クラウド環境
10億ドルを支えるアーキテクチャ:顧客がAWS上でTrendAI Vision One™を運用し、AIワークロードを保護する方法
TrendAI™のAWS Marketplaceにおける売上高が10億ドルを突破しました。この大台を超えたAWS独立系ソフトウェアベンダ(ISV)は、これまでにも限られています。その背景には2,900件を超えるプライベートオファーと、購入手続きに妨げられることなく実際のセキュリティギャップを迅速に解消してきた数千ものセキュリティチームがあります。
TrendAI™のAWS Marketplaceにおける売上高が10億ドルを突破しました。この大台を超えたAWS独立系ソフトウェアベンダ(ISV)は、これまでにも限られています。その背景には2,900件を超えるプライベートオファーと、購入手続きに妨げられることなく実際のセキュリティギャップを迅速に解消してきた数千ものセキュリティチームがあります。TrendAI Vision One™プラットフォームは、Enterprise Discount Program(EDP)の消化を通じて既存のAWS利用契約額を充当して導入できます。財務部門がすでに承認しているAWSの請求書に一本化され、顧客が信頼するチャネルパートナー経由で取引できます。
これによって得られる効果は、調達プロセスではなくセキュリティ成果で測られます。保護の開始までに四半期単位ではなく数日しかかからず、複数のツールを継ぎ合わせることなく単一のプラットフォームでAWS環境全体を監視できます。脅威を70%速く検知でき、数千件に及ぶアラートキューは一桁まで減少します。この仕組みの構築には10年を要しました。TrendAI™は2014年に従量課金を採用した最初のセキュリティパートナーであり、後にAWS Private Offersとなる仕組みの設計にも貢献しました。さらに、現在AWSの有力パートナーが広く利用するChannel Partner Private Offers(CPPO)の設計・ローンチパートナーも務めています。そのため、多くのAWS顧客が問うのは、このモデルが機能するかどうかではありません。効果的に運用するにはどのような構成が必要かという点です。ここからは、その基盤となるアーキテクチャを見ていきます。
顧客が導入するもの:代表的な3つのパターン
AWS環境にTrendAI Vision One™を導入する際は、まず単一のCloudFormationスタックを作成し、StackSetsを使って複数のリージョンへリソースを展開します。基本構成は非常に軽量です。IAMロールとポリシー、Lambdaカスタムリソース、SQSキュー、EventBridgeルール、CloudWatchロググループのみで構成され、常時稼働するコンピュートリソースはありません。機能を追加すると、より深い統合が有効になり、それに応じて必要な権限の範囲も広がります。すべての内容は導入前にテンプレートで確認できます。数千件に及ぶAWS Marketplaceでの取引を見ると、次の3つの導入パターンが、ほぼこの順番で繰り返し採用されています。
パターン1:エージェントレスのクラウド可視化とリスク管理
多くのチームにとって、課題は検出結果の不足ではありません。そのうち、攻撃者が実際に到達できるものを見極める手段がないことです。このパターンでは、まず単一の読み取り専用接続を構成します。IAMロールをCloudFormation StackSetsで組織全体に一度オンボードし、必要に応じてアカウント内スキャンを有効にするCloudFormationスタックを追加します。TrendAI Vision One™の5つの機能が、この1つの接続上で動作します。
このうち4つは、TrendAI Vision One™ Cyber Risk Exposure Management(CREM)を構成します。CREMは、80を超えるAWSサービスからの資産検出、600を超えるAWSセキュリティルールに基づく評価、攻撃経路のマッピング、実際に悪用可能なエクスポージャの抽出という一連の処理を継続的に実行します。Cloud Security Posture Management(CSPM)はAWS API経由で資産メタデータを取得し、ポスチャルールと照合します。Data Security Posture Management(DSPM)は一時的なスキャナを使用し、S3バケットとEBSボリュームに機密データが含まれていないか確認します。Cloud Infrastructure Entitlement Management(CIEM)は、CSPMにCloudTrail監査ログの利用状況を加え、未使用または過剰な権限を持つアイデンティティを特定します。Agentless Vulnerability & Threat DetectionはLambdaからEBSボリュームのスナップショット作成を開始し、一時的なEC2インスタンスでスキャンします。EC2インスタンスは処理の完了後に削除されます。ライセンス付きのMarketplaceイメージではEBS Direct APIを利用するため、EC2インスタンスを使わずにスキャンできます。ECRイメージとLambda関数のスキャンはLambdaで実行します。リソースが残り続けることはなく、稼働中のアプリケーションにも影響しません。
5つ目のReal-Time Posture Monitoringは、定期スキャンの間に生じる空白を埋めます。EventBridgeの構成変更イベントに反応するため、最後の定期スキャン時点ではなく、数分前の変更をポスチャに反映できます(Cloud Detections for AWS CloudTrailを有効にする必要があります)。
5つの機能から得られる情報は、すべて1か所に集約されます。統合された資産インベントリ、優先順位付けされたリスク、XDRの検出結果を単一のコンソールで確認でき、検出結果はAWS Well-Architected Frameworkと多数のコンプライアンス基準にマッピングされます。その結果、チームは理論上の脆弱性を何百件も順番に処理するのではなく、実際に悪用可能な少数の脆弱性に集中して修正できます。
パターン2:ワークロードとコンテナの保護
どこにリスクがあるかを把握しても、進行中の攻撃を止めることはできません。このパターンでは攻撃を封じ込め、購入時に固定されたライセンス数ではなく、環境の規模に合わせて保護範囲を拡張します。ランタイム防御では、TrendAI Vision One™ Server & Workload Protection(SWP)エージェントをEC2に導入します。AWS Marketplaceを通じた従量課金のため、利用料金はAWSの請求書に直接反映されます。TrendAI Vision One™ Container Securityは、EKSとECSをランタイムで保護します。EKSにはHelmチャートを使用してPodとして、ECSにはCloudFormationリソースとして導入し、Fargateにも対応します。開発時と導入時にイメージを検査し、共通脆弱性識別子(CVE)、不正プログラム、シークレットを検出します。TrendAI Vision One™ File Securityは、S3オブジェクトをサーバレスでマルウェアスキャンし、NFS/SMBストレージはスキャナゲートウェイを介して保護します。
パターン3:AWSテレメトリを活用したセキュリティ運用
クラウドのシグナルを個別に見ても、それがインシデントかどうかを判断できるとは限りません。エンドポイント、アイデンティティ、メール、ネットワークの情報を相関分析することで、セキュリティオペレーションセンター(SOC)は対応すべき少数の事象を特定できます。SOCチームは、TrendAI Vision One™ XDR for CloudとTrendAI Vision One™ Agentic SIEMをCloudTrail、GuardDuty、Amazon Security Lakeに接続し、AWSがすでに生成しているログを活用します。TrendAI Vision One™は、それらのログを数百種類のサードパーティソースから得られるシグナルと相関分析します。プラットフォーム全体では、MITRE ATT&CK 2025を100%カバーする9,000件の高精度な検出ロジックを備えています。SOCに届くアラートは数千件から一桁まで減り、チームはノイズの選別ではなくインシデント対応に取り組めます。
多くの顧客は1つのパターンから始め、段階的に対象を広げます。図5のリファレンスアーキテクチャは、3つのパターンをどのように組み合わせるかを示しています。TrendAI Vision One™プラットフォーム自体もAWS上で稼働し、生成AI機能にはAmazon Bedrockを利用しています。
TrendAI Vision One™はAWSとどこまで深く統合されているか
TrendAI Vision One™は、80を超えるAWSサービスとの統合または監視に対応します。これは240を超えるAWSサービス全体のおよそ3分の1に相当します。顧客にとって重要なのは統合の深さです。行き来するコンソールの数とツール間の死角を減らし、AWS環境を把握した統一的なリスク像を得られます。
TrendAI Vision One™は、CloudTrail、VPC Flow Logs、CloudWatch、Amazon Security Lakeのログに加え、GuardDuty、Macie、Inspector、Security Hubの検出結果を取り込みます。これらのデータは、エンドポイントとアイデンティティのテレメトリとともにAgentic SIEMおよびXDRで相関分析され、優先順位付けされます。
このうち約30のサービスとは、さらに深く統合されています。ネイティブ統合には、一時的なEC2インスタンスとEBSスナップショットを使うエージェントレスの脆弱性・マルウェア検出、EKSおよびECSクラスタのランタイム保護、S3バケット内のオブジェクトを対象とするサーバレススキャンが含まれます。ECRのイメージスキャンに加え、Amazon Bedrock上で構築されたAIアプリケーションのプロンプト検査と介入にも対応します。
対象はセキュリティサービスに限らず、AWS環境全体に及びます。
- コンピューティングとストレージ:EC2、EBS、S3、Lambda
- コンテナ:ECS、EKS、Fargate、ECR
- 検出とテレメトリ:CloudTrail、VPC Flow Logs、CloudWatch、Security Lake
- セキュリティとアイデンティティ:GuardDuty、Macie、Inspector、Security Hub、IAM
- ネットワーク:VPCエンドポイント、Network Firewall
- AI:Amazon Novaを含むAmazon Bedrock
AWS Security Hubを含むすべての情報を1つの画面で確認できるか
Security Hubの検出結果は、CloudTrailログ、VPC Flow Logs、WAFログ、EKS監査ログ、Route 53 Resolverクエリログとともに、Amazon Security Lakeを通じてTrendAI Vision One™に送られます。AWSネイティブのシグナルとTrendAI™の検出結果は1か所で相関分析されます。TrendAI™の検出結果をSecurity Hubへ送るためのオープンソース統合コード、テンプレート、ドキュメントもGitHubで提供しています。また、TrendAI™はAWS Built-in(英語)のISV Competencyパートナーです。そのため、中核となるセキュリティ機能は、個別のスクリプトではなくAWS検証済みの自動化によって複数のAWSアカウントに導入できます。
Amazon GuardDutyが脅威を検出した後はどうなるか
GuardDutyはそのまま利用し、TrendAI Vision One™が検出結果を対応へ直結する情報に変えます。GuardDutyの検出結果はAmazon Security Lakeへ送られます。XDR for Cloudはこれを取り込み、ワークロード、アイデンティティ、エンドポイント、メールのシグナルとともに、150を超える検出モデルで相関分析します。TrendAI Vision One™により、単独の検出結果はキューに並ぶ通知ではなく、一連の攻撃の全体像を示すストーリーになります。その後、Cloud Response for AWSの組み込みアクションで侵害されたIAMユーザのアクセス権を取り消せます。Security Playbooksを使えば、LambdaやEventBridgeを起動してEC2インスタンスを隔離するなど、対応をさらに拡張できます。いずれの場合も、チケットキューで順番を待つことなく数秒で処理されます。これによって攻撃者の滞留時間を削り、横展開に使われるはずだった時間を奪えます。
AWS Control Towerを介したオンボーディングの仕組み
顧客がControl Towerで管理するLog Archiveアカウントを一度接続すると、TrendAI Vision One™はマルチアカウント環境全体でCloudTrailベースの検出を行えるようになります。その後にプロビジョニングされる新規アカウントにも、自動的に保護が継承されます。これは「1つのアカウントに導入済み」と「組織全体に導入済み」の違いであり、大企業が数日で環境全体を保護できる理由でもあります。保護範囲は事業の拡大と同じ速さで広がるため、新しいチームがアカウントを作成しても、未保護の領域が生まれません。
EKS、ECS、サーバレスへの対応
Container Securityは、ライフサイクルを順に保護します。TrendAI Vision One™ Code Securityは、継続的インテグレーションと継続的デリバリ(CI/CD)のパイプラインでTrendAI™ Artifact Scannerを実行し、導入前に問題を検出します。Agentless Vulnerability & Threat Detectionは、ECRに保存済みのイメージをスキャンします。続いてアドミッションコントロールがワークロードの起動可否を判断し、起動後はランタイム保護が監視します。Container Securityは、EKSではHelmで管理するPod群として、ECSではCloudFormationリソースとして導入され、Fargateタスクにも対応します。LambdaベースのFile Securityは、S3へ保存されたオブジェクトを直ちにスキャンします。
AWSネイティブのセキュリティサービスを置き換えるのか
いいえ。相互補完を前提に設計されています。AWSは責任共有モデルに基づき、基盤となる制御を提供します。GuardDutyはAWSのコントロールプレーンとネットワークアクティビティの異常を引き続き検出し、Security Hubは検出結果を集約します。TrendAI Vision One™は、レイヤーをまたぐ相関分析、エクスポージャの優先順位付け、仮想パッチ、自動対応を加え、これらの制御を具体的な成果へつなげます。その基盤を支えるのが、450人の脅威リサーチャとTrendAI™ Zero Day Initiative™(ZDI)です。1,000エンドポイントの環境では、脅威を70%速く検知し、年間約28万8,000ドルを削減できます。AWS上で運用するNortheast Georgia Health Systemは、誤検知の調査に費やす時間を60%削減しました(英語)。
次のフロンティア:AWSにおけるAI時代のセキュリティ
過去10年間にワークロードをAWSへ移行した顧客は、現在AIもAWSへ移し始めています。その導入ペースは、セキュリティ対策を上回っています。IDCの調査(英語)によると、企業によるAIの概念実証(PoC)の88%は本番運用に移行していません。33件のパイロットのうち、本番化されるのは約4件にすぎません。IDCは組織の準備不足を原因として挙げています。セキュリティチームにとって、この不足は「プロジェクトを安全に開始できると証明できない」という具体的な問題として表れます。モデルにはどのデータが入力されているのか。ガードレールは十分に機能するのか。エージェントが侵害された場合に何が起きるのか。こうした問いに答えなければなりません。
TrendAI Vision One™は、この状況を変えます。クラウドを保護している同じプラットフォームでAIスタックもカバーするため、セキュリティレビューに必要なエビデンスは審査開始前からそろっています。承認作業は障害ではなくチェックポイントとなり、AIプロジェクトを確信を持って本番環境へ移行できます。一方で、AIは脅威の前提も変えています。AIによって脆弱性の発見と攻撃への転用が数か月ではなく数時間で進むようになると、発見可能な脆弱性と実際に悪用される脆弱性との時間差は、ほぼなくなります。この問題の解決に役立つのが仮想パッチです。TrendAI Vision One™ Server & Workload Protectionは、ソフトウェアにパッチが適用されていない場合でも有効な侵入防御ルールを使用し、EC2インスタンス上でエクスプロイトの試行を阻止します。TrendAI Vision One™ Cloud IPSは、より外側のレイヤーで同じ役割を担います。AWS Network Firewallを通過するトラフィックを検査し、攻撃がワークロードへ到達する前にVPCの境界で遮断します。パッチはSystems Manager Patch Managerを使って予定どおりに適用し、それまでの期間をルールで保護します。TrendAI™ ZDIはベンダに先んじて脆弱性を発見することが多く、これにより顧客はベンダのパッチ提供より平均して96日早く保護(英語)を受けられます。これらのルールは個々のCVEではなく、根本的な悪用手法や脆弱性の種類を対象に作成されます。1つのルールで後続の亜種にも対応できるため、AIによってバグの数が増えても拡張可能です。必要なのは新たなポイント製品ではありません。すでに保護しているパイプラインを、コードからクラウド、モデル、エージェントへと広げることです。
AWS上では、次の3つのレイヤーが連携します。
- AIリスクの可視化: TrendAI Vision One™は、すべてのAmazon Bedrockデプロイを含むAWSリソースを継続的にスキャン(英語)し、構成ミス、不正なモデルアクセス、ガードレールの欠如、機密データの露出を検出します。対象となるAIリスクは全部で7カテゴリです。TrendAI Vision One™ AI Security Posture Management(AI-SPM)とData Security Posture Management(DSPM)はAmazon Macieと連携し、S3全体の機密データを分類します。これにより、モデルにどのデータが供給されているかを正確に把握できます。
- AIアプリケーションの保護: TrendAI Vision One™ AI Scannerによる導入前スキャンとTrendAI Vision One™ AI Guardによるリアルタイム制御が、Amazon Bedrock Guardrailsを補完します。入力と出力の両方を対象に、プロンプトインジェクション、機密データの漏洩、安全でない出力を検出し、責任共有モデルのギャップを埋めます。既存のBedrockワークロードとともにCloudFormationで導入できます。セルフホスト型を選択した場合、機密性の高いAIトラフィックはAWSアカウント内に保持され、外部へ送信されるのはスキャン結果だけです。
- AI脅威の統合検知: Bedrock上のアクティビティ(プロンプトインジェクション、個人識別情報(PII)の露出、安全でない出力)をAWS環境全体のシグナルと相関分析します。侵害されたエージェントは、ばらばらのアラートではなく、つながりのある1つの攻撃ストーリーとして表示されます。
- AWS MarketplaceでTrendAI Vision One™を確認(英語)し、TrendAI™の販売者プロフィール(英語)から全製品を参照できます。
- 別のプラットフォームから移行する場合は、リスクのない移行プログラムについてお問い合わせください。60日間の価値実証と90日間の並行運用をAWS Marketplace経由で契約できます。
- 30日間の無料体験版を開始できます。完全なプラットフォームを数分で導入できます。
- Buy with AWS(英語)なら、ワンクリックで購入し、既存のAWS請求書にまとめられます。EDPの消化に利用契約額を充当でき、CPPOを利用して希望するチャネルパートナー経由で取引することも可能です。
- 環境に適した導入パターンについては、専門家にご相談ください(英語)。
10億ドルという節目以上に重要なのは、それを可能にした背景です。TrendAI™とAWSは10年以上にわたり協力し、顧客が次に進む場所でもセキュリティが遅れない仕組みを築いてきました。そして、その「次」はすでに到来しています。プロンプトインジェクション、エージェントハイジャック、シャドーAI、データ漏洩が、ランサムウェアや認証情報窃取と並んで取締役会のリスク台帳に加わりつつあります。単一のベンダやクラウドプロバイダだけでは、これらすべてに対抗できません。
だからこそ、このパートナーシップはさらに深まっています。AWSは基盤とネイティブの制御を提供し、TrendAI™はその上に脅威インテリジェンス、レイヤーをまたぐ相関分析、AIネイティブの保護を加えます。顧客が得るものは、これまでと変わりません。協働による、より強固なセキュリティです。その保護範囲は今や、AWS上で実行するすべてのモデル、アプリケーション、エージェントに及んでいます。
参考記事
The Architecture Behind $1B: How Customers Run TrendAI Vision One™ on AWS, and Secure Their AI Workloads
By : TrendAI™ Research
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, Trend Micro™ Research)