サイバーリスクアセスメントとは、組織のデジタルアタックサーフェス(攻撃対象領域)全体にわたるリスクを特定、分析、優先順位付けするプロセスを指します。
目次
サイバーリスクアセスメントは、セキュリティリーダーにサイバー攻撃の発生確率と影響を軽減するための実用的な気づき(インサイト)をもたらすものであり、セキュリティ態勢の強化や業界標準への準拠に役立ちます。
デジタルトランスフォーメーションとクラウド移行が進む現代においては、アタックサーフェス(攻撃対象領域)が常に移り変わります。一度限りのアセスメントを実施するだけでは、もはや十分ではありません。サイバーセキュリティリスクアセスメントは、以下の点で役立ちます。
脆弱性や誤設定がインシデントになる前に特定する。
リスクの重大度に基づいて、修復作業の優先順位を決定する。
NIST CSFやCAFなどのコンプライアンスフレームワークをサポートする。
CISOとSOC担当部門がリスクに基づいた意思決定を下せるようにする。
「評判を築くには20年かかるが、わずか数分間のサイバーインシデントが起これば、そのすべてが台無しになる」 – Stephane Nappo
サイバーセキュリティリスクアセスメントが重要なのは、組織が最も脆弱な領域を把握し、コストのかかる侵害やダウンタイムを防ぐ積極的対策を講じるうえで役立つからです。サイバー攻撃は巧妙化の一途を辿り、その発生頻度も増えているため、リスクアセスメントを通じてレジリエンスの基盤を整える必要があるのです。
サイバー脅威の進化の速さはかつてないレベルに達しており、時代遅れのセキュリティ対策に頼っている余裕はありません。その点で、サイバーセキュリティリスクアセスメントは、自社の弱点を特定し、重要なアセットの保護対策に優先順位を付けるうえで明確なロードマップとなります。つまり、サイバーセキュリティリスクアセスメントは、単にコンプライアンスの問題ではなく、攻撃に耐え、そこから復旧できるという自信を築くための活動であると言えます。
サイバーセキュリティリスクアセスメントが重要な理由は以下のとおりです。
脅威に先手を打つ:攻撃者に悪用される前に脆弱性を検出できます。
経済的影響を軽減:侵害、ダウンタイム、法令違反による罰金など、高額なコストを回避できます。
事業継続性を確保:対従業員、対お客さまのどちらであるかを問わず、システムやアプリケーションの円滑な稼働を維持できます。
レジリエンスを構築:中断や評判の毀損を最小限に抑えるための対応計画と復旧計画の策定に役立ちます。
サイバーセキュリティリスクアセスメントを定期的な業務として実施する体制を整えれば、新たな技術や脅威に適応できる再現性のあるプロセスが実現し、セキュリティと運用のどちらにも長期的な安定性を確保できます。
トレンドマイクロリサーチは、サイバーリスクを調査し、サイバーセキュリティの向上が必要な重要分野を特定するために、ポネモン研究所と共同でサイバーリスク指標(CRI)を作成しました。CRIは、組織の現在のセキュリティ態勢と攻撃を受ける可能性との間のギャップを測定する指標であり、定期的に更新されます。組織のサイバーリスクスコアの算出には、こちらのCRI計算ツールをご利用ください。
サイバーリスク管理は、組織の現在のセキュリティ態勢を明確に把握することから始まります。そのためには、適切なサイバーセキュリティリスクアセスメントが不可欠です。サイバーセキュリティリスクアセスメントは、変化する脅威に照らして準備状況をベンチマークすることで、ギャップを特定し、行動の優先順位を決定し、長期戦略を策定するのに役立ちます。サイバーリスクスコアリングモデルなどのツールを活用すれば、リスクに対するエクスポージャーと成熟度に関する貴重な気づき(インサイト)が得られます。トレンドマイクロのサイバーセキュリティアセスメントツールをご利用ください。
継続的リスクアセスメントは、従来のアセスメントを超えた継続的なプロセスです。従来のリスクアセスメントでは特定の時点のスナップショットしか得られないのに対し、継続的リスクアセスメントでは、特に誤設定や脅威が一夜にして発生する可能性があるクラウド環境において、変化するアセットの状況をリアルタイムで可視化できます。組織はアセットを継続的に評価し優先順位付けすることにより、最新のリスク態勢を維持するとともに、具体的な対策を講じて重要なリソースを保護できるようになります。
サイバーリスクアセスメントでは、サイバーリスクの算出に際し、以下の2つの重要な要素を評価します。
攻撃の可能性:脆弱性、誤設定、不審な振る舞い、およびコンプライアンス上の不備に基づいて評価します。データソースとしては、ユーザの挙動、セキュリティログ、クラウドアプリの振る舞いなどがあります。
攻撃の影響:アセットの重要性と事業価値を考慮して評価します。企業秘密や重要インフラへの侵害は、多数の軽微な事件よりもはるかに大きな損害をもたらす可能性があるものとして扱われます。
リスクにさらされるデータの主な種類は以下のとおりです。
ビジネスコミュニケーション(メール)
人事関連のファイル
財務情報
R&Dデータ
会社の機密情報
式:
リスク = 可能性 x 影響
サイバーセキュリティリスクアセスメントは、組織に大きな利点を多数もたらします。いずれも、より強固でレジリエンスに優れたサイバーセキュリティ体制の構築や、組織全体の業務効率の向上に役立ちます。
セキュリティ態勢の強化:以下により、IT環境全体のセキュリティが強化されます。
ITアセットとアプリケーションをさらに可視化
ユーザ権限、Active Directoryでの活動、およびIDに関する完全なインベントリを作成
デバイス、アプリケーション、ユーザIDの脆弱性を特定
脅威アクターやサイバー犯罪者が悪用する可能性のある具体的な脆弱性を特定
強固なインシデント対応および復旧計画の策定を支援
可用性の向上:セキュリティインシデントによるダウンタイムや中断を回避することにより、アプリケーションとサービスの可用性を向上させます。
規制リスクの最小化:関連するデータ保護要件および基準に対するコンプライアンスを確保しやすくなります。
リソースの最適化:リスクと影響度に基づいて優先度の高い活動を特定できるため、セキュリティ対策をより効果的に配分できるようになります。
コスト削減:脆弱性の早期緩和が可能になり、攻撃の発生前に阻止できるようになるため、コスト削減に寄与します。
最新鋭のプラットフォームでは、さまざまなリスク領域に対応できるよう、複数のモジュールが用意されています。
サイバーリスクアセスメントは、脅威を特定するだけでは終わりません。脅威に優先順位を付けることも重要な役割の1つです。アセスメントは、地域別およびグローバルな脅威インテリジェンスを関連付けることにより、以下をもたらします。
即時の対応が必要な脆弱性の優先順位を示したリスト
ベストプラクティスおよびコンプライアンス基準に準拠した推奨事項
(場合によっては)高リスクの脅威の自動ブロック
Cyber Risk Quantification(CRQ):リスクを金銭的観点から捉え直し、取締役会レベルの報告に役立てます。
Cyber Risk Exposure Management(CREM):継続的監視と予測分析を可能にし、脅威が顕在化する前に無力化します。
サイロ化されたツールは、アラート疲れや応答時間の悪化の原因となります。一元的なサイバーセキュリティプラットフォームを導入すれば、ネットワーク、エンドポイント、クラウド環境にわたるリスクデータを統合し、優先順位付けされたアラートと実用的な気づき(インサイト)により、拡大を続けるアタックサーフェス(攻撃対象領域)に対応できます。
サイバー犯罪は、世界中のあらゆる会社にとって最大の脅威です。– Ginni Rometty (IBM)
セキュリティはプロセスであり、製品ではない。– Bruce Schneier
サイバーリスクアセスメントが脆弱性を特定し、潜在的な影響を評価するものであるのに対し、Trend Vision One™ はそこからさらに一歩進み、リアルタイムのインテリジェンスと予測分析を提供します。その組織にとっての利点は以下のとおりです。
精度向上:アセスメントの結果を実際の脅威データで検証できるようになります。
リスクの優先順位付け:AIを活用したスコアリングにより、最も重要なエクスポージャーに集中できます。
先手を打つ:新たな脅威や業界の動向を継続的にモニタリングできます。
対応の迅速化:防御体制を強化し、コンプライアンス要件を満たすための実用的な推奨事項を受け取ることができます。
サイバーリスクアセスメントのプロセスにTrendAI Vision One™ を連携させることにより、静的な評価から動的かつプロアクティブなセキュリティ戦略へと移行することが可能になります。
Fernando Cardosoはトレンドマイクロのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントとして、進化を続けるAIとクラウドの領域に注力しています。ネットワークエンジニアおよびセールスエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、データセンター、クラウド、DevOps、サイバーセキュリティといった分野でスキルを磨きました。これらの分野は、今なお彼の情熱の源となっています。
サイバーセキュリティリスクアセスメントとは、組織のデータとシステムを保護することを目的として脆弱性を特定し、脅威を評価したうえで、潜在的な影響を判定することを指します。
アセットの特定、脅威の分析、脆弱性の評価、リスクの評価などを済ませたうえで、包括的なセキュリティ保護に向けた緩和戦略を実施していきます。
定性的アセスメント、定量的アセスメント、汎用的アセスメント、サイト固有のアセスメントの4つがあります。それぞれ、対応しているセキュリティニーズとリスクレベルが異なります。
アセットの特定、脅威分析、脆弱性評価、リスクの優先順位付け、および効果的なサイバーセキュリティ管理の実現に向けて推奨される緩和策の5つです。