RANSOM_ZCRYPT.A

2016年5月26日
 解析者: Michael Jay Villanueva   

 別名:

Trojan-Ransom.Win32.Crypren.acrj (Kaspersky); Trojan:Win32/Dynamer!ac (Microsoft); TR/Samca.qqhi (Avira)

 プラットフォーム:

Windows

 危険度:
 ダメージ度:
 感染力:
 感染確認数:
 情報漏えい:


  • マルウェアタイプ: ワーム
  • 破壊活動の有無: なし
  • 暗号化:  
  • 感染報告の有無: はい

  概要

感染経路 インターネットからのダウンロード, リムーバブルドライブを介した感染活動

■ ランサムウェアファイル復号ツール公開

ランサムウェアの脅威が世界的に深刻になっている状況を受けて、ランサムウェアによって暗号化されたファイルの復号ツールをトレンドマイクロは公開しました。この復号ツールの使用方法や復号可能なファイルの条件などの制限事項については以下のダウンロードページを参照してください。

法人向けダウンロードURL:http://esupport.trendmicro.com/solution/ja-JP/1114224.aspx

個人向けダウンロードURL:https://esupport.trendmicro.com/support/vb/solution/ja-jp/1114210.aspx

また、トレンドマイクロでは、ランサムウェアの被害に遭われている法人・個人を対象に無料相談窓口も開設していますので、お困りの方は一度ご相談ください。

トレンドマイクロは、このマルウェアをNoteworthy(要注意)に分類しました。

この「身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)」は、自身を拡散する機能を備えた数少ないランサムウェアファミリの一つです。ワームはリムーバルドライブに自身のコピーを作成します。これにより、USBの使用が危険になります。

ワームは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

ワームは、特定のWebサイトにアクセスし、情報を送受信します。 ただし、情報公開日現在、このWebサイトにはアクセスできません。


  詳細

ファイルサイズ 809,984 bytes
タイプ EXE
メモリ常駐 はい
発見日 2016年5月24日
ペイロード URLまたはIPアドレスに接続, メッセージボックスの表示

侵入方法

ワームは、他のマルウェアに作成されるか、悪意あるWebサイトからユーザが誤ってダウンロードすることによりコンピュータに侵入します。

インストール

ワームは、感染したコンピュータ内に以下のように自身のコピーを作成します。

  • %Application Data%\zcrypt.exe -> attributes are set to Hidden and System

(註:%Application Data%フォルダは、Windows 2000、XP および Server 2003 の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data"、Windows Vista 、 7 、8、8.1 、Server 2008 および Server 2012の場合、"C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。.)

ワームは、以下のファイルを作成します。

  • %Application Data%\btc.addr -> Bitcoin Address
  • %Application Data%\cid.ztxt -> contains the victim's ID
  • %Application Data%\public.key -> public key
  • %Application Data%\private.key -> private key

(註:%Application Data%フォルダは、Windows 2000、XP および Server 2003 の場合、通常 "C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Local Settings\Application Data"、Windows Vista 、 7 、8、8.1 、Server 2008 および Server 2012の場合、"C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming" です。.)

ワームは、以下の Mutex を作成し、メモリ上で自身の重複実行を避けます。

  • zcrypt1.0

自動実行方法

ワームは、自身のコピーがWindows起動時に自動実行されるよう以下のレジストリ値を追加します。

HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\
Windows\CurrentVersion\Run
zcrypt = {path of the executed malware}

ワームは、以下のファイルを作成します。

  • {Removable Drive Letter}:\autorun.inf

ワームは、Windows起動時に自動実行されるよう<スタートアップ>フォルダ内に以下のファイルを作成します。

  • %User Startup%\zcrypt.lnk -> Shortcut file for the executed malware

(註:%User Startup%フォルダは、Windows 2000、XP および Server 2003 の場合、通常、"C:\Documents and Settings\<ユーザ名>\Start Menu\Programs\Startup" 、Windows Vista 、 7 、8、8.1 、Server 2008 および Server 2012の場合、" C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup" です。.)

感染活動

ワームは、すべてのリムーバブルドライブ内に以下として自身のコピーを作成します。

  • {Removable Drive Letter}:\System.exe -> attribute is set to Hidden

その他

ワームは、以下のWebサイトにアクセスし、情報を送受信します。

  • http://{BLOCKED}rewq.ml/rsa/rsa.php?computerid={victim ID}&public=1

ワームは、以下の拡張子をもつファイルを暗号化します。

  • .3fr
  • .accdb
  • .apk
  • .arw
  • .aspx
  • .avi
  • .bak
  • .bay
  • .bmp
  • .cdr
  • .cer
  • .cgi
  • .class
  • .cpp
  • .cr2
  • .crt
  • .crw
  • .dbf
  • .dcr
  • .der
  • .dng
  • .doc
  • .docx
  • .dwg
  • .dxg
  • .emlx
  • .eps
  • .erf
  • .gz
  • .html
  • .indd
  • .jar
  • .java
  • .jpeg
  • .jpg
  • .jsp
  • .kdc
  • .log
  • .mdb
  • .mdf
  • .mef
  • .mp4
  • .mpeg
  • .msg
  • .nrw
  • .odb
  • .odp
  • .ods
  • .odt
  • .orf
  • .p12
  • .p7b
  • .p7c
  • .pdb
  • .pdd
  • .pdf
  • .pef
  • .pem
  • .pfx
  • .php
  • .png
  • .ppt
  • .pptx
  • .psd
  • .pst
  • .ptx
  • .r3d
  • .raf
  • .raw
  • .rtf
  • .rw2
  • .rwl
  • .sav
  • .sql
  • .srf
  • .srw
  • .swf
  • .tar
  • .tar
  • .txt
  • .vcf
  • .wb2
  • .wmv
  • .wpd
  • .xls
  • .xlsx
  • .xml
  • .zip

ワームは、以下のファイル名を使用し、暗号化されたファイルを改称します。

  • {original filename}.zcrypt

ただし、情報公開日現在、このWebサイトにはアクセスできません。

ワームが感染したコンピュータ内に作成する以下の自身のコピーの属性は、隠しファイルおよびシステムファイル属性に設定されます。

  • %Application Data%\zcrypt.exe

ワームは、以下のファイルを作成します。

  • %Application Data%\cid.ztxt -> ユーザIDを含みます。
  • %Application Data%\public.key -> 公開キー
  • %Application Data%\private.key -> 秘密キー
  • %Application Data%\btc.addr -> 「Bitcoin(ビットコイン)」のアドレス

ワームがWindows起動時に自動実行されるよう<スタートアップ>フォルダ内に作成する以下のフォルダは、実行されるマルウェアに誘導するショートカットです。

  • %User Startup%\zcrypt.lnk

ワームは、暗号化されたファイルを以下のファイル名に変更します。

  • {original filename}.zcrypt

ワームは、リムーバルドライブ内のファイルを暗号化します。

C&Cサーバ接続されると、脅迫状が”How to decrypt your files.html”として作成されます。


  対応方法

対応検索エンジン: 9.800
初回 VSAPI パターンバージョン 12.546.08
初回 VSAPI パターンリリース日 2016年5月24日
VSAPI OPR パターンバージョン 12.547.00
VSAPI OPR パターンリリース日 2016年5月25日

手順 1

Windows XP、Windows Vista および Windows 7 のユーザは、コンピュータからマルウェアもしくはアドウェア等を完全に削除するために、ウイルス検索の実行前には必ず「システムの復元」を無効にしてください。

手順 2

このマルウェアもしくはアドウェア等の実行により、手順中に記載されたすべてのファイル、フォルダおよびレジストリキーや値がコンピュータにインストールされるとは限りません。インストールが不完全である場合の他、オペレーティングシステム(OS)の条件によりインストールがされない場合が考えられます。手順中に記載されたファイル/フォルダ/レジストリ情報が確認されない場合、該当の手順の操作は不要ですので、次の手順に進んでください。

手順 3

Windowsをセーフモードで再起動します。

[ 詳細 ]

手順 4

このレジストリ値を削除します。

[ 詳細 ]

警告:レジストリはWindowsの構成情報が格納されているデータベースであり、レジストリの編集内容に問題があると、システムが正常に動作しなくなる場合があります。
レジストリの編集はお客様の責任で行っていただくようお願いいたします。弊社ではレジストリの編集による如何なる問題に対しても補償いたしかねます。
レジストリの編集前にこちらをご参照ください。

  • In HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
    • zcrypt = {path of the executed malware}

手順 5

「RANSOM_ZCRYPT.A」 が作成またはダウンロードした不正なファイルを削除します。(註:以下のマルウェアもしくはアドウェア等がすでに削除されている場合は、本手順は行う必要はありません。)

手順 6

以下のファイルを検索し削除します。

[ 詳細 ]
コンポーネントファイルが隠しファイル属性の場合があります。[詳細設定オプション]をクリックし、[隠しファイルとフォルダの検索]のチェックボックスをオンにし、検索結果に隠しファイルとフォルダが含まれるようにしてください。
  • %Application Data%\zcrypt.exe
  • %Application Data%\cid.ztxt
  • %Application Data%\public.key
  • %Application Data%\private.key
  • %Application Data%\btc.addr
  • %User Startup%\zcrypt.lnk
  • {Removable Drive Letter}:\autorun.inf
  • {Removable Drive Letter}:\System.exe
  • How to decrypt your files.html

手順 7

コンピュータを通常モードで再起動し、最新のバージョン(エンジン、パターンファイル)を導入したウイルス対策製品を用い、「RANSOM_ZCRYPT.A」と検出したファイルの検索を実行してください。 検出されたファイルが、弊社ウイルス対策製品により既に駆除、隔離またはファイル削除の処理が実行された場合、ウイルスの処理は完了しており、他の削除手順は特にありません。

■ ランサムウェアファイル復号ツール公開

ランサムウェアの脅威が世界的に深刻になっている状況を受けて、ランサムウェアによって暗号化されたファイルの復号ツールをトレンドマイクロは公開しました。この復号ツールの使用方法や復号可能なファイルの条件などの制限事項については以下のダウンロードページを参照してください。

法人向けダウンロードURL:http://esupport.trendmicro.com/solution/ja-JP/1114224.aspx
個人向けダウンロードURL:https://esupport.trendmicro.com/support/vb/solution/ja-jp/1114210.aspx

また、トレンドマイクロでは、ランサムウェアの被害に遭われている法人・個人を対象に無料相談窓口も開設していますので、お困りの方は一度ご相談ください。


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