第38回SMILE PROJECTレポート

2018年3月23日~25日の3日間、ウイルスバスター スマイルプロジェクトとして、有志9名で気仙沼・陸前高田市へ向かいました。自分の目で見て、聞いて、話して感じたこと、考えたことについて、IoT事業推進本部の上田より報告します。

■想像を超えていた津波の恐ろしさ
陸前高田市の大津波。テレビなどの映像を通じその恐ろしさについて理解したつもりでいました。しかし、津波によって多くの建物が破壊された中残ることになった建物を自分の足で上り、地上15mにもなる津波到達点よりほんの数10センチ上にある1平米もない煙突の上に自分の足で立ち、そこから遠くに見える防潮堤と大きく開けた陸前高田市の現場を目にして、あの時その場所一面を襲った津波がいかに巨大だったのか、自分の理解をはるかに超えていた規模に圧倒されました。「まさかこんなところまでくるとは…当時自分がその場にいた場合、津波を過少評価して逃げ遅れていたかもしれない」それが正直な感想でした。

■「この桜並木よりも上に逃げよう」桜ライン311プロジェクト
これらの地域では、「地震の後には津波が来るから高台に逃げろ」という教えが行われていたり、過去の津波到達点を示す石碑が残されていたりしたとのことですが、多くの方が亡くなられています。その悔しさから、「地震の時はこの桜並木よりも上に逃げよう」ということを後世に継承することを目的に、津波到達ラインに沿って桜を植樹していく「桜ライン311」というプロジェクトが動いています。今回、私達もこのプロジェクトに参加し植樹を行いました。私達が植樹を担当したエリアも、海から一定の距離、高さがあり、津波がくるとは思えないような場所でした。改めて「まさかここまで…」と思うと共に、桜の鑑賞と共に津波への備えを毎年思い起す機会を作り後世に伝え続けることができるこのプロジェクトに強く賛同し、すくすく育つよう丁寧に桜を植樹しました。

■活動を振り返って改めて思うこと
当時その場に居なかった者に本当の意味での理解はできないかもしれません。しかし、実際に足を運び、自分の目で見て、聞いて、色々な経験をすることで少なからず理解できることがありました。今回お話を伺った方が「いつも津波警報が出ても高くても数十cm程度位だから、津波の事はほとんど気にしてなかった」「地震後まず頭に浮かかんだのは、お客さんが怪我をしているかもしれないから早くお店に行かなくちゃということでした」ということをおっしゃっていました。自分自身「まさかこんなところまで…」と思っていたことを踏まえれば、きっと、亡くなられた方の中にも同じように考え津波に巻き込まれた方が沢山いらっしゃったのだろうと推察します。そうした悲しい出来事を回避し、最大限人々が生き残るためにはどうしたらよいのか。いまだに自分の中でもやもやしたモノが残っていますが、一般市民としては「過去の教訓を生かしまずは自分の身を守るべく高台に避難する」「助けに行かないことを自他共に責めない」「避難が難しい人は、できる限り初めから安全な場所に拠点を設けるか回避手段を準備しておく」といった考え方で一人ひとりが行動することで、結果として多くの方が助かると共に、辛くも生き残った方々が自責の念で押しつぶされてしまう事態を防げるのではないだろうかと思い至っています。そのためにも、今後自分なりの方法で、桜ライン311プロジェクトをはじめ、継続的に支援・復興活動に関与していくと共に、身近な所でこうした問題を考えていく機会を作っていきたいと思います。

今回、温かく迎えてくださった気仙沼・陸前高田市の方々、植樹活動をはじめ貴重な機会を提供してくださった関係者の方々、そして、共に本プロジェクトに参加した同僚、事務局の皆様に深く御礼申し上げます。

<第38回ウイルスバスター スマイルプロジェクト>
実施日:2018年3月23~25日
訪問先:気仙沼・陸前高田市