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- 第20回SMILE PROJECTレポート
第20回ウイルスバスター SMILE PROJECT メンバーの松原和美です。
20回目となる今回は、11月6日(木)から11月8日(土)までの2泊3日の日程にて気仙沼市および大島、陸前高田市へ社員9名(男性6名、女性3名)で参加して参りました。参加メンバーのうち私を含む男性6名は、本PROJECT初参加でした。 以下、活動についてご報告させて頂きます。
■1日目 初日は早朝の新幹線で東京から一ノ関へ、一ノ関からはチャーターしたバスで気仙沼まで移動しました。私自身、震災後はじめて被災地への訪問でしたが、新幹線やバスから見えてくる風景だけでは、震災の被害状況を伺い知る事はできませんでした。しかしながら、私がこの時見た風景が、被災地の皆様の絶え間ぬ努力による復旧の成果だったとこの活動を通して知る事になります。 気仙沼到着後、宿泊するホテルの近くにある「復興屋台村 気仙沼横町」にて昼食を取りましたが、立ち寄った定食屋の女将さんから、当時の様子や現在の状況をお聞きする事ができました。女将さんは魚問屋を営まれていたそうですが、津波で流され、現在はその仕事を続ける事ができないためこうして定食屋を開業し生計を立てていらっしゃるとの事でした。偶然の訪問でしたが、テレビや新聞などでは報道されないひとつの家庭の状況を伺い知る事ができた非常に貴重な体験でした(ちなみに最終日にも、空き時間に再訪しました)。昼食後、その日の活動のメインである「タブレット講習会」に参加するため気仙沼公民館に移動しました。その移動の最中、流された建物の痕跡や、建物に刻まれた最大水位の印を見ることができ、徐々に当時の被害状況を把握する事ができてきました。地元図書館主催の講習会は、地元新聞で取り上げて頂いた事もあり大盛況で、定員を上回る応募を頂いたようです。実際に参加された方は18名で、50~70代までの世代の方々にご参加頂きました。ほとんどの方がタブレット自体に触れる事が初めての方でしたが、終始賑やかで楽しい雰囲気の中講習会を終える事ができました。
■2日目 2日目は、まずバスで陸前高田に移動し、奇跡の一本松に立ち寄った後、大津波を奇跡的に生き延びた米沢祐一さんよりその時の様子をこと細かく伺いました。米沢さんのお話は、とにかく衝撃的でした。迫りくる大津波から自社ビルの屋上にある煙突のような場所のほんの僅かなスペースに逃げ、目の前に迫る濁流の恐怖や雪の降る凍えるような寒さと戦い、命からがら生き延びたそうです。最初バスで陸前高田に降り立った時、かさ上げの重機が至るところにあるだけで、周りには何もない場所であったため初めて訪れた私には、当時ここがどんな場所で、どれだけの人々が生活されていたか、想像する事はできませんでしたが、米沢さんのお話を伺い、町そのものが津波に飲み込まれてしまい、人も建物も悉く失われてしまったという事を知りこれほどの被害があった事を何も知らなかった自分を恥じました。米沢さんは、この津波でご両親と弟さんを亡くされております。それだけの体験をされているので、お話をする事自体当時を思い出して辛いのではないかと思いますが、米沢さんはその体験を多くの方々に「伝えたい」とおっしゃっていました。それは、同じ被害を繰り返さないため、そのような事態が起きた時に、一人でも多くの方が生き延びて欲しいためという熱い思いがあっての事だと知り、話をお聞きできたのはわずかな時間でしたが、非常に大きな感銘を受けた時間となりました。 その後、気仙沼に戻り、唐桑地区というやはり津波の被害を大きく受けた場所をバスで回り、リアスアークミュージアムで被災当時の写真や残留物などの展示を観覧した後、米沢さん同様津波の被害を生き延びた、菅原文子さんが営む酒屋を訪問し菅原さんからもお話を伺いました。菅原さんは津波の被害により元々営んでいた店舗も自宅も失い、さらにはご主人までを目の前で失われた方でした。しかしながら、菅原さんからはその事を引き摺っている様子はまるで感じられず、前を向いて力強く歩まれている姿がそこにはありました。また、菅原さんのところに伺う最中、バスの車中で気仙沼観光協会の熊谷さんにガイド頂きましたが、熊谷さんからも観光協会という立場で、復興にかける思いや、ボランティアや観光に来てくれる人達への感謝の気持ち、時間が経過するにつれて風化されていく事への危機感など、報道では伝わらないリアルな思いや考えをお聞きする事ができこの被災地で起こった出来事の大きさを、初めて正しく理解する事ができた気がしました。この日は、フェリーで気仙沼から大島に渡り、大島小学校で当社製品であるJewerly Box(以下JB)を設置させて頂きました。この製品は、デジカメやスマホなどで撮影した写真をひとまとめに管理し、テレビやPC、スマホで共有して見る事のできるツールです。JBは、他のJBとリンクする事ができ、JB同士で写真を共有する事ができます。現時点では大島小学校のみの設置ですが、今後他の小学校などとリンクさせ、児童同士がコミュニケーションを取る際のツールとして有効活用頂ければと考えます。
■3日目 最終日は、大島で牡蠣の養殖業を営む小松武さんの養殖場の見学ならびにお宅に訪問してのお手伝いを行いました。この日は、ちょうど大々的な避難訓練が行われており、養殖場に到着し、まずは避難訓練への参加からスタートしました。その際、当日小松さんが目の前で見た状況をこと細かに伺いましたが、これまでのお話伺った皆様同様に、それはとてもリアルで壮絶な内容でした。目の前で流される家や船、養殖イカダなど、見えていてもどうする事もできない絶望感があった事と思います。さらに大島は、津波の影響で大規模な山火事が発生し、消火活動も思うように進まず、民家にまで迫ろうかという勢いだったそうです。地震と津波だけでも絶望的な状況であるにも関わらず、山火事まで発生してしまった際の恐怖や喪失感は想像する事さえ困難でした。しかしながら、小松さんはその困難を乗り越え、現在は養殖業を再開されております。お手伝いは、養殖オーナーの皆様にお送りするパッケージのシール張りを行いました。その際ご自宅を訪問させて頂きましたが奥様と7歳の長女、ならびに今年8月に次女が産まれたばかりとのことで、震災を乗り越え、とても温かなご家庭を築かれていらっしゃいました。その温かな家庭の雰囲気を奥様の離れたご実家にもお届けできるよう、小松さん宅にもJBを設置させて頂きました。小松さん宅を後にし、フェリーの時間まで少し余裕があったため、火災のあった亀山の山頂に登りました。そこから見える風景は、大島だけでなく気仙沼全体も見渡す事ができ、リアス式海岸の広がるとても綺麗な風景でしたが至るところに震災の爪痕がうかがわれ、景色が奇麗な事もあり、より一層心が締め付けられる思いが致しました。
■SMILE PROJECTを終えて 3日間で、色々な方とお会いし、お話を伺い、様々な風景を自分の目で見たことで、同じ言葉の表現であっても被災地の皆様と、私とでは感じていたものが大きく異なる事を痛感しました。2011年3月11日の震災で、少なからず私も『恐怖』『絶望』『希望』を抱くような体験をしました。しかしながら、同じ言葉であっても、私と被災地の皆様では、比べることもできないほどその感じ方はかけ離れていたんだと、今回のPROJECTに参加した事で理解しました。これから先、我々がするべき事は、現地に伺って復興の支援をすることも大切ですが、それよりも、この震災の事実を正しく記憶し、正しく後世へ紡いでいく事と思います。この先続いていくであろうこのプロジェクトに多くの人が参加され、一人でも多くの人がこの事実を語り継いで頂ける事を期待します。最後に、20回に渡り、変わらず温かく我々を受け入れて頂いた気仙沼、気仙沼大島、陸前高田の皆様、この機会を提供頂いた当社SMILE PROJECT事務局の皆様に心より御礼申し上げます。
活動年月日 11月6日(木)~11月8日(土)