第32回SMILE PROJECTレポート

こんにちは、第32回スマイルプロジェクトチームです。2016年11月10~12日の三日間、東日本大震災より5年と8ヶ月が過ぎた気仙沼を訪問してきました。痛ましい被害の痕跡はほとんど綺麗になっていますが、まだまだ更地状態の土地やほぼ着工出来ていない防潮堤が多く、仮設住宅もかなりの数が残っておりました。また、現在も行方不明となっている方が200名以上いらっしゃると聞き、まだ完全な復興には時間がかかると感じたのが率直な感想です。以下より、参加経緯や感じたことなどをレポートします。

■参加の経緯
震災当時に募金活動へは参加していたものの、火事場の野次馬のようになってしまうのが気にかかり、津波等の被害状況を報道するニュースなどもほとんど見ることができず、現地へ訪問することもなく、5年もの間詳細な被害状況についてはほぼ無知の状態でした。
その為今回は被災地の現況を自分の五感でしっかり感じて向き合い、今出来る支援を実施することと、今後出来る支援を考え直すことを目的に第32回スマイルプロジェクトに参加することを決めました。また、新卒入社して9年以上経ってもなおトレンドマイクロの前線で仕事を続けている同期入社メンバとの絆をまた深めたいという思いもあり、同期メンバに声をかけての参加となりました。

■活動内容
主に以下の内容を実施しました。

  • 気仙沼市周辺の遺構に現地の方と訪問
  • 陸前高田 米沢商会にて当日の体験談を詳細にお話いただく
  • 農地海岸にて遺品捜索のお手伝い
  • 気仙沼中央公民館にて現地の方にインターネットセキュリティ教室を開催
  • 南三陸町周辺の遺構訪問(防災対策庁舎・大川小学校)

■感じたこと
[被害]
震災当時は私自身に子供がいなかったのですが、子供が2人出来て家庭が出来た今になって、沢山の幸せな家庭が1日でなくなってしまったことの悲しさとつらさを一層感じました。また、実際に大切な人を失った方と会って話し、当時や今後のことを話して頂くことを通して、被害の壮絶さをようやく実感することとなりました。
地震と津波と火事が同時多発的に発生した混乱のさなかで、的確な判断をすることは本当に難しかっただろうと思いますが、ああしていれば助かった、という思いが現地の方々の心の中に後悔として残り続けているのだと感じました。特に避難出来る場所がすぐ近くにあったにも関わらず、災害時のマニュアル不備や意思決定者の不在・集団心理等の問題で50分もの間避難が出来ず多くの子供達が被害にあってしまった大川小学校を訪問した際には今まで感じたことの無い感情がこみ上げました。

[対策]
主に以下の4点が被害を大きくしてしまったポイントであると思いました。これらに対する対策は少しずつ行政を中心に実施されていました。

  1. 利便性や地価もあり本来居住すべきでないエリアに居住が進んでしまっていたこと
  2. 安全であると思われていた場所が被害にあってしまったこと(防災庁舎や市役所等)
  3. 津波がここまでの大きさで来ると誰も想像できなかったこと
  4. 意思決定者の不在により避難が大幅に遅れてしまったこと(大川小)

1,2については約600の防潮堤建設と、被害の大きかった地域を居住禁止区域とするなどの対策が取られていました。ただ、防潮堤については景観として海が見えなくなることによる観光業への影響と、海と共存して生活をしてこられた方々の複雑な心境や、高さ設定や設置箇所が本当に十分であるか、といった点には明確な答えがないように思いました。
3は現時点では街の至る所に3.11被害時の浸水位置を示す看板等が設置されており、日々の生活の中で高い場所低い場所などは自然に意識出来るようになっていると感じました。津波に対する危機意識について現在は問題ないと思いますが時が経過すると低下してしまうため、当時の被害状況を感じられる建物等を「遺構」として認定し意図的に残して行っていることに大きな意味があると感じました。
4については各組織がマニュアル整備や訓練・緊急時の体制決定等を行うことが大事だと感じましたが、今回の訪問ではそれらの実情までは確認出来ませんでした。

[今後の支援]
被災地以外の地域でも被災地の現況に関心を持ち続け、少しでも現地の方々の心が前向きになるような活動を継続していくことが支援になると感じました。私自身も今後は聞きかじった情報で理解したつもりにならずに定期的に現地に足を運び、継続的な訪問や募金活動など、自分が出来る範囲の支援を継続していきたいと思います。
最後になりますが今回貴重な機会を与えてくれた会社の皆様、ファシリテートいただいた事務局の皆様、一緒に参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
会社としての現在までの支援活動や、活動を継続していることを誇りに思っており、ぜひまた必ず参加したいと思います。

活動年月日: 2016年11月10日(木)~11月12日(土)