第56回SMILE PROJECTレポート

第56回ウイルスバスターSMILE PROJECTメンバーの高橋由梨です。
今回は、9月9日(金)から1泊2日の日程にて、希望する社員10名で参加した「第56回支援活動“陸前高田桜ライン311草刈”」の活動について、以下ご報告させて頂きます。

■1日目(9月9日)
東京~一ノ関移動
気仙沼大島のヤマヨ水産訪問 牡蠣の養殖過程の見学
陸前高田市・気仙沼市 震災語り部ツアー(米沢商会・すがとよ酒店)
気仙沼大島の明海荘に宿泊

気仙沼大島で最初にお邪魔したのは、NHKの朝ドラ「おかえりモネ」の舞台となったカキ養殖場ヤマヨ水産さんです。「海、綺麗でしょ~」と笑顔で出迎えてくれたのは、ドラマで藤竜也さんが演じられた役のモデルとなった、先代のご主人でした。 
息子の小松武さんも、今回訪問した先々でお会いした現地のみなさんも、「いつも来てくれてありがとう」、と温かい笑顔で私たちを出迎えて下さり、その度にこちらも元気を頂きました。帰る時も、まるで親戚か友達と接するような笑顔で最後まで手を振ってくださり、これまでのSMILE PROJECTを通して築かれた現地の方々との絆が見え、今回参加した私たちも次の参加者へのバトンをしっかり繋げようと身が引き締まりました。

陸前高田市では、震災遺構として保存されている米沢商会さんの旧店舗でオーナーの米沢さんから当日のお話を伺いました。
米沢さんは「話すことが亡くなった両親、弟の供養になるから」と言って、形式化された語り口調ではなく、時々言葉に詰まりながらも、当日起きたこと、自分がどう考え、行動したのか丁寧に説明してくださいました。とても臨場感のあるお話は、どこか他人事として切り離すことができてしまう戦争体験談とは異なり(昨今では身近に感じる状況にありますが…)、明日自分も同じ状況になるかもしれないという現実味を帯びていて、「その時自分だったらどうするのか」、と当事者の立場で考えながら、聞き入りました。供養になるとはいえ、壮絶な体験を他人に繰り返し話すことは辛いことに違いありませんが、それを継続されていること、それにより多くの人が教訓として活かすことができることの価値は計り知れないと感じました。

旧店舗の建物も、一帯を整備するタイミングで取り壊しの確認が入ったそうですが、後世に伝えていきたいという思いや、奥さんの応援、周りの方からの「街の姿を思い出せるものを残したい」という声もあり、自費で震災遺構として保存することにしたそうです。米沢さんご自身は、謙遜もあるのか亡くなられたお父さんのことを「自分とは違って人格者だった」と語られていましたが、日常を取り戻す困難に見舞われる中、できる限りのことを行われてきた姿勢の尊さに強く胸を打たれました。


米沢さんと同じく、肉親を亡くされたすがとよ酒店店主の菅原さんも、亡くなったご主人の想いを繋ぐために、家族と周りの方々と奮闘し、店を再起させたお話をしてくださり、悲惨な状況の中、前を向き続けた姿を見せて下さったことで、今はできるか不安だけれども、こうありたいという自分の姿を描くことが出来ました。

■2日目(9月10日)
気仙沼震災伝承館見学
気仙沼図書館へ立ち寄り
桜ライン311にて草刈り活動に参加
一ノ関~東京移動

移動中見える景色や立ち寄った場所はほとんどが整備されていたので、東日本大震災遺構・伝承館で、当時の映像や写真、実際に流れついた瓦礫を目の前にし、津波被害の大きさに改めて驚かされました。当時の状態に近い形で保存された内部は、まだとても生々しく、目の前に広がるお伊勢浜海水浴場やパターゴルフ場で楽しむ市民の方々の姿と対照的で、日常を奪った津波の威力を痛感しました。それと同時に、この整備された状況を、復興庁の報告の通り‘復興の街づくりの事業はほぼ完了している’、と表現すると、現地の方々の置かれている状況と溝があるようにも感じました。前出の菅原さんも「街がきれいになっても、前の様には戻っていない」と仰っていましたが、地域住民にまだ活気は戻っていないそうです。人口の減少や、心理的負担、住宅問題、経済的な困難等、置き去りにされている課題があり、今は震災直後とは異なる性質の支援が求められる状況にあると実感しました。


伝承館や語り部のみなさん、桜ライン311の植樹活動(今回はこれまでに参加した当社メンバーが植樹した木々の周りの草刈活動に参加)、それぞれに共通していたのは“後世に伝わりやすい形で震災の記憶や教訓を伝えることで、将来地震が起きた時、少しでも被害者を減らすことができるようにする“という強い思いでした。地震で得た経験をただ辛いものだけにするのか、それとも有意義になものにしていくのかは自分たち次第、というメッセージが行く先々で伝わってきて、受け取る側の私たちも、みなさんの経験や今回の経験を無駄にしないよう、自分自身が被災した時自分の命や大切な人の命を守るためにどう行動するべきか考える契機となりました。

■全体を通して
私自身、今回初めてこの活動に参加しましたが、震災から10年以上が経過した今、現地で何が見え、どう感じるのか事前に想像が出来ませんでした。参加してみると、実際に現地に行って起きた事を知ることでも、誰かの支えになること、また、支えることで、私たち自身も自分たちの存在意義を感じることが出来、共に支え合っていることを実感しました。
SMILE PROJECTを通して、災害地の復興の支援をしたり、被災した方々へ思いを寄せたりすることで、私たち社員は自分の役割や社会に参加する意義、自分たちがなぜ働くのか、を改めて考えさせられる機会を与えてもらっているのだと思いました。今後も、会社として支援を続け、共に支え合い、成長していけたら素晴らしいと思います。


活動年月日:2022年9月9日(金)~10日(土)