トレンドマイクロ、2018年事業戦略を発表

安全な「つながる世界」を実現するセキュリティの提供を目指し新規領域・新サービスを拡張

2018年3月28日

トレンドマイクロ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:エバ・チェン 東証一部:4704、以下、トレンドマイクロ)は、2018年の事業戦略を発表します。
2018年にトレンドマイクロは創業30周年を迎えます。その大きな節目を迎える年に、情報セキュリティにおける課題解決を支援する企業として、これからますます広がる「つながる世界」に向けてインターネットを安心して利用いただくためのセキュリティの提供を実現していきます。そのために2018年は「法人向けビジネス」・「個人向けビジネス」・「IoTビジネス」の各分野において、新規領域および新サービスの拡張を推進していきます。各分野における注力ポイントの詳細は以下の通りです。

法人向けビジネス

ランサムウェアの台頭やビジネスメール詐欺の被害など企業は多様化・巧妙化する脅威に晒されています。さらには今後施行が予定されている一般データ保護規制(General Data Protection Regulation:GDPR)などの法規制整備に伴うセキュリティ要件への対応など、企業に必要なセキュリティ対策は多岐にわたっています。一方で情報漏えいやシステム・サービス停止など重大被害を経験した企業は、今や40%を超える勢いになっています※1。さらに、病院、鉄道、製造といった、これまでセキュリティリスクが低いと考えられていた業種特有の「クローズド環境」での被害も確認されています。これからのつながる世界においては、業務端末やサーバでのセキュリティ対策のほかに、ネットワークレイヤーでの対策がますます重要になってきています。深刻な被害が発生し続ける一方で、セキュリティ人材の不足が企業の大きな課題として挙げられます。トレンドマイクロではこのような企業の背景を受け、法人向けビジネスでは以下の2つの施策に2018年は注力します。
※1 出典:トレンドマイクロ「法人組織におけるセキュリティ実態調査2017年版」

Ⅰ XGen IPS(TippingPoint)ビジネスの国内での本格立ち上げ
トレンドマイクロの「XGen IPS」は、先進技術と高い実績を融合した製品で、ネットワーク上の異常を検知するほか、未知の脅威※2の検知など脅威に対する防御力を向上したIPSソリューションです。この「XGen IPS」ビジネスを日本市場で本格的に立ち上げます。トレンドマイクロの国内でのエンドポイントをはじめとする様々な製品・ソリューションのシェアを活かし、製品間の連携を図ることで、企業にカスタマイズされた攻撃への、より迅速な対策を強化するソリューションの提供を促進します。さらに、各々の組織において適切なセキュリティ対策や製品間連携を施せるよう、パートナーとの連携を強化しビジネスの拡大を推進します。
※2 すべての未知の脅威に対応するものではありません。

Ⅱ 企業課題別でのSOC(Security Operation Center)支援戦略の推進
情報の漏洩やシステムの稼働停止など被害が深刻化する前に攻撃を早期に察知し封じ込めるには、ネットワーク内部を可視化し常時監視することが重要です。そこで、サイバー攻撃を可視化し被害を未遂にするために、当社は企業課題別でのSOC支援を提供します。
自社でSOCを保有する企業に対しては、当社が従来から提供しているエンドポイントプロテクションプラットフォームにEndpoint Detection and Response (EDR)を加えたソリューションを提供します。これにより、インシデント発生時に、エンドポイント解析による侵入の原因・経路・影響の特定や、他の潜在脅威の洗い出しなど、自社SOCでのいち早い対処を支援します。
自社でSOCを保有することが難しい企業に対しては、ネットワーク監視に豊富な知見と実績があるマネージドセキュリティサービスパートナー(MSSP)を介しての効果的なSOC提供を目指します。MSSPに対しては、SOCサービスを提供する上で有効なManaged Detection and Response(MDR)ツールの開発とサービスの提供を推進していきます。
 

■個人向けビジネス

昨今、家庭内ではスマートTV、スマートスピーカー、Webカメラなど様々なデバイスがインターネットに接続され、一般消費者にもIoTデバイスが普及しています。また、モバイルの普及も過去5年間で急激に増加しています※3。一方でそれらを狙った攻撃も深刻化しており、トレンドマイクロの調査では、ホームネットワーク内のデバイスに対する不正ログインの試みを2017年の1年間で3,000万件以上確認しています※4。また、モバイルに対しても、モバイル端末を狙う不正/迷惑アプリの累計検体数を2,480万以上確認しています※5。一方で、35.3%が情報セキュリティ被害・トラブル時に対処しなかった理由として「何をしてよいかわからなかった」と回答する※6など、一般消費者をとりまくIT環境がダイナミックに変化する一方で、そのセキュリティ対策についての認識がまだまだ進んでいない状況です。トレンドマイクロではこのような個人を取り巻く背景を受け、個人向けビジネスでは以下の2つの施策に2018年は注力します。
※3 出典:総務省 平成29年版「情報通信白書」
※4 トレンドマイクロ調べ(2017年の1年間において当社の顧客を対象にした全世界での統計データ)
※5 トレンドマイクロ調べ(2017年12月時点の全世界でのAndroid端末に感染する不正/迷惑アプリの累計データ)
※6 出典:独立行政法人情報処理推進機構 「2017年度 情報セキュリティの脅威に対する意識調査」

Ⅰ ホームネットワーク・モバイルセキュリティの普及の加速
セキュリティ対策をより導入し易くするために、利用者の様々なニーズに応えたセキュリティ提供形態の拡充を進めます。具体的には、ご家庭でのホームネットワークセキュリティ製品の導入を検討しやすいように、家電量販店での従来のパソコン関連売り場に加え、スマート家電売り場などの新しい領域での売り場拡大を進めます。さらに、ネットワーク回線の新規加入/切り替えのタイミングやルータの新規購入のタイミングでセキュリティ対策を考慮し易いよう、従来より推進しているネットワーク機器ベンダーへのセキュリティモジュールのOEM提供に加え、インターネットサービスを提供している通信事業者経由でサービスとして、ホームネットワークセキュリティを提供します。モバイル向けセキュリティ製品においては、スマートフォンやタブレットの購入タイミング時にセキュリティ対策を考慮し易いように、携帯販売代理店とのパートナーシップを強化し、モバイル向けビジネスの拡大を図ります。

Ⅱ プロアクティブなデジタルライフサポ―トの開発
ランサムウェアやフィッシング詐欺など多様化する脅威を防御し、家庭内のIoTデバイスをはじめとする様々なデバイスを安心に利用するためには、利用者の不安感を取り除き課題解決に向けた製品・サービスが重要になります。当社製品・サービスからのフィードバック情報を基に、AI技術を活用したビッグデータ分析による脅威解析を施し、各家庭ごとに気づかないうちに晒されている脅威への予防と早期発見を実現するべくセキュリティ診断や脅威のモニタリング、緊急通知、セキュリティ事故の復旧支援などを含むトータルサービスの提供を目指します。
 

■IoTビジネス

Ⅰ 通信事業者ならびにIoTサービスプロバイダ、IoTデバイスメーカーとの新規セキュリティビジネスの創出
企業・個人を問わず、これからのIoT時代に求められるセキュリティビジネス・サービスのキーは利用者が意識しなくてもセキュリティが継続して提供され、常に脅威から保護されている安全な利用環境を利用者に提供する事とトレンドマイクロでは考えます。2018年は、IoTサービスごとに最適化したセキュリティ技術や専門家としてのインテリジェンスを様々な新規領域のパートナーと協業することで、パートナー自身が自社のサービスにセキュリティを組み込み利用者に届ける形で、継続的な価値を提供するビジネスモデルの創出に注力します。
当社では、IoT時代に求められるセキュリティを考えるにあたり、4つのIoTレイヤー(デバイス、ネットワーク、IoTデバイスへの制御をつかさどるコントロールセンター、IoTデータを分析するデータアナライザ)を主に3つの業種(スマートホーム、スマートファクトリー、スマートカー)に対して提供します。2018年は「デバイス」と「ネットワーク」向けのソリューション提供を推進します。

●デバイス
IoT機器向けセキュリティソリューション「Trend Micro IoT Security」を通信事業者、 IoTサービスプロバイダ、 IoTデバイスメーカーなど新領域のパートナーに提供し、車、 IoTゲートウェイ、監視カメラといった様々なIoTデバイスの要件に合わせたセキュリティ機能の実装を推進します。それとともに、セキュリティ機能を実装したデバイスの出荷後の脅威対処が出来るような運用・監視サービスを実現するための管理ツールもパートナーに提供します。これにより、利用者はセキュリティを個人で意識することなく、IoTデバイスの利用ができます。パートナーにおいてもセキュリティの実装に加えて、各デバイスの運用・監視サービスといった新たなセキュリティサービスの提供も可能になります。

●ネットワーク
ネットワーク機能の仮想化を実現するNFV(Network Functions Virtualization)環境で動作するセキュリティVNF「Trend Micro Security VNF」を通信事業者へ提供します。これにより、通信事業者はネットワークサービスにセキュリティという付加価値を組み込んだ安全なサービスの提供が可能になります。
「Trend Micro Security VNF」では、ネットワーク上でデバイスの種類を特定し、それに応じて利用者が必要なセキュリティ機能の提供とセキュリティポリシーの適用が可能です。これにより、利用者は自分自身でセキュリティ対策を意識することなく、必要なタイミングで必要なセキュリティを享受できます。また、通信事業者においても、ネットワークサービスへのセキュリティ設備の投資を最適化することが可能です。

※ TREND MICRO、およびXGenはトレンドマイクロ株式会社の登録商標です。各社の社名、製品名およびサービス名は、各社の商標または登録商標です。