第61回SMILE PROJECTレポート

今回のスマイルプロジェクトは私にとって初めてのボランティア活動でした。「今までは募金するだけだったけれど、直接自分の目で被災地の状況を見たい。力になりたい。」という想いからスマイルプロジェクトに応募しました。

■1日目
東京~金沢移動
内灘町視察

 金沢市内から車で30分ほどの距離に位置する内灘町を訪れました。内灘町は液状化現象による甚大な被害が出た地域です。液状化現象により歪んだ道路、傾いた電柱、地面が隆起して傾いた家や押しつぶされた車。地震の規模の大きさを物語る被害状況に胸が締め付けられました。住民の姿も業者の姿もなく、とても静かでした。その場所にある建物も思い出も一回の自然災害で全て崩れ去ってしまった現状を目の前に、人は無力であると思わずにはいられませんでした。

液状化で歪んだ道路

液状化で歪んだ道路。地震の恐ろしさを目の当たりにしました。

志賀町の町役場

志賀町の町役場にて。自分の目で見た被災地の状況を伝えていこうと思いました。

■2日目
志賀町災害ボランティアセンター訪問
海岸清掃

 志賀町赤﨑の海岸で、約20名の参加者と共に海岸清掃を行いました。高さ約4メートルの津波が押し寄せた海岸には漁業用の網やロープ、ルアーなどが散乱していました。砂浜に足を取られながらも、赤﨑で暮らす方々や観光客が戻ってきたとき綺麗な海を見ることができるようにという想いで活動しました。
 活動後、町内会長の方が「本当にありがとうございました。」と感謝の言葉を何度も何度も口にしていました。地域を大切に思う気持ちと、心からの感謝の気持ちが伝わってきました。

清掃を行った海岸

清掃を行った海岸。津波によって多くのものが押し寄せていました。

海岸清掃の様子
清掃を行った海岸

海岸清掃の様子。

■3日目
輪島市災害たすけあいセンター訪問
被災した住宅の瓦礫撤去、家具の搬出

 早朝からバスで約3時間かけて輪島市災害たすけあいセンターを訪問し、住宅の瓦礫撤去や家具の搬出等を行いました。
 住宅の中は瓦礫やガラス、その家の思い出の品も散乱していて、心が痛みました。被害を受けた依頼者の方は、想像を絶するほどの苦しい思いをされているにも関わらず、最後まで一緒になって作業をして、辛い顔も見せず、笑顔で「大変でしたよね、ありがとうございます。」と声をかけて下さりました。依頼者の方の強さに胸打たれるとともに、当たり前のように流れる日常がどれだけ幸せで儚いものなのかを感じました。

輪島の朝市通りの様子

輪島の朝市通りの様子。
多くの建物が火災の被害を受け、跡形もなくなっていました。

ボランティアに向かう途中の道路

ボランティアに向かう途中の道路。
片側が崩れているところもあり、不安定な道が続いていました。

■スマイルプロジェクトに参加して
―人々を助けることができたという実感―

 トレンドマイクロCEOのエバ・チェンは当社が社会貢献活動に力を入れる理由を「社会貢献活動により、社員が、自分たちが世界の一部であり、自分たちの仕事は他の人々を助けることなのだと理解するようにできるようになる。それがわが社の重要な哲学」なのだと語りました。
 スマイルプロジェクトに参加した中で、依頼者の方々の「自分たちだけではどうにもできないことだから、本当に助かりました。ありがとうございます。」という言葉が何よりもうれしかったです。今までは被災地支援の一つとして少額の募金しかできませんでした。しかし、今回は直接被災地に向かい、身体を動かしました。そして、依頼者の方から直接「ありがとう」という言葉を聞くことができ、募金以上に人々を助けることができたという実感が強く湧いてきました。自分たちの仕事である「他の人々を助ける」ことの大切さを、身をもって知ることができました。

今回のスマイルプロジェクトの参加メンバー

今回のスマイルプロジェクトの参加メンバー。

―ボランティアは人と地域、人と人をつなげるものー

 最後に、今回スマイルプロジェクトに参加して気づいたことがありました。それは、ボランティアは人と地域、人と人をつなげるものだということです。
 私は今まで能登半島を訪れたことがありませんでした。しかし、ボランティアを通じて自分と能登半島の間に小さなつながりが生まれたような気がします。今後メディアで被災地の状況が報道される回数が減ってしまったとしても、ボランティアで経験したこと、被災地の様子を直接見た記憶は私の中で風化することはなく、「内灘町、志賀町、輪島市は今どうなっているのか。」「依頼者の方は少しでも良い環境で暮らすことができているだろうか。」、頭の片隅に被災地とそこで暮らす人のことが浮かんでくると思います。今までよりもずっと身近に被災地のことを考えることができるようになったのは、ボランティアが人と地域、人と人をつなげてくれたからだと思います。スマイルプロジェクトを通して生まれた小さなつながりを、これからも大切にしていこうと思いました。

輪島市災害たすけあいセンターの皆さま

輪島市災害たすけあいセンターの皆さま
「ありがとう」という言葉が胸に響きました。

 満開の桜の木

能登半島が少しずつ前に進んでいく様子を見守るかのように、
満開の桜の木が並んでいました。

第61回スマイルプロジェクトメンバー 春日 千弥
活動年月日 2024年4月11日(木)~13日(土)