテクチャが、サードパーティツール、マルチクラウド、脅威インテリジェンスプラットフォームとのシームレスな統合を可能にし、既存の投資を保護します。これにネイティブセンサーが収集するテレメトリーが組み合わさり、すべてが共通のデータレイクに集約されます。そこから得られるデータ相関と予測AIが、SecOpsの自動化に向けたアクションを導きます。また、他の企業データレイクやAIシステムにデータを提供することも可能です。
収集されたエクスポージャや脆弱性に対してエージェント型かつ予測的な分析を適用し、コンプライアンスフレームワークと照合することで、リアルタイムのリスクおよびコンプライアンススコアを提示します。さらに、機密データ、アプリケーション、ユーザーがどの経路で危険にさらされるかを示す被害範囲の攻撃パスが可視化されます。
CISO、経営層、セキュリティアナリストは、業界平均との比較を含む統合されたサイバーリスク指標にアクセスでき、事業部門、アセット、グループ、個々のアセットやユーザー単位での詳細な把握が可能になります。
インテリジェントで透明性のあるダッシュボード
統合ダッシュボードには次の内容が提供されます。
- デバイス、ユーザ、部門、企業全体のリスクスコアと同業他社との比較
- 透明性の高いドリルダウン機能
- エージェント型AIによる対策の推奨
- アルゴリズムの透明性と結果の明確な説明
- さらなる自動化に向けた他の企業向けAIツールとの連携可能性
企業や組織は、受容可能と判断したリスク要因を除外するように調整でき、モデルが各社特有の実態に適合するように設定できます。
メインフレームセキュリティの進化
メインフレームのセキュリティはこれまで以上に強化され、次の要素によって支えられています。
- リアルタイムテレメトリー
- AIによるスコアリング
- エンタープライズ全体を俯瞰するコンテキスト可視化
IBMとトレンドマイクロは、ミッションクリティカルなインフラに向けたサイバーセキュリティを進化させ、ビジネスの中核に予測AIによる防御を届けていきます。
ビジネス変革の次なる段階: AIとアプリケーションモダナイゼーションの安全性を確保する
AI トランスフォーメーションは単なる技術革新ではなく、開発ライフサイクル全体にプロアクティブなリアルタイムリスクおよびコンプライアンス監視を組み込むことが求められる戦略的転換と位置づけられます。
このモデルでは、AI開発ワークフローや大規模言語モデル(LLM) が、エンタープライズのリスクスコアリングシステムに組み込まれた要素として扱われます。AIのエンドポイント、生成、デプロイメントなど、AI開発のあらゆる段階が、セキュリティとコンプライアンスの観点から継続的に評価される仕組みです。
企業や組織がメインフレームアプリケーションを効率化や規制への適合に向けてモダナイズする中で、すべての変更がリスク観点で監視可能になります。これにより、IBM ZとIBM LinuxONE 上のワークロード拡張に向けて確かな判断が下せるようになります。継続的なリスク測定を通じて、モダナイゼーションが企業ガバナンスに沿って進む状態を維持できます。
業界標準のフレームワークとベストプラクティスによる統制のもと、AI導入とインフラモダナイゼーションを戦略的に管理できるようになり、企業や組織は安心感を得られます。
さらにスマートでプロアクティブなSOC
優先順位付きの先回りアラートと実行可能な推奨事項により、セキュリティオペレーションセンター(SOC)からは推測的な判断や手作業の分析が取り除かれます。アナリストはビジネスインパクトに基づいて順位付けされたリスクを即座に確認でき、注意すべき対象が明確になります。優先度の再確認や過剰なアラート、分断されたデータをつなぎ合わせる作業に追われる状況が解消されます。
IBM Z と IBM LinuxONE は、現代のエンタープライズに向けた統合的で知的なリスク管理エコシステムの中核として機能する段階に入りました。
標準提供されるテンプレートとカスタマイズ可能なテンプレートによる自動化が、セキュリティ運用、パッチ管理、ITSM ワークフローを加速させます。リスクが対処されるたびに、システムは組織全体のリスク状況を継続的に更新します。
LLMセキュリティスキャナーやアクセスレイヤー監視など、新たな AI アプリケーションセキュリティにより、AI 活用の可視性とコントロールが得られます。これらのツールは、プロンプトインジェクションやシャドウAIのような脅威を検知・防止し、AIによる入出力の活動がポリシーに沿っている状態を確保します。
システムは、AI分野を含め進化の速い最新の業界コンプライアンスフレームワークと整合しており、IBMとトレンドマイクロは、これらのフレームワークを形成する標準化団体へ積極的に貢献しています。
測定可能な成果と価値
大手情報サービス企業Informa Tech傘下のTechTargetに属するEnterprise Strategy Group(ESG)の調査によると、先回り型のリスクおよびコンプライアンス戦略を導入した際の具体的な効果を示しています。調査対象の組織は平均 130 万ドルのコスト削減を報告し、その要因としてアラート量の 99.6% 削減と脅威対応時間の 65% 高速化が挙げられています。
IBM ZとIBM LinuxONE は次の要素によって、こうした成果に直接貢献します。
- リアルタイムテレメトリー
- AI を活用した脅威検出
- 自動化されたリスクスコアリング
これらが組み合わさることで手作業の負荷が大幅に減少し、対応速度が向上し、サイバーセキュリティが受動的な対処から戦略的な先回り型リスク管理へと転換します。その結果、運用効率が向上し、測定可能な財務価値が生まれます。
サステナビリティと性能の両立
サステナビリティを重視する企業や組織が増える中で、IBM ZとIBM LinuxONE は有力な選択肢となります。仮想マシンやワークロードを集約し、省スペースかつ省エネルギーなプラットフォームに統合できるため、環境目標の達成に近づきます。高いワークロード密度と低い電力消費により、性能やセキュリティを損なわずにサステナビリティを追求できます。
プラットフォームをまたぐシームレスな継続性
統合の目的はインフラだけにとどまらず、運用の継続性にもあります。IBM Z と LinuxONE は、x86 と同様のセキュリティ、オブザーバビリティ、オートメーションツール群を利用できるようになり、統一された運用エクスペリエンスを提供します。これにより、トレーニング、アーキテクチャ、ワークフローへの既存投資が保護され、移行コストの削減と価値創出までの時間短縮につながります。
導入を始めるには:
ライセンスやダウンロード手続きについては、お近くの IBM Z および LinuxONE の担当者、またはトレンドマイクロの担当窓口までご連絡ください。こちらから問い合わせることも可能です。
IBM Z Day 2025にご参加ください:
AI、ハイブリッドクラウド、量子安全セキュリティなどの最新イノベーションを紹介します。IBM Zと LinuxONE が、安全性、持続可能性、知的なインフラの未来をどのように形づくっているかをご覧いただけます。
Trend Vision One 無料30日間 CREMトライアル:
Trend Vision One Cyber Risk Exposure Management の30日間無料トライアルをご体験いただけます。クラウド上で試すことで、IBM Z および IBM LinuxONE における将来的な可能性を確認できます。ぜひご意見をお寄せください。
未来を共に形づくりましょう
IBM インフラ上での AI トランスフォーメーションに向けた共創を進める中で、ビジョンに関するご意見をこちらからお寄せください。いただいたフィードバックは、必要とされる価値を備えたソリューションづくりに生かされます。
参考記事:
IBM Infrastructure: Continuous Risk & Compliance
By: Trend Micro
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, Trend Micro™ Research)