トレンドマイクロとMIH、EV向けセキュリティフレームワークの共同開発に着手

~「セキュリティバイデザイン」の考え方に基づく安全な自動車開発に寄与~

2021年11月15日

トレンドマイクロ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:エバ・チェン 東証一部:4704、以下、トレンドマイクロ)は、鴻海科技集団(Foxconn Technology Group)が主導する、電気自動車(Electric Vehicle、以下、EV)向けオープンプラットフォームの普及と業界連携を目的としたアライアンス「MIHコンソーシアム(以下、MIH)」との合意※1に基づき、EV向けのセキュリティフレームワークの共同開発に着手したことを発表します。このセキュリティフレームワークには、セキュリティ機能だけでなく、サイバーセキュリティ上の安全性の高い自動車の仕様や運用のためのシステムも含まれます。
第一弾として、物理的な安全性とサイバーセキュリティを考慮したEV向けオープンプラットフォーム「EVKit」に搭載される開発者向けツールを共同で展開します。
 ※1 鴻海科技集団の発表(2021年6月)。

EVは将来的に、SDV(software defined vehicles)※2として、人工知能、ビッグデータ、およびインターネットによる接続性を通じて、革新的でパーソナライズされた運転体験をユーザに提供するようになると考えられます。この度のトレンドマイクロとMIHによる協業により、トレンドマイクロの自動車のサイバーセキュリティに関する知見とMIHのEVの設計や制御に関する知識を組み合わせ「セキュリティバイデザイン」の考え方に基づくセキュリティフレームワークの開発が行われます。データが安全に送受信されるソフトウェア環境を提供することに加えて、便利で安全な認証を備えた開発環境が、EVKitとして、開発者に提供されます。
※2 software defined vehicles:従来の馬力やデザインではなく、搭載ソフトウェアによる機能の追加・改善などにより、自動車の価値や個性が決定するという考え方。またはこの考え方を基に設計された自動車。

MIHのCTOであるWilliamWei氏は次のように述べています。「EVの開発サイクルを短縮し、開発者の参入障壁を低くするために、MIHはEV向けオープンプラットフォーム『EVkit』を提供しています。EVKitは、EVの開発、テスト、および展開のライフサイクル全体をカバーするハードウェアとソフトウェアで構成されています 。また、EV向けのアプリを配布するマーケットプレイスの作成も可能になります。トレンドマイクロは、自動車のサイバーセキュリティ分野における、MIHの最も重要なパートナーの1社です。トレンドマイクロのサイバーセキュリティに関する深い知見を活用することで、MIHはEVの共通のセキュリティフレームワークを定義できます。このフレームワークにより、車載ネットワークの侵入検出、システム保護、およびインターネットからの脅威を防御します。この度の両者の協業で提供される統一したインタフェースにより、自動車関連のセキュリティーサービスを企画・開発する企業がEV開発のエコシステムに容易に参加したり、より多くの開発者が参画しやすくなるでしょう」。

トレンドマイクロのコアテクノロジー担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CIOであるMax Chengは、次のように述べています。「今後、自動車販売におけるコネクテッドカーの比重の高まりとともに、運転データの市場価値も高まっていくと見られています。こうした状況の中で自動車はサイバーセキュリティ上の脅威が発生する可能性が高まっており、コネクテッドカーにとってサイバーセキュリティは最も重要な要素の1つとなっています。しかし、従来の自動車業界にとって、現状のサイバーセキュリティソリューションは独立したアドオンソフトウェアとして認識されており、最も効果的なセキュリティ対策の方法ではありません。コネクテッドカーのサイバーセキュリティの課題を解決する最も効果的な方法は、設計時に「セキュリティバイデザイン」の考え方に基づく開発プラットフォームを採用し、将来的なコネクテッドカーのセキュリティレベルを向上させることです。トレンドマイクロは、EVKit向けに最先端のセキュリティアーキテクチャを提供するため、MIHと協力する専門の自動車サイバーセキュリティ部門を設立しました」。
 
トレンドマイクロとMIHが提供するEVKit向け車載セキュリティソフトウェアアーキテクチャは次のものが含まれます。

  • EVKitのセキュリティアーキテクチャとインターフェイス開発を支援して、安全な車載ソフトウェアの実行環境を提供し、車両からクラウドへ送信されるデータの保護、安全なデータアクセス、およびID認証を保護します。
     
  • クラウド上でのID認証により、ビッグデータの管理とアクセスおよびストレージ機能を提供します。自動車メーカーは、車両のリモートモニタリングや予測メンテナンス、VSOC※3サービスなどのAIやビックデータを活用したアプリケーションを簡単に構築できます。
    ※3 Vehicle Security Operation Center。

  • EVKitの情報セキュリティ機能へインターフェイスを提供することで、OEM※4およびサードパーティは、開発したアプリケーションをこのオープンプラットフォームに統合し、UN-R155※5のような自動車向けサイバーセキュリティの規制に対する準拠を支援します。
    ※4 Original Equipment Manufacturing。
    ※5 UN-R155:自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が策定した自動車向けサイバーセキュリティに関する国際法規。

     
  • UN-R156※6のような自動車向けソフトウェア・アップデートの規制への準拠を支援するため、フルビークル向けの安全なFOTA※7エンジンを開発・提供します。
    ※6 UN-R156:自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が策定した自動車向けソフトウェア・アップデートに関する国際法規。
    ※7 Firmware Over The Air:システムに必要なファームウェアを無線通信で伝送すること。

     
  • 侵入検知システム(IDS)、AIベースの異常検出、異常通信検出など、EVKitにプロアクティブなソフトウェアセキュリティ保護メカニズムを提供します。


<MIHについて>
MIHコンソーシアムは、モビリティ業界でのコラボレーションを促進するオープンEVエコシステムを設けています。私たちの使命は、主要なテクノロジーを実現し、リファレンスデザインと標準規格を開発することです。また、アライアンスメンバー企業・組織の橋渡しとなり、開発への参入障壁を低くし、イノベーションを加速するとともに開発サイクルを短縮することを目指します。 私たちの目標は、戦略的パートナーを結集して、次世代のEV、自動運転、モビリティサービスアプリケーション向けの革新的なソリューションを提供することです。

 

  • 本リリースは、2021年10月22日に米国にて発表されたプレスリリースの抄訳です。
  • 本リリースは、2021年11月15日現在の情報をもとに作成されたものです。今後、価格の変更、仕様の変更、バージョンアップ等により、内容の全部もしくは一部に変更が生じる可能性があります。
  • TREND MICRO、およびSecuring Your Connected Worldは、トレンドマイクロ株式会社の登録商標です。各社の社名、製品名およびサービス名は、各社の商標または登録商標です。