脆弱性管理とは?

tball

脆弱性管理とは、アタックサーフェス(攻撃対象領域)全体にわたって脆弱性を発見、優先順位付け、修正していくための継続的かつリスクベースのセキュリティ対策です。脆弱性が悪用され、ビジネスに多大な損害を与えるインシデントに発展する前に対策を講じ、現実世界の脅威を減らすことができます。

脆弱性管理が重要である理由

現代の環境はめまぐるしく変化しています。クラウドワークロードは頻繁に増減し、アプリケーションは継続的に更新され、IDは今やアタックサーフェス(攻撃対象領域)の一部として機能するようになりました。同時に、攻撃者はエクスプロイトの開発を加速させており、新たに明らかになった脆弱性が数日も経たずに標的にされることも少なくありません。多くの有名な侵害は、公に文書化されていながらパッチが適用されていない脆弱性が原因で発生しています。

SOC 2、ISO 27001、PCI DSS、NIST CSFなどのコンプライアンスフレームワークや、政府のサイバーセキュリティ指令では、適切なセキュリティ対策を実証するために、正式な脆弱性管理が求められています。効果的な脆弱性管理は、単なる法令遵守の枠組みを越えて、レジリエンスの強化、セキュリティ負債の削減、回避可能な侵害の予防にも役立ちます。

脆弱性管理の重要性

脆弱性管理のコアライフサイクル

効果的な脆弱性管理は、1回のスキャンやイベントでは終わりません。反復可能なライフサイクルに従って実施していく取り組みです。

  1. アセットおよびアタックサーフェス(攻撃対象領域)のディスカバリー

    最初に必要なのは、何が存在するのかを把握することです。このディスカバリー作業の対象範囲は、従来のインフラストラクチャ、エンドポイント、仮想化環境、クラウドサービス、コンテナ、SaaSアプリケーション、ID、そして場合によっては運用技術など多岐にわたります。環境は急速に変化するので、定期的なインベントリ調査よりも継続的なディスカバリーの方が信頼性が高まります。

  2. 脆弱性の特定と分析

    アセットを特定したら、そのアセットのそれぞれについて古いバージョンのソフトウェア、公開されているサービス、安全でない設定、パッチの不適用、権限の管理ミス、既知のCVEなどの脆弱性があるかどうかを評価します。調査結果は、重大度や潜在的なエクスプロイトのパターンを把握するために利用可能な情報によって補強されます。

  3. リスクベースの優先順位付け

    脆弱性のすべてに、即座の対応が必要なわけではありません。優先順位付けにおいては、エクスプロイトの可能性、エクスプロイトの公開状況、アセットの重要度、エクスポージャーの状況、およびビジネスの文脈を考慮します。優先順位が決まれば情報のノイズが減り、理論上の重大度だけでなく、現実世界でリスクをもたらす弱点に重点的に対策を講じることが可能になります。

  4. 修復、緩和、または受容

    対策としては、パッチの適用、設定変更、補完的統制策、セグメンテーション、(パッチが存在しない場合には)一時的な緩和策などがあります。リスクがごく小さい脆弱性や、修復が現実的でない脆弱性は、意図的に放置または受容されることもあります。

  5. 検証と継続的なモニタリング

    検証では、修復が成功したことを確認するとともに、ロールバック、設定のずれ、または新規展開によって脆弱性が再発していないことを確認します。このプロセスは通常のセキュリティ運用の一環として継続的に実施します。
ライフサイクル

脆弱性管理と脆弱性スキャン

脆弱性スキャンとは、ツールを使って脆弱性を検出し、そのリストを作成する活動を指します。これに対して、脆弱性管理とは、優先順位付け、対策、調整、レビューを通じて、検出結果を測定可能なセキュリティ改善策へと転換していくプログラムを指します。スキャンは脆弱性管理を支えるものではありますが、脆弱性管理そのものではありません。

脆弱性管理を現代のインフラストラクチャに適合させる

サーバやネットワーク機器に焦点を当てた従来のアプローチでは、もはや十分ではありません。現代の脆弱性管理は、以下のようなハイブリッドアーキテクチャに対応している必要があります。

  • 複数のプロバイダにまたがるクラウドワークロード
  • コンテナ、Kubernetes、IaC(Infrastructure as Code)
  • SaaSやID駆動のアタックサーフェス(攻撃対象領域)
  • リモートエンドポイントおよび管理対象外のデバイス
  • 開発パイプラインとオープンソースコンポーネント

環境は絶えず変化するため、精度を維持するにあたっては可視化と自動化が重要な役割を果たします。

リスクベースの脆弱性管理

重大度のスコアだけでは、修復の順序を決めることはできません。リスクベースのアプローチでは、現実世界の文脈を取り入れます。具体的には以下のとおりです。

  • 攻撃者が積極的に脆弱性を悪用しているかどうか
  • 影響を受けるシステムはどの程度公開されているか、またはどの程度アクセスしやすいか
  • エクスプロイトが発生した場合に取得される特権レベル
  • 検出および補完的統制策がリスクを低減するかどうか
  • システムがミッションクリティカルであるかどうか

このアプローチは、単に「どれだけ多く発見するか」という視点を脱し、エクスプロイトされうる経路を意味のある形で減らしていくことを重視するものです。

成熟した脆弱性管理プログラムの利点

脆弱性管理を正しく実践できれば、攻撃の成功率低下、修復の迅速化、優先順位付けの精度向上の効果が期待できます。また、セキュリティ部門、IT部門、経営陣の間のコミュニケーションも明確になります。さらに、セキュリティに関する意思決定を、展開後ではなくライフサイクルの早い段階で下せるようになるため、最新化の取り組みにも役立ちます。

よくある課題と障壁

組織は多くの場合、アセットインベントリの不完全性、所有権の欠如、ツールの断片化、セキュリティ担当部門と運用担当部門の業務のサイロ化といった問題に悩まされています。あらゆるシステムやベンダーがパッチ適用の自動化をサポートしているわけではありません。加えて、クラウドのリソースは手動による追跡が追いつかないほど速いペースで変化することも多々あります。体系的なガバナンスがなければ、脆弱性管理が戦略的とはほど遠い事後対応的なものになってしまう可能性があります。

プログラムを開始または改善する方法

ほとんどの組織は、アセットの可視化をさらに進めること、スキャンのスケジュールを確立すること、そして役割と責任を明確にすることから始めています。その後は、プログラムが進化していくのに伴い、自動化、継続的監視、対応ワークフローの統合により、一貫性とスピードを高めていきます。プログラムの進捗状況や成熟度は、パッチ適用までの平均時間やリスクの低減度といった指標を経時的に追跡することで把握できます。

脆弱性管理に関する支援はどこで受けられるか?

今日の急速に変化する脅威環境においては、攻撃者の動向に迅速に対応できるソリューションが必要です。TrendAI Vision One™ では、ハイブリッド環境とクラウド環境全体にわたる脆弱性や誤設定について、継続的な可視化とリスクベースの優先順位付けの機能を提供しています。また、是正措置の効率化とリスク軽減につながる脅威インテリジェンス、文脈スコアリング、統合された修復ワークフローも利用できます。

業界初のプロアクティブなサイバーセキュリティAIであるTrendAI™ Cybertronを活用したこのプラットフォームは、20年にわたるAIセキュリティ開発の集大成と言えます。各種のLLMモデル、膨大なデータセット、AIエージェントを組み合わせた高度なフレームワークは、お客さま固有の攻撃を予測するうえで効果を発揮します。高度なエージェント型AIは、現実世界の情報とお客さまのセキュリティデータを基に絶えず進化し、新たな脅威に適応しながら、解決戦略を随時効率化します。直感的なAIアシスタントであるTrendAI Companion™ と組み合わせることで、このアプローチはネットワークやエンドポイントからクラウド環境、OT/IoT、メール、ID、AIアプリケーション、データに至るまで、デジタル資産全体にわたるセキュリティ態勢を強化します。

Joe Lee氏

プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント

ペン

Joe Leeはトレンドマイクロのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントとして、エンタープライズ向けEメールおよびネットワークセキュリティソリューションのグローバル戦略と製品開発を統括しています。

よくあるご質問(FAQ)

すべて開く すべて閉じる

脆弱性管理の5つのステップとは何ですか?

add

(システムおよびアセット全体にわたる脆弱性の)特定、評価、優先順位付け、修復、継続的監視です。

脆弱性管理ツールとは何ですか?

add

システム、アプリケーション、ネットワークにおけるセキュリティ上の脆弱性をスキャン、追跡、優先順位付けし、修復に役立てるソフトウェアを指します。

脆弱性の主な4つの領域とは何ですか?

add

ネットワーク、アプリケーション、クラウド、エンドポイント、人間/行動の弱点の5つです。

脆弱性管理の具体例としては、どのようなものがありますか?

add

定期的なスキャン、重大な欠陥のパッチ、修正内容の検証を実施し、リスクとエクスポージャーを低減することが挙げられます。

VAとVMの違いは何ですか?

add

脆弱性診断は弱点を発見する活動です。これに対して、脆弱性管理はそれらを追跡して優先順位を付けたうえで、随時修正していく取り組みです。

VPNとVMは同じものですか?

add

いいえ。VPNはネットワークトラフィックを保護するものであるのに対し、脆弱性管理はセキュリティ上の弱点を検出し、管理するものです。

脆弱性管理ツールのなかで最善のものは何ですか?

add

TrendAI Vision One™ です。

会社はどのようにして脆弱性にパッチを適用しているのでしょうか?

add

問題点を特定し、アップデートをテストしたうえで、パッチを適用し、リスクが解消されたことを確認しています。

会社として、どのくらいの頻度で脆弱性スキャンを実施すべきでしょうか?

add

少なくとも月に1回です。高リスク環境の場合には、継続的に実施するのが理想です。

サイバーセキュリティにおける80/20ルールとは何ですか?

add

最も深刻な20%の脆弱性を修正することで、攻撃の80%を防ぐことができるという経験則です。