坂田電機株式会社

甚大化する自然災害から
世の中の安全・安心を守る
ドコモの5G/LTE直結の低遅延、
高セキュリティなクラウド上で
セキュアなIoT水位計向け基盤を提供

概要

お客さまの課題

安全かつ正確なデータの伝送が要になるIoTサービスを実現するため、IoTセンサに依存しないセキュリティ対策が必要だった

解決策と効果

ドコモオープンイノベーションクラウドの活用により低遅延、高セキュリティのIoTサービスを提供できるようになった。特性に応じたセキュリティのカスタマイズが容易に行える

"IoTセンサの省電力化を実現するため、エンドポイント側ではなく、クラウド / ネットワーク側でセキュリティを強化する仕組みを考える必要がありました"

坂田電機株式会社
取締役
技術営業部長
須賀原 慶久 氏

"IoTセンサ、およびそれを用いたサービスは、データの正確性が命です。改ざんなどを防ぎ、安全・確実にデータ伝送できる仕組みが不可欠です"

坂田電機株式会社
技術部 次長
木ノ嶋 克行 氏

"ため池ごとの特性によって必要なIoTセンサの数や種類は変わってきます。お客さまの要望に応える上で、システムの柔軟性も重要な条件でした"

坂田電機株式会社
技術部 ソフトグループ
福田 和樹 氏

"クラウド環境とつながるデバイスからの通信の安全性を強化し、運用の柔軟性も向上できるTrend Micro Virtual Network Function Suite™は、当社のクラウド基盤の価値向上にも貢献してくれています"

株式会社NTTドコモ
法人ビジネス本部
ソリューションサービス部
緒方 洋平 氏

導入の背景

坂田電機は、社会インフラの監視に用いられる計測器・センサを手掛けるメーカーだ。同社の製品は、過酷な環境下でも長期間使える堅牢性・耐久性、省電力性を特長としている。屋外での使用を想定した水圧計、土圧計、傾斜計や荷重計など、多様な製品をラインアップしている。

「クラウドなどのテクノロジーを組み合わせた計測ソリューションも複数用意しています。例えば、NTTドコモ(以下、ドコモ)との共同開発による『IoT水位計』はその1つ。水害発生時の計測を目的としたもので、当社の水位計および制御・電源製品と、ドコモの通信 / クラウド技術を組み合わせて、主に自治体や調査会社、建設会社、水管理の企業などのお客さま向けに提供するものです」と坂田電機の須賀原 慶久氏は紹介する。

お客さまの課題

このソリューションでは、ため池の水位に関する様々なデータを坂田電機のIoTセンサが収集し、それをドコモのクラウド基盤に蓄積して配信することで、状況の早期把握や災害の予防につなげる。「国の管理のもと、積極的に水位計測が行われている大規模な河川に比べ、中小のため池ではまだ不十分なところが多いのが現状です。このソリューションによって、それらのため池の安全対策強化に貢献できればと考えています」と須賀原氏は言う。

そのため、仕組みにはため池ごとの監視・計測要件を踏まえられる「カスタマイズ性」が不可欠。また長期的な利用を考える上では、ため池の状況に加えて、崖崩れなどもセンシングしてデータを蓄積・分析できる、高い「発展性」「拡張性」も重要だった。

「『ドコモオープンイノベーションクラウド』は、これらの要件を満たすと考えました。また、約10年前、国土交通省が推進する『革新的河川管理プロジェクト』で水位計の実証実験をともに行って以来、『ため池防災支援システム』への連携を視野に入れてドコモのクラウドと当社製品の組み合わせは様々な形で検証してきました。そこでの評価も加味して、採用を決めたのです」と同社の木ノ嶋 克行氏は語る。

一方で、さらに強化したい機能もあった。それがIoTセンサのセキュリティだ。というのも、センサデータにおいて「正確性」は命。悪意を持った攻撃によってデータが改ざんされてしまえば、サービス自体が意味をなさなくなってしまうからだ。

「ドコモの閉域網内でクラウドアクセスが可能なドコモオープンイノベーションクラウドは、あらかじめ高いレベルのセキュリティを有しています。ただ、当社がお客さまに提供する管理画面はインターネット経由でアクセスする仕組みのため、そこから脅威が入り込むリスクはゼロではありません。データの改ざんや情報漏えいなどを防ぐには、プラスαのセキュリティ対策を講じることが不可欠だと考えました」と須賀原氏は述べる。

選定理由

そこで同社は、ドコモオープンイノベーションクラウドのオプションである「ネットワークセキュリティサービス」を採用した。これは、細分化した複数のネットワークセキュリティ機能を、仮想化 / クラウド環境上で提供するサービス。トレンドマイクロの「Trend Micro Virtual Network Function Suite™」(以下、TM VNFS)を実装することで実現したものである。

「強力なIPS / IDSなど複数の対策で脅威の侵入をブロックできるほか、IoTセンサ単位でネットワークを分離することもできます。万一、脅威の侵入を許してしまった場合も、お客さま環境における被害の拡散を最小限にとどめることができると考えました」と木ノ嶋氏は評価する。

また、ドコモオープンイノベーションクラウドにTM VNFSを採用した理由について、ドコモの緒方 洋平氏は次のように説明する。

「TM VNFSは、多彩なセキュリティ機能をクラウド側で動的に提供できます。そのため、エンドポイント対策の導入が困難なIoTデバイスとの接続を考えるお客さまにも、統合的なセキュリティ対策が提供できると考えました。また、セキュリティベンダとして豊富な実績と知見を持ち、5G / IoT時代のセキュリティに先進的に取り組んでいるトレンドマイクロ製品と当社のクラウドは親和性が高く、安心して利用できると判断しました」

ソリューション

TM VNFSは実績のあるDeep Packet Inspection(DPI)技術とトレンドマイクロのコアテクノロジーであるTrend Micro Smart Protection Network™をベースにした、NFV(Network Functions Virtualization)/ クラウド環境向けのネットワークセキュリティソリューション。IPS / IDS、IoTレピュテーション、Web脅威対策などの多彩な機能をソフトウェアベースで提供することで、デバイスに依存せず安全性を向上できる。

機能や設定はネットワークセグメント単位で柔軟に変更できるため、対応負荷やコストを削減しつつ、最適な対策環境を構築することが可能だ。

坂田電機「IoT水位計」のイメージ

導入効果

「脅威の侵入や、異常が発生していないことを可視化できるようになり、お客さまにより大きな安心感をご提供できるようになりました。水害予防を通じて、暮らしの安全に一層貢献できるはずです」と坂田電機の福田 和樹氏は言う。

こ顧客ごとの要件に柔軟に対応できるため、新たに雨量計を設置したいといったニーズが出た場合も、安全性を維持したIoTサービスを速やかに提供できる。「防災 / 減災の取り組みでは対応の迅速さがカギになります。閉域網によるセキュアな環境をスピーディに展開できる点は強みであり、サービス提供側としての安心感につながっています」と須賀原氏は付け加える。

今後の展望

サービス提供開始からまだ間もないが、既に複数の自治体から問い合わせがあり、本稼働に向けて動いているプロジェクトもある。顧客の要望を聞きながら、水位計以外のセンサデバイスとドコモオープンイノベーションクラウドの組み合わせなども柔軟に提案していくという。これにより、多様なデータの相関分析を目的としたIoTサービスの構築をサポートする。

「より将来的には、蓄積したデータに基づく予測も行えるようにしていきたい。そのため、外部の企業・組織との一層のコラボレーションも積極的に進めていきます」(須賀原氏)。5G時代を見据えたセキュアで柔軟性の高いドコモオープンイノベーションクラウドを基盤として、最新のIoTサービスを具現化した坂田電機。防災 / 減災、暮らしの安全という社会課題の解決に向け、今後も貢献していく構えだ。

  • 製品・サービスの導入効果は、ご利用企業・組織の方の声に基づくものであり、お客さまご利用状況により効果は異なります。
  • 記載内容は2021年3月現在のものです。内容は予告なく変更される場合があります。

事例の詳細や各社のIoTへの取り組みをウェビナーでもご紹介しています。併せてご視聴ください。