Artificial Intelligence (AI)
TrendAI™、NvidiaのOpen Secure AI Allianceに参画:AIを作る側と守る側のギャップを埋める
TrendAIは、NvidiaのOpen Secure AI Allianceに設立パートナーとして参画し、オープンモデル、ハーネス、リサーチの推進を通じてサイバー防御の強化に取り組みます。
セキュリティ業界はこの2年間、オープンなAIモデルはリスクなのかという議論を続けてきました。しかし、問うべきはそこではないと考えます。攻撃者はすでにAIを大規模に活用しています。本当に問うべきは、防御側も同じフロンティアレベルの能力を、信頼できるだけの透明性とともに手にできるかどうかです。当社はその問いに、Open Secure AI Allianceの設立パートナー(英語)としてNvidiaに加わることで答えます。
本アライアンスは、リサーチの共有、オープンな技術・ツールの開発を通じてサイバーセキュリティ分野で協力し、世界を支えるソフトウェアと重要システムを守っていく、業界リーダーによる取り組みです。その活動は、オープンモデル、オープンハーネス、オープンスキル、オープンリサーチという4つの柱にわたります。
参画メンバーは、リサーチ成果、ツール、インフラ、運用から得た知見を持ち寄ります。その見返りとして、より強力な防御エージェント、オープンなツール群、より優れた導入プラクティス、共通の評価フレームワークがアライアンスから生まれ、その恩恵は貢献したメンバーに、そして最終的にはオープンソースエコシステム全体に還元されます。
当社の立場は明快です。世界にはクローズドモデルとフロンティアのオープンモデルの両方が必要であり、企業がどちらか一方の選択を迫られるべきではありません。Claude Opusのようなクローズドモデルは、独自のイノベーションを通じて能力の限界を押し広げ続けています。Nvidia Nemotronのようなオープンモデルは、透明性、カスタマイズ性、導入の柔軟性によって普及を加速させます。当社は両者の長所を最大限に活用しており、本アライアンスはそのオープン側を強化するものです。
20年にわたる協調的な脆弱性開示の実績
TrendAI™とNvidiaは、Morpheus、NIM、Nemotronにまたがる協業を重ねてきました。BlueField DPUへのEDRの統合や、Nvidia DSX Airとの連携によるAIファクトリーへのセキュリティ・バイ・デザインの提供に加え、協調的な脆弱性開示でも長い実績を築いています。その一例が、Nvidia自身のスタックを対象としたZDIのリサーチです。当社のリサーチャーは認証バイパスの脆弱性を報告し、Nvidiaによるパッチ公開後にも再検証を行って、パッチを回避できる問題をさらに2件発見しました。いずれも同じ協調的なプロセスを通じて開示・修正されています。さらに当社は、本アライアンスの根本にある前提を裏付ける実績も携えています。世界最大のベンダー非依存型バグバウンティプログラムであるTrendAI™ Zero Day Initiative™(ZDI)は、リサーチが共有されるほど脆弱性はより早く発見され、より早く修正されることを、20年にわたって実証してきました。
このことは、かつてないほど重要になっています。Black Duckの「2026 Open Source Security and Risk Analysis Report」(英語)によれば、商用コードベースの98%にオープンソースが含まれ、87%には既知のオープンソース脆弱性が少なくとも1件存在します。世界経済の大部分を支えるインフラはオープンなソフトウェアの上に成り立っており、それを守るには、透明性、インテリジェンスの共有、そして可能な限り幅広い防御者のコミュニティが求められます。
モデルだけでなく、ハーネスを守る
AIエージェントは、単なるモデルではありません。エージェントが何を観察し、何を推論し、何を実行できるかを決める、モデル、ハーネス、ガードレールからなるシステムです。業界の関心はモデルに集中してきましたが、実際のセキュリティリスクの多く(そして防御側にとっての好機)は、エージェントに行動させるための足場、すなわちハーネスにあります。
アライアンスのメンバーが共同でイノベーションを進めているのが、まさにこのレイヤーです。Nvidiaは、Nemotronのモデル、学習データ、レシピに加え、脆弱性の発見と検証のためのセキュリティリサーチ用ハーネス、スキル、技法を提供しています。新たにオープンソース化されGitHubで公開されたリサーチフレームワーク「NOOA(Nvidia Labs Object-Oriented Agent)」もその一つです。TrendAI™は、自律的に自己進化するエージェントのためのNvidiaのオープンソースランタイムであるNvidia OpenShellに、同じ「ハーネスファースト」の規律を持ち込んでいます。TrendAI Vision One™のガバナンスポリシーはOpenShellランタイムにそのまま引き継がれ、Agentic Scanはエージェントが到達できるすべてのスキルとツールをインベントリ化して、宣言された内容と一致しない挙動を検出します。さらに動的な挙動分析が、静的なレビューでは見逃されてしまう問題を、エージェントの行動の前・最中・後にわたって捕捉します。
作り手が増えれば、守り手も増える
オープンモデルは、AIのユーザをAIの作り手に、そして作り手を守り手に変えます。これにより機会が広がり、イノベーションが加速し、企業は自らの条件でAIを導入するためのスケーラブルで安全な道筋を手にします。守るべきものを守りながら、自社の業界、データ、運用要件に合わせてモデルを適応させることができるのです。
組織によっては、これは選択の問題ではなく必須の要件です。データ主権に関する要件により機密データを外部の推論エンドポイントに送信できない場合、物理面・管轄面での完全なコントロールを実現する道はオープンモデルしかありません。TrendAI Vision One™ for Sovereign and Private Cloud(SPC)は、政府機関や規制業種の企業にまさにその選択肢を提供します。地域内・国内のデータセンターから完全にエアギャップされたオンプレミス環境まで、ソブリンプライベートクラウド環境にオープンAIモデルを展開できます。AIによる防御とデータのコントロールを、二者択一ではなく両立できるのです。
オープンであることだけで、信頼が保証されるわけではありません。AIには依然として、厳格なテスト、強固なセーフガード、セキュアなインフラ、明確なガバナンス、そして人間による監督が必要です。しかし、オープンなエコシステムはその担い手となるコミュニティを広げ、証拠、可視性、参加に根ざした信頼を築きます。政策立案者がAIの安全性を検討するなか、当社の立場はすでに公にしているとおりです。オープンモデルとオープンなツールは、透明性、独立した評価、修復措置の共有を可能にする防御側の資産であり、セキュリティ上のリスク要因ではありません。
今後の展望
本アライアンスの成果は、お客様が日々業務を行っている場所に反映されていきます。TrendAI Vision Oneの検知エンジニアリング、アライアンスが公開するオープンなツール群、そしてTrendAIとNvidiaがより広い防御者コミュニティと共有するリサーチがその舞台です。アライアンス参画企業の全容については、Nvidiaの発表(英語)をご覧ください。TrendAIの貢献が形になっていく過程を、今後も本ブログでお伝えしていきます。
参考記事
TrendAI™ Joins Nvidia's Open Secure AI Alliance: Closing the Gap Between AI Builders and AI Defenders
By Rachel Jin · TrendAI™
翻訳:与那城 務(Platform Marketing, TrendAI Research)