~詐欺は「分業」化、AIが詐欺の入口に~
2026年8月20日
トレンドマイクロ株式会社(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長 兼 CEO : エバ・チェン 東証プライム : 4704、以下、トレンドマイクロ)は、「個人セキュリティ脅威動向レポート 2026 上半期」を本日公開したことをお知らせします。本レポートでは、2026 年 1 月から 6 月の期間における国内の脅威動向を、個人利用者に被害をもたらす「詐欺」と「AI のリスク」の 2 つの観点から、トレンドマイクロの観測データと独自調査をもとにまとめています。
「個人セキュリティ脅威動向レポート 2026 上半期」全文はこちら : https://trendlife.com/ja-jp/blog/news-consumerthreat-report-2026-h1
■メールを起点とするテクニカルサポート詐欺が急増、報告件数は前年同期比 2.5 倍増
パソコン画面に偽の警告を表示し電話をかけさせるテクニカルサポート詐欺は、従来の Web 広告からメールを起点とする誘導へと拡大しました。トレンドマイクロのサポートセンターへの報告件数は 5,499 件(前年同期比 2.5 倍増)で、すべての月で前年実績を上回りました。
・165 日間で偽警告サイトへ誘導するメールを約 1,338 万通観測:1 日平均約 8.1 万通、宛先の約 94% が「.jp」ドメイン、配信は日本時間 9~21 時に集中※1
・誘導先の偽警告サイトは 33,000 件超、約 9 割が 1 日限りで乗り捨て:構築には正規クラウドの静的 Web ホスティング機能が悪用され、検知が困難※1
・一方、4,721 件の偽サイトに記載された電話番号はわずか 11 個:1 つの番号が数百のサイトで使い回されており、対策の手がかりとなる※1
4 月中旬からは大手 EC サイトや国税庁、5 月からは「人事評価」などの社内連絡を装う文面も確認され、標的は法人の従業員へも広がっています※1。
図1:トレンドマイクロが受けたサポート詐欺の報告件数推移(月別)
■SNS 型投資詐欺は役割分担された「分業体制」で運営
増加する SNS 型投資詐欺について、トレンドマイクロは潜入調査を実施し、明確な 4 段階(誘導→2 ~ 3 週間かけた信頼構築→架空取引→金銭の要求)で進行する構造を確認しました。
・役割ごとに LINE アカウントを使い分ける分業体制:初期誘導、アシスタント、著名人を装う投資家、口座開設担当、カスタマーサポートが分担して運営
・水際対策を無力化する細工:銀行の送金モニタリングを避けるため暗号資産での支払い指示が増加。銀行に取引目的を尋ねられても「投資」と言わないよう被害者に口止めする事例も確認
・多チャネル化の進行:SNS 広告から LINE への直接誘導が増加し、6 月には LINE から Zoom や Signal へ移す事例も確認
「投資とは言うな」と口止めされている状況そのものが、詐欺を強く疑うべきサインです。複数のチャネルをまたいで数週間かけて進行するため、単一のチャネルの対策だけでは全体像を捉えられません。
■ニセ警察詐欺:偽サイトに「ビデオ通話機能」、ディープフェイクで取り調べを演出
トレンドマイクロは、警視庁を装う偽サイトに新たに「ビデオ通話機能」が追加されたことを確認しました。従来の偽の逮捕状を表示する手口から、アプリへの誘導を介さずに「顔の見える取り調べ」を演出できるようになっています。攻撃者がディープフェイクで別人の顔を合成し、警察官や検事の役としてビデオ通話に登場する事例も確認しました。映像や電話番号の真偽を人間が見分けることは極めて困難であり、一度電話を切って正規の番号に自分からかけ直すことが最も確実な対策です。
■AI のリスクは「利用者が頼る AI」へ、AI エージェント自身も攻撃対象に
AI をめぐるリスクは「攻撃者が AI を道具として使う」段階から、「利用者が頼る AI そのものが詐欺の入口になる」、さらに「AI エージェント自身が攻撃の対象になる」段階へと変わり始めました。
・生成 AI の回答が詐欺の入口に:ChatGPT や Gemini の回答を経由して偽ショッピングサイトやフィッシングサイトへ誘導される事例を確認。公式サイトの URL を尋ねた検証で詐欺サイトが提示される場合があり、検索結果の「AI による概要」でも同様の問題を確認※2
・AI エージェントが乗っ取られる:商品ページに埋め込んだ見えない指示により、AI ショッピングエージェントが利用者の予算を 30 ドルから 85 ドルへ引き上げ、別の販売者へ誘導。正規の権限内で実行されるため従来の防御では検知が困難※3
・標的分析は「1 週間」から「30 分」へ:公開情報のみを用いた検証で、従来はリサーチャー 2 名が約 1 週間かけていた標的分析からフィッシングサイト生成までを、AI を組み込んだツールで 30 分以内に完了※4
一方、AI による詐欺やディープフェイクを「自信を持って見破れる」人はわずか 8.5% です※5。これからは「AI の回答も疑い」、AI が案内した URL も別の経路で確認する習慣が重要です。
図2:生成AIチャットボットが公式サイトではない詐欺サイトを提示する事例(現在は修正されています)
■対策
本レポートでは、個人ができる対策として以下の 5 点を挙げています。
①メールや SMS のリンクから支払わず公式アプリ等で請求を確認する
②詐欺電話対策アプリを活用する
③パスワードの使い回しをやめパスキーや多要素認証を利用する
④AI の回答や検索結果も別経路で裏づけを取る
⑤家族で見守り声をかけ合う
トレンドマイクロは、警察庁推奨制度の認定を受けた無料アプリ「トレンドマイクロ 詐欺バスター Lite」および「トレンドマイクロ 詐欺バスター」の提供と、全国 47 都道府県の警察機関と連携した啓発活動に取り組んでいます。また、AI 時代に家族全員がより安心・安全に使うファミリー向け AI サービス「TrendLife Kaleida™(カレイダ)」を提供しています。
製品については以下をご覧ください。
トレンドマイクロ 詐欺バスター:https://trendlife.com/ja-jp/products/scam-check
TrendLife Kaleida:https://trendlife.com/ja-jp/kaleida/overview
TrendLife™ について
TrendLife は、個人のお客さまと家族のデジタルライフを守り、支えるグローバルリーダーです。トレンドマイクロの個人のお客さま向けビジネスとして、AI の恩恵を最大限享受しながらリスクを最小限に抑えるためのソリューションを提供しています。トレンドマイクロの約 40 年にわたる専門性と、先駆的な研究・イノベーションの実績を基盤に、TrendLife は世界中の数百万人のお客さまから信頼されています。詐欺、なりすまし、ディープフェイクに加え、AI の普及に伴う新たな脅威など、幅広いサイバーセキュリティリスクからお客様を保護することに注力しています。多様なソリューションの提供に加え、デジタル及び AI リテラシーの向上に対する継続的な活動を通じて、AI 時代における個人のお客さまと家族の保護及び支援に取り組み、安心と信頼に貢献します。
詳細はこちらをご覧ください。
【出典】
※1 トレンドマイクロ「1,300万通以上の偽メールを観測:日本の個人・組織の両方を狙うサポート詐欺キャンペーンの手口を解説」(2026/6/15)https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/26/f/fake-emails-tech-support-scam-japan.html
※2 トレンドマイクロ「生成AIチャットボットの回答から危険サイトへ誘導される事例を確認」(2026/3/30)https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/26/c/generative-ai-chatbots-redirect-users-malicious-websites.html
※3 トレンドマイクロ「エージェント型AIを乗っ取る 第1回:そのAIエージェントはすでに侵害されている」(2026/5/28)https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/26/e/pwning-agentic-ai-part-i-your-ai-agent-is-already-compromised.html
※4 トレンドマイクロ「LinkedInの公開データが30分で標的型攻撃に転用されるリスク」(2026/3/3)https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/26/c/from-linkedin-to-tailored-attack-in-30-minutes-how-ai-accelerates-target-profiling-for-cybercrime.html
※5 トレンドマイクロ プレスリリース「TrendLife『AI時代のデジタルライフ』に関する調査結果を発表」(2026/5/19)https://www.trendmicro.com/ja_jp/about/newsroom/press-releases/2026/pr-20260519-01.html
※ 上記以外の記述は、特に明記のない限りトレンドマイクロの観測データに基づきます。
※ 2026年8月20日現在の情報をもとに作成したものです。今後、内容の全部もしくは一部に変更が生じる可能性があります。
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